INTERVIEW:

MEGA-G

■このエピソードを踏まえて「Re:BOOT」を聴くと、また違う味わいがこのアルバムに生まれますね。後半の流れとか、本当に「置き土産感」が増しますね。引退まで考えてたとは知らなかったですけど、僕も一聴したときに「自分が存在していた証を遺したいのかな?」と思ったんですよね。
 
「正にそういうことですよね。『辞める』という決意があったから、『俺っていうB・ボーイがいたんだぜ』っていう証拠を遺してフェードアウトする……っていうことを本当は平成の内にやりたかった(笑)。でも、骨折したことでその気持が揺らいで」
 
 
■MEGA-G君はHIP HOPから離れようとしたかもしれないけど、HIP HOPが……。
 
「離してくれなかったんですよねー」
 
 
■そういう風にも思えちゃいますよね。
 
「今年の4〜5月に出せなくてウズウズしてたときに、BLACK MOONがニュー・アルバム出したり、GANG STARRもアルバム出したりして、『なんか良い流れだな』とも思って。そういう流れの日本版、みたいなところに自分が上手くハマれた気がして。そこは、ケガをしてよかったな、っていう」
 
 
■怪我の功名とはよく言ったモノで(笑)。
 
「5月に出してたら、他の作品に埋もれてしまってたかもしれないし」
 
 
■ラッパーを辞めようと思ったわけですが、B・ボーイであることをやめよう、とも思った?
 
「B・ボーイは……やめられるとは思えないですね。ファッションも好きだし、音楽は聴き続けると思ったんで。だから、『いちファンになる』っていう感覚になりたかったんですよ」
 
 
■いちファンに戻って我慢できる自信はあったんですか?
 
「そこは分からないです。また疼いてきちゃうかもしれないし(笑)」
 
 
■人生の半分以上をHIP HOP/ラップに捧げてきたMEGA-G君が、決意が固かったとしても気持ち面で折り合いを付けられるのか?という。もっと苦しい思いをしてたんじゃないか?って思っちゃいますけど。
 
「そう……かもしれないですねー。でも、俺は『タバコを止める』って決めたらその日から一本も吸わないようなヤツなんで、自分に何かを課したら絶対に貫くという、謎に意固地なところもあるんですよね。だから、ラップを本当に辞めたらずっとやらないかもしれない。メシアもそうなんですよね。アイツもスパッとラップ辞めたし。アイツの決断が凄かったのは、全盛期で辞めたことで。全盛期で辞めた相方の一方、自分はグダグダ続けちゃって、『俺、フェードアウトするタイミング失なってるよなー』っていう想いはずっとあったんですよ。あと、自分が求めてたようなHIP HOPがちょっと下火になっていって、自分が理解できないHIP HOPもどんどん流行り出したときに、『時代の変わり目が来て自分が下がる時が来たんじゃないか?』っていうのをかなり感じたんです。だから、潔く自分は身を引いて後進に道を譲るべきだ、って。でも、“ナレッジ”はラップを通して吹き込んで遺したかった」
 
 
■ヴェテランがこのような内容のアルバムを作ると、懐古主義になりすぎたり説教臭くなったりするリスクもありますよね。でも、今作が誠実なのは、決してそうならないように要所で気を使ってるところだと思うんですよね。決して、昨今の流れを批判しているわけではないし。
 
「やっぱり、現状というのは受け入れたいんですよね。自分の今の立ち位置も冷静に見たかったし、そう考えたらやっぱり、俺は“旬”じゃないと思って。その上で、『自分がやれることって何だろう?』って自問自答して。あと、ラッパーで若い世代にこういうことを教える人がいないな、とも思ったんです。大袈裟に言ったら“ティーチャー”じゃないですけど、YOU THE ROCK★さんがそうだったみたいに、ラップを通して若い世代に教える人がいなくなっちゃったな、って。HIP HOPを軸にして何かを人に伝えたいというか、メッセージ性を大事にしたくなったんですよね。『HIP HOPって本来、そういうモノだったよな』って思い始めて。楽曲を通して教訓があったり、聴いた後に何かが感じられるような曲を作りたいと思ったんです。曲を通して知識を若い世代に託すことで、『HIP HOP、もっと好きになってくれよ!』っていう(笑)」
 
 
■「HIP HOP、もっと好きになってくれよ!」……実は深い言葉ですね。
 
「(昨年末に起きた、ラップ・バトルの罰ゲームで男子高校生が死亡した件などを踏まえ)上辺だけじゃなくて、本質的な部分で。『悪いことして目立ったヤツが勝ち』みたいな感じって、俺からするとHIP HOPから一番遠くて、悪いヤツが悪い環境から脱却することが本質だと思うし、脱却するまでのプロセスが大事だと思うんですよ」
 

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