INTERVIEW:

AKTHESAVIOR x Leon Fanourakis


 
■AKが最初に日本に来たのは約2年前のことですよね?ここまで日本のカルチャーに影響を受けてきたのに、実際に日本に来るのに20数年かかったということになりますが、最初に日本に来たとき、どんなことを感じましたか?
 
AK「夢のような気分だったし、ぶっ飛ばされたし、ありがたく感じた。まるで、今まで訪れたことのない故郷に来たような感じだった。日本の人たちと知り合って受けた君たちの親切さは、世界のどの国でも経験したことがないものだった。その親切さも純粋なものだと思ったし。マジで、最初に日本来たときは何回も泣いたよ(笑)。俺は本当に日本が好きなんだ。ここのカルチャーが俺の人生を変えてくれたんだ。日本のカルチャーがなければ、このように今、この場にいることもなかったかもしれない」
 
 
■日本のHIP HOPカルチャーや、日本においてどのようにHIP HOPが根付いているかを見て感じたことは?
 
AK「日本のHIP HOPカルチャーについて知らなくても、世界中を旅したことはあったからね。世界中でHIP HOPがどれくらい影響を与えてきたかは分かっていたから、君たちもHIP HOPにハマっていて、自分たちのスキルに情熱を注ぐアーティストがいるのも分かっていた。だけど、Leonのラップを聴いたとき、何か違うモノを感じたんだ。Leonは、俺が今まで聴いてきた中でベストなインターナショナル・ラッパーだよ。彼のフロウや声……彼のHIP HOPへのアプローチの良さが理解できた」
 
Leon「いやー、最高っすね(笑)。普通に中学生の頃からTHE UNDERACHIEVERSは聴いてたし。こういう風に出来たのもヤバいことだし、こういう風に言われてることもめちゃくちゃ嬉しいです。ラップを始めた頃から、海外の尊敬するアーティストと一緒に演ったり、海外の人に食らわせられる日本語ラップをする、というのを目標にやってきたんで。ある意味スタートラインに立った気分ですね」
 
 
■Leon君は、THE UNDERACHIEVERSだったりBEAST COAST関係のような2010年代以降のNYラップもヘヴィ・リスナーだったんですよね?
 
Leon「NYは今でも特別です。HIP HOPを聴くキッカケになった友達がNYのヤツだったんです。初めて聴いたHIP HOPもJAY-Zだったし、その友達がNYのラッパーを一通りチェックさせてくれたんですよね。(AKやBEAST COAST勢のラップは)僕が聴いてきたラップの中でも特にコアというか、ラップのカッコ良い部分を追求してるようなラップじゃないですか?THE UNDERACHIEVERSとかFLATBUSH ZOMBIESのラップは、自分が今のようなスタイルでラップしたくなったキッカケでもあります。THE UNDERACHIEVERSに関して言うと、ちょうどDENZEL CURRYとか聴くようになった時期にRONNY Jがプロデュースしたミックステープ『IT HAPPENED IN FLATBUSH』が出て、アレは結構聴いてましたね」
 
AK「あのミックステープは俺のフェイヴァリットでもあるよ」
 
Leon「あの頃にA$AP FERG、THE UNDERACHIEVERS、DENZEL CURRYとかを聴いてたから、僕もこういうスタイルでやっていこうって確信することが出来たんです」
 
 
■Leon君がAKと知り合ったのは昨年9月、二度目の来日時ですよね?
 
Leon「たまたまBLOODY ANGLEに遊びに行ったらAKがいて『ワオッ』ってなったんですけど、彼と一緒にいた伊藤さん(筆者)が僕のことを紹介してくれて。僕は元からファンだったんで写真も一緒に撮って。で、次の日にレコーディングも一緒にしてくれて」
 

AK「偶然にもBLOODY ANGLEにLeonやANARCHYがいて、最高だったな。あそこで初めて会って、その翌日に一緒にスタジオに入って2曲録ったんだ。それが“PICCOLO”と“LIGHT WORK”。作業はマジで自然に出来たね。スタジオにいるとき、Leonが流したビートはどれもイケてたし、彼のフロウを聴いた瞬間『ヨー、コレはクレイジーだ。まるでアメリカのリリシストのラップみたいだ』って思ったんだ。俺たちは即座に仲良くなったし、苦労なく音楽を作ることが出来たよ。だって、一日に2曲、しかも数時間でリード・シングルが出来たんだからな」
 
Leon「海外のアーティストとセッションしたことは何回かあるんですけど、彼はその中でも特に『音と遊んでる』印象があったし、『どんな音楽を作りたいか』ということもちゃんと話し合うというか、伝えようという意思を感じました。『一緒にモノを作ろう』ということに関する意識が、他の人より強い気がします。日本のアーティストとのセッションでもこういう風に感じたことはあまりないかもしれないですね」
 
AK「そうだな。たくさんコンセプトがあったんだ。“INTRO”では交互にラップしてみようとか、“KONNICHIWA”では世界的に認知されている日本語を使いたかった。最後の曲“YOKOHAMA 2 FLATBUSH”ではそれぞれが受けてきたインスピレーションについてラップした。だから、そういう意味ではコンセプチュアルなプロジェクトとも言えるね、適当にヴァースを書いたわけではない。マジでISSA(THE UNDERACHIEVERS)と一緒に書いてるときを思い出したよ」
 
 
■アメリカ外のラッパーとコラボするのは、今回が初なんですか?
 
