INTERVIEW:

AKTHESAVIOR x Leon Fanourakis

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English text from Page 3

 横浜を拠点に活動し、『高校生RAP選手権』や『ラップスタア誕生!』といったメディア上で展開された大会で優勝し、昨年1%から1stアルバム「CHIMAIRA」をリリースしたLeon Fanourakis。USシーン同様、メロディの強いラップが主流になった現在の日本語ラップ・シーンにおいて、骨太な声質と凶暴なラップ・スキルを武器にのし上がってきた彼を、次代の日本シーンを担うゴールデン・チャイルドと捉えているリスナーも多いことだろう。
 
 そして、2010年代前半からパートナーのISSA GOLDと共にTHE UNDERACHIEVERSとしてUSシーンに浮上したAKTHESAVIOR。THE UNDERACHIEVERSとしての活動のみならず、JOEY BADA$$やFLATBUSH ZOMBIESらも擁するコレクティヴ:BEAST COASTの一員でもあり、昨年はBEAST COAST名義で初となるアルバム「ESCAPE FROM NEW YORK」が話題を呼んだのも記憶に新しい。2010年代以降、NYからはA$AP ROCKYのように様々なトレンド/サウンド/スタイルを取り入れつつもNYラップの伝統性を重んじてきたラッパーが数多く登場したが、AKもそのひとりとして長年高いプロップを維持してきた。
 
 そんなAKTHESAVIORとLeon Fanourakisが邂逅を果たしたのは昨年9月のこと。大の日本通としても知られ、二度目の来日を果たしたAKと、以前から彼の大ファンだったというLeonが偶然、渋谷で出会い、その翌日には1%のスタジオでレコーディング・セッションを敢行。セッションで意気投合したふたりは、以降も共同制作を続行。その結果、コラボEPとなる本作「FLATBU$H ¥EN」が完成した。
 
 過去にも日本人ラッパーとアメリカ人ラッパーが共作した例は数多くあるし、10~20年前と比べたら日本側からUSシーンのアーティスト/プロデューサーにアプローチすることはそう難しくなくなった昨今ではあるが、それでも「FLATBU$H ¥EN」は重要な日米コラボ作として認識されるべきだ。それは、今作が多くの海外コラボ曲のようにカネやコネで実現したプロジェクトではなく、現役バリバリのラッパーである両者がそのスキルを認め合い、対等な立場で共作にまで至ったそのオーガニックな行程からも明らかだ。
 
 本作のプロモーションのために今年の2月に三度目の来日を果たしたAK。Leonと共に「FLATBU$H ¥EN」の意義や、AKの日本への深い愛情、そして両者が持つお互いへのリスペクトの想いなど、語って頂いた。
 
 
■“YOKOHAMA 2 FLATBUSH”では如何にBAPEのような日本のファッションやアジアのカルチャーから影響を受けたかラップしていますよね。若い頃、具体的にどのように日本のカルチャーに興味を持つようになったんですか?
 
AKTHESAVIOR「俺が若かった頃 — 日本のカルチャーというよりアジアのカルチャーだけど — WU-TANG CLANとかはカンフーに影響を受けていたし、俺の父親もカンフー映画を観るのが好きだったんだ。超ディープにキッカケについて話すとするなら、それが最初の体験かもね。日本のカルチャーに関して言うと、90年代後半だったと思う。ビギーだったりレジェンドたちがBAPE®を着ているのを見て、自分も2000年代前半の高校生だった頃に着だしたんだ。BILLIONAIRE BOYS CLUBやPHARRELLからも強い影響を受けているんだけど、彼は日本とアメリカのスタイルの架け橋だった。彼のそういった活動が、日本のファッションに興味を持つキッカケになったんだ。あと、もっと若かった頃によく叔母の家に行ってたんだけど、その隣人が『ドラゴンボールGT』のヴィデオ・テープを持ってたんだよね。『ドラゴンボールZ』のことはニガたちも知ってたけど、まだ『GT』とかがアメリカで放送される前の話だよ。アレがそれ以外のアニメを観ることになるゲートウェイになったね。今はすっかりアニメ・ヘッズだよ」
 
 
■BAPE®と『ドラゴンボール』のどういったところに惹かれたんですか?
 
