INTERVIEW:

DJ FUMIRATCH

■そして昨年10月にソロ・アルバムがリリースされました。
 
「『トラック作ってるんだから、ソロ・アルバムを出さなきゃ』ってことは、21歳ぐらいの時から般若さんに言われてて。で、般若さんが『おはよう日本』を作ったのって、25歳のときなんですよ。だから、俺も25までにアルバムを出したいと思ってたんですけど、クオリティや制作面で色々悩んじゃって、ちょっとズルズル今までかかってしまったというか」
 
 
■自分名義のプロデュース・アルバムを一枚作るというまでには踏ん切りが付かなかった、というか。
 
「今もそうなんですけど、自分の作りたい音楽、作る音楽にそんなに自信がないんですよね。ただ今回に関しては、そういう自分の音楽が、この時代にどう受け止められるんだろうという挑戦の意味合いがすごく大きくて。そういう『この内容がどう受け止められるかな』っていう、不安とワクワクがモチヴェーションではありましたね」
 
 
■制作はどのように進めましたか?
 
「結構、自分の独断とアイディアで進めましたね。人選に関しても、般若さんや昭和レコードのスタッフからもアイディアをもらったりはしたんですけど、いま思うとあまり採用してないかもしれません。ディストリビューションの会社にもほぼ聴かせずにリリースまで漕ぎ着けて」
 
 
■それも乱暴な気も(笑)。
 
「『全責任、自分』として作ったんですよね。やっぱりトラック・メイカー、プロデューサーとして勝負したかったし、プロデュース・アルバムを作るからには、ブッキング/スケジューリング/ギャランティの管理……そういう裏方の作業まで全部ひとりでやったんで」
 
 
■それは頑固さ故、という感触ですか?
 
「いや、自分の中で構想を2~3年前から考えてたっていうのがあると思いますね」
 
 
■青写真が見えてたから、その目標に向かって作ればよかった、というか。
 
「まず根本的な構想として、『アルバムを作る』ということから始まってるんですよね。単曲を10曲作ってまとめるんじゃなくて、10曲で一枚の作品を作るっていう。だから、似通った曲は作りたくなかったし、客演で参加してくれたラッパーも、色は全然違うと思う。そういう風に、今の時代にアルバムとして、アルバム単位で評価されるための曲を作っていった感じですね」
 
 
■そういった指向性でアルバム制作に入った理由は?
 
「自分がアルバム単位でアーティストを判断するからだと思いますね。アルバムで『こいつ、こういうことをやりたかったんだな』って分かることも多いじゃないですか。だから自分でもそういう作品作りがしたかったんですよね」
 
 
■それは昭和レコードにいることも大きいような気がします。般若君、SHINGOさん、離脱されましたがZORN君にしても、アルバムという単位でアーティストとしての力量を提示する部分が大きいですよね。だから、FUMIRATCH君がもともと持ってるイズムに加えて、昭和に関わることで得た知見の影響も大きいのかなって。
 
「そうかもしれないですね。3人のレコーディングにも関わって、自分の中でもそういうイメージが強化されてきた部分だったり、見えてきたことが大きいかと思います」
 
 
■ちなみに、現在の制作機材は?
 
「トラックメイクを始めたときから今までずっとAbleton Liveですね。機材は増えてはいるんですけど、基本はLiveです」
 
 
■楽器の経験は?
 
「いや、ないですね」
 
 
■アルバムとしては、TRAPからオーセンティックなものまで幅広いですが、ピアノやキーボードといった、“弾き”の音色が全体的に通底していると感じたので、鍵盤楽器の経験があるのかなって。
 
「確かに、アルバム作り終わって並べて聴いてみたら『ピアノ、多!』って突っ込みましたね、自分で。『病んでんのかな、俺』って(笑)」
 
■優しい音が欲しかったのかな、って(笑)。
 
「でも、Michitaさんとかもそうですけど、北の人ってピアノのフレーズを大事にする人が多いと思うんですよね。まあ、それを越えても、単純に鍵盤の音色が好きなのかもしれない。トラックを作るときにピアノのプラグインを立ち上げることが多いし、鍵盤でメロディを作り始めると、そのトーンで完成まで持っていきがちというか」
 
 
■ビート一発で引っ張るんじゃなくて、ビートと上モノを上手く調整してトラックを進ませるのが、FUMIRATCH君のトラックの特徴でもあるのかなと、アルバムを通して感じました。
 
「ここ数年は、『サンプリングだと思われるような弾き』を作る研究を重ねてたんですよね。“刻一刻 feat.BES&紅桜”も、上モノはサンプリングに感じると思うんですけど、あれも弾きで作ってて」
 
 
■そういった方法論も含めて、ドラマティックなトーンが印象的でした。
 
「コード進行的には、ダブ・ステップとかEDMを意識したりもしてますね」
 
 
■般若×ZORN×SHINGO☆西成の“GO”もダブステップが基調になっていましたね。
 
「そういう風に、ダンス・ミュージックからヒントを得ることも多いですね。あと個人的にはThe Chainsmokersが大好きなんで、彼らのようなサウンド作りも意識もしてますね」
 
 

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