AK「初めてだし、俺が間違っていなければ、アメリカのラッパーと日本のラッパーがひとつのプロジェクト単位で共作したっていうのも初めてなのかもしれないね。俺たちはただ、アメリカと日本のラップの間にある溝を埋めたかっただけなんだ」
 
 
■日本で2曲録った後、昨年末にはLeonがNYに渡り作業を続行します。NYでのセッションはどんな感じでしたか?
 
AK「LeonがNYに来たとき、一週間内に何個もスタジオ・セッションを予約したね。毎日のようにスタジオでレコーディングしたり、プロジェクトを完成させるためのアイディア出しをしてたよ。多分、レコーディングは3~4日で終わったと思う。全てが自然な感じで進んでいったから、とても美しい体験だった。ふたりともこのプロジェクトに関してエキサイトしてたから集中してたし、それによって作品をより良く、早く完成させることが出来た。彼がビートを聴かせてきたら、スタジオにいようがいまいが、すぐにヴァースを書き始めてたね」
 
Leon「僕は、曲を作りに行くという目標があった上でNYに行ったんで、当然やりこみますよね。NYという環境はめちゃくちゃインスパイアされたし、スタジオとかでもあそこまでの爆音が出せるセッションは日本ではないんです。あそこまでラップが周りにあるような生活は、多分日本じゃ出来ないし、そこは意識しつつインスパイアされながら音楽を作ってました。あと、NYだから当然、日本語が通じないじゃないですか。だからその分、リズムとかノリを意識したし、日本語でも海外の人に伝わるような言葉を考えたりもしましたね。スタジオには1stアルバムに参加してくれた同級生のVa$¢0たちがいたんで、彼らがいてめちゃくちゃ助かりましたね」
 
AK「環境はマジで大事だよな。自分のヴァイブスに影響するし、そのヴァイブスを使って音楽を作るわけだから。彼がNYにインスパイアされたというのは興味深いね。俺も日本が大好きすぎて、日本でレコーディングするってだけで興奮したし。だから、アイディアや言葉がどんどんiPhone(の画面上)に落ちてきたね」
 
 
■AKは、日本語が分からないという前提でLeonのラップを聴くとどんなところが特別だと感じますか?
 
AK「もちろん言葉が分からないから彼が実際にどんなことをラップしているのかまでは分からない。だけど、Leonには素晴らしいフロウがある。アメリカの友達で、俺ほど日本のカルチャーを愛していないヤツでさえ、彼のラップを聴いて(ノリを)理解することが出来た。あと、Leonのラップが良いところは、要所で英単語を入れてくるところだな。全ラインを理解できなくても、それらの単語で大体の内容がイメージできたよ」

■Leon君はラッパー的視点でAKのラップを分析すると、どんな感じになりますか?
Leon「超、バランス・タイプですね。ラップラップしてるけど、スタイルはTRAPだけじゃないし、言葉を超詰めてるってわけでもないけどクセになるリズムがある。そういった角度を突いてくるのが上手いんですよね。あと、声質も良いし。アドリブにオリジナリティがあるのも好きですね。たまに一緒にレコーディングしてると『うわ、上手すぎる』みたいになってくじけそうになります(笑)」
 
AK「俺も同じこと思ってるよ(笑)」
 
 
■「FLATBUSH ¥EN」リリース後のそれぞれの動きは?
 
Leon「今年、2ndソロ・アルバムをリリースすると思います。1stアルバムからの変化は結構あると思いますね。発声だったりも、自分の中では結構変わってます。あと、次のアルバムは多分、激しめの曲が多めになると思いますね。もっとパーティ・チューン/フロア対応の曲が多くなると思います」
 
AK「いろんなことを今年、予定してるよ。最近、『FLUORESCENT TREASURES』というジュエリー・ブランドを始めたんだけど、それのポップ・アップや海外展開をもっとやっていきたいね。あと、KENNETH CASHというシンガー/ソングライター/プロデューサーとマネージメント契約を交わした。彼はゴールデン・チャイルドだよ。俺の活動に関しては、近々また日本に来ることになるだろうね。俺のマンガの日本語版を、日本のマンガ家と作りたいんだ。相方のISSAもソロ・プロジェクトを予定しているし、俺も予定していて、THE UNDERACHIEVERSとしてのリリースも予定している。モデル活動も始めたから、全部の活動を通して自分のブランドや自分の名前をより大きなものにしようとしてるんだ」
 
Leon「あと、この作品が出ることでNYでもライヴできるかもしれないし、海外進出をもっと進めていきたいですね」
 
 

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