AK「BAPE®がすごくクールだったのは、色彩が鮮やかだったことだね。ガキの頃は絵本とか、色に興味があったりするだろ?あと、パターンだったりブランドのキャラクターにも興味を惹かれたね。アメリカ発のブランドとはまったく違ったんだ。『ドラゴンボール』は超クールだったよ。俺はアクションが多めのマンガが好きなんだ。戦闘シーン、エネルギー、教訓……分かんないけど、そういった要素がガキの俺にとってはとても興味深く思えたんだ」
 
 
■そういった日本からの影響が、直接的に自身のラップ・スタイルに影響を与えたということはありますか?

AK「俺がラップするようになった理由や、俺のラップ・スタイルに影響を与えてはいないね。もちろん、引用とかに関してはアニメやファッションから引っ張ってくることはあるけど。、俺のラップ・スタイルはブルックリンに住んでたから生まれたモノだね。ブルックリンのカルチャーや、ビギー/NAS/LIL WAYNE/LUPE FIASCOといったアーティストの音楽を聴いたことが、自分のラップに対するアプローチに影響を与えたんだ」
 
 
■ブルックリンも他人種/多文化なコミュニティですよね?
 
AK「そうだね。俺の地元のフラットブッシュ地区はカリビアン・カルチャーが一箇所に凝縮されたような場所なんだ。トリニダード、ジャマイカ、ハイチ……マジで全部。そこからの影響は大きいな。俺自身、トリニダード・トバゴがルーツにあるし。ブルックリンにはデカいレゲエ・シーンもあるから、それが俺のフロウとかに影響を与えたのは間違いない」
 

 
■『ドラゴンボール』シリーズ以外で影響を受けたマンガ/アニメは?
 
AK「アニメは何百本と観てきたよ。俺の身体はアニメ絡みのタトゥーだらけだし。『幽遊白書』『犬夜叉』『HUNTER x HUNTER』『NARUTO』『BLEACH』、新しい方の『鬼滅の刃』とかかな。俺がアニメを好きな理由は、主人公たちが自分のベストを目指しながら難関を乗り越えたりゴールを目指したりするところなんだ。毎日、より頑張るためのモチベーションになっている」
 
 
■Leon君はアニメとかマンガからの影響はあったりするんですか?
 
Leon Fanourakis「アニメを観るようになったのは最近ですね。妹がアニヲタで、『オタッキーだなー』って感じで最初は見てたんですけど、自分はそういうのよりは『CARTOON NETWORK』系とかを観てましたね。だから、ちょっと偏見があったんですけど、最近になって『ワンパンマン』とか観るようになって」
 
AK「『ONE PUNCH MAN』か?あのマンガは、俺もマンガを作ろうと思うようになったキッカケなんだ。あのマンガがヒットする前のオリジナル版、まだスティック・フィギュアで描かれていた頃のね。それ以前は、俺は絵が描けないから自分のマンガなんて作れるわけがないと思ってたんだけど、あのマンガを見て『ちょっと待てよ、このニガは自分の頭の中にあることを描いただけで、他の人が世に出したのか!』って」
 
Leon「俺はそこから『ジョジョ』とか『刃牙』とか観るようになって、その辺は好きですね。『サムライチャンプルー』は、NYに住んでる友達が教えてくれて、それであのアニメとNujabesを知りましたね」
 
AK「『サムライチャンプルー』は最後まで観ろよ、メッチャ良いから。俺も首にタトゥー入れたよ(笑)。アレはアニメの中に存在するHIP HOPだな」
 
 
■Nujabesが『サムライチャンプルー』の音楽を手掛けたことは世界的にも知られていますが、それがAKにとって初めての日本のヒップホップ体験だったということですかね?
 
AK「じゃないんだよね。『FAST AND FURIOUS』って映画で使われてたTERIYAKI BOYZの“TOKYO DRIFT”が最初に聴いた日本語ラップの曲だったと思う。で、あの曲は大好きだったよ。その後、Nujabesから影響を受けたんだ」
 
 

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