INTERVIEW:

THA BLUE HERB

■“TRAINING DAYS”の中では「あのライン」をサンプリングしていますね。BOSSさんのソロ“44 YEARS OLD”でのYOU THE ROCK☆との客演に続き、この曲とグループ間に起きたビーフ(とリスナー的には思われたもの)との関係性を考えると、非常に感慨深いものがあります。
 
ILL-BOSSTINO「このラインが出た当時から『これはBOSSのことを歌ってるんじゃないの?』っていろんな人間に言われたんだけど、当時の俺は上手く受け取れなくて、ちょっと面倒な流れを作ってしまって……。ただ、みんな知ってる通り、この何年間の間に彼とも直接会って、握手して、面と向かって話した。その上でこのラインを使ったんだよね。それに、昔の曲のラインをコスッて使って、あの一言を入れただけなのに、いろんな感情が沸くでしょ。HIP HOP好きならこのスト-リーに反応してくれると思うし、そういう文化であるHIP HOPって超ユニークだって改めて思ったよね」
 
 
■一方で“AGED BEEF”のように、MCバトル・ブームに対する考えも表明されていますね。
 
ILL-BOSSTINO「そこも完全にさっきの話と連鎖してて。俺らはそうやって(ビーフを仕掛けて)出てきた人間だから、なにか事を仕掛ける人に対しては何も言えねぇ。でも、20年前に彼やYOUちゃんに対して俺が吐いた、若さに任せた邪悪な言葉、それを清算するのに — 簡単な一言だよ — 20年かかったわけだ。そのときの俺には、俺なりの正義や言い分があったし、その気持ちでその言葉を吐いたのは事実。だから、全面的に謝罪するということはない。でも、その自分が吐いた言葉を背負って、その相手にその思いを清算するまでに20年かかってしまったことも事実。彼の言葉を自分としてちゃんと受け止めて、それを返すまでに20年かかってしまった」
 
 
■決して短くはないですね。
 
ILL-BOSSTINO「それと同じような邪悪な言葉 — 『殺す』とか『死ね』っていうもっと直接的な邪悪な言葉を、抽選だったり、運営側が決めた相手に、MCバトルだから/ゲームだからってぶつける現状がある。それは俺にとってはすごく恐ろしい。毎週毎月、どこかでラッパー同士が『殺す』『死ね』って言い合ってる。その言葉を、これからお前らはどう清算するんだよ?って。『ゲームだから』って言うなら、逆にそのラップ/言葉はそんなに軽いのか?って。MCバトルに違和感を持ってるのはそこだよね。もちろん、R-指定レヴェルのフリースタイルを観てしまうと、俺はリリックに打ち込むしかないと思わされる。般若とR-指定の『フリースタイルダンジョン』のラスト・バトルなんて、最高だったよ」
 
 
■あのバトルは、バトルの健康的な側面が出ていましたね。
 
ILL-BOSSTINO「でも同時に、初めて会うような相手に『殺す』『死ね』って邪悪な言葉をぶつけあうバトルもあって、それを見て客も盛り上がる。そして、『それがHIP HOPだ』というそのシステム。そこに対しては、やっぱり……俺は黙ってられないね。俺には俺の言いたいことがあるから、言っただけ」
 
 
■だから、単純なブーム批判だったりとか、バトル批判っていうよりは、そのシステムへの視点で書かれていますね。
 
ILL-BOSSTINO「『システムや運営側にいいように戦わされてるんじゃねーぞ、お前ら』って。ローマ時代のコロシアムみたいな残酷なことをやらされてるし、やらせてるよ。みんな気付いてないよ、その重み、傷の深さに。でも、みんな稼ぎたいし、有名になりたいし、腹も減ってる。だから、バトルに出てその手に掴みたいっていうのも分かる。でも、一方でそれを餌にしてバトルをやらせてる側は、とても残酷だよ。それに、やらせてる側も、みんなどことなくクエスチョンは持ってる筈なんだよ。そこまで無邪気じゃないと思うし、どこか一抹の痛みなり、疑問があるはずだと、俺は勝手に思ってる。それでも、結局それをやらせてるなら、意外と罪深いぜ。しかも、そういう状況がデフォルトになって、若い子たちがずっとがバトルで起こることを全て正義だと思ってしまって、『これこそHIP HOP』って言って出てきたら、誰が責任取るの?って感じだよ」
 
 
■そういった危機感は、非常に強く出ていますね。
 
ILL-BOSSTINO「危ういよね。すごく危うい」
 
 
■アルバムを“今日無事”と“MAKE IT LAST FOR…”という2曲で終わらせられますが、この2曲でこれまでのアルバムの言葉が収斂していく感触がありますね。そして、その言葉は完全にリスナーに開かれている。
 
ILL-BOSSTINO「そうだね。独り言では終わってないし、独白ではないね。それはやっぱりライヴをやって人前に立っているし、自主制作だからこそよく分かることかもしれない。どれくらいの人間が支えてくれてるかが分かってるし、そういう人のおかげで好きなことが出来て、求人情報誌は買わないで済んでるよ(笑)。そして、そういう人たちと一緒に上がりたいよね。本当に大切に思ってるし感謝してる、みんなのことは」
 
 
■2枚組という形で自分たちを総括しつつ、ネクスト・フェーズを見据えた上で伺いますが、そのネクスト・フェーズはどういう形になりそうですか?
 
ILL-BOSSTINO「今までの経験上、ここから何百本とライブを重ねて、この曲たちがそこで鍛えられて、完成形に近づいていくと思うんだよね。アルバム出たばっかりのコイツら(楽曲たち)はまだ赤ん坊みたいなモンで、ここから成長していくんだと思う。そして、その鍛錬が終わったら、次に進むんだろうね。だから、いつものパターンだよ。ライヴをして、吸収して、その先に進む、っていうさ」
 
O.N.O「作り終わったばかりなのに、もう毎日ビートを作り始めてるしね。だから、まだまだ行けると思う。それはTBHに向けてもそうだし、自分のソロとしても。他のラッパーにも曲提供したいしね。DJで使いたい曲もなかなか売ってなかったりするから、そうなると、もう自分で作ったほうが早いと思うし、作り続けるしかないよね(笑)」
 
 
■最高ですね。「欲しい音源は自分で作るしかない」という。
 
ILL-BOSSTINO「基本だね、俺らの(笑)」
 
 
■それだけクリエイトすることが楽しい、というか。
 
ILL-BOSSTINO「そうだね。俺たちは相変わらず、HIP HOPの青春真っ只中だからさ(笑)」
 
 
THA BLUE HERB TOUR INFO
11月22日(金)@京都KBSホール
11月23日(土)@鹿児島SR Hall
11月24日(日)@熊本NAVARO
11月27日(水)@高松TOONICE
11月28日(木)@松山Double-u Studio
11月30日(土)@高知CARAVAN SARY
12月1日(日)@徳島GRINDHOUSE
12月9日(月)@恵比寿LIQUIDROOM
12月13日(金)@札幌KLUB COUNTER ACTION
12月14日(土)@札幌MORROWZONE
12月19日(木)@新宿BLAZE
12月21日(土)@大阪CIRCUS
12月27日(金)@名古屋club JB’S
12月29日(日)@渋谷contact
 
前売りチケット/問い合わせ先の詳細はオフィシャル・サイトまで
http://www.tbhr.co.jp/jp/liveschedule/

 
 

To Page topTo Page top