INTERVIEW:

餓鬼レンジャー

「5人集まってグループを継続して、定期的にアルバムを出すっていうのは、今のご時世かなりハードルが高いと思うんですけど、このやり方でOKならば、それも乗り越えられるのかな、って」 -- ポチョムキン

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 いきなり私事で恐縮だが、Creepy NutsのR-指定と『Rの異常な愛情』というトーク・イヴェントを定期開催している。その中で、如何にR-指定が餓鬼レンジャーから影響を受けてきたかというのは、毎回のように語られるし、第三回では丸々一回を『テーマ:餓鬼レンジャー』として開催し、3時間以上かけても語り尽くせなかった程である。そして、R-指定だけではなく、彼ら世代のラッパーに話を訊くと、かなりの確率で餓鬼レンジャーからの影響であったり、お手本にしていたのが餓鬼レンジャーだったという話が登場する。
 
 事程左様に、餓鬼レンジャーはレジェンド・グループであることに間違いはない!……のだが、やはり新作「ティンカーベル 〜ネバーランドの妖精たち〜」から流れる、その「レジェンドなのに……」感は、レジェンド枠に行くことを自ら放棄してるのではないか?という疑念さえ湧いてくる。
 
 もちろん、豪華且つフレッシュな客演陣の参加は、彼らのプロップスの高さ故であることは間違いない。そして、今回のアルバムの内容精度の高さも、やはり餓鬼レンジャーだからこそ、なのではある。
 
 しかし、異常に丁寧に作られたスキットや、急に不安な世界観を提示して終わるエンディングなど、その一筋縄では行かない感じというか、一筋縄でいかせることへの“照れ”、しかしとんでもないレベルのスキルとトラックを感じると、やはりこの感覚こそ餓鬼レンジャーなのだ!と思いを新たにする。
 
 餓鬼レンジャーはレジェンド枠にふんぞり返らず、常に現役で突っ走る!
 
「いや、レジェンドだって崇めてくれていいんですけどね」(ポチョムキン談)

(本インタビュー、YOSHIは欠席)
 
 
■今回のアルバムは、資料によるとコンセプト・アルバムという切り口ですね。
 
ポチョムキン「4月20日に行なわれた『餓鬼園祭』というフェスがありきで、アルバムのコンセプトを立てたんですよね。それもあって客演も多くて」
 
GP「そしてお気付きの通り、YOSHIくんの参加率が低いという(笑)」
 
 
 
■リーダーなのに(笑)。
 
ポチョムキン「一番スケジュールが取れないんで(笑)」
 
GP「実際、YOSHI君は大阪在住なんで、スケジュールが現実的に切りにくいっていうのもあるんですよね」
 
DJオショウ「でも、メンバーが揃わなくても作品を完成させるっていうスキルはかなり高まってる。それはYOSHI君が参加してない楽曲もあるけど、『餓鬼レンジャーという看板』は全曲が背負ってるからじゃないかな」
 
GP「楽曲の題材や歌う内容は『餓鬼レンジャーらしさ』を考えているんで、そうなっていきますね。あと、『誰が聴いても傷つかない』っていうアプローチは保ちたい」
 
 
 
■特に再始動後の餓鬼レンジャー楽曲はそういったアプローチになってますね。ボースティングも“ちょっとだけバカ”での「ただラップが日本一現状」のように単純に言い切ってしまうというか。そこで何かと比較したり、何かを貶めて、自分たちを上げるものではない。
 
ポチョムキン「今の餓鬼レンジャーにそういうのはないですね、随喜と真田2.0の“☆T.O.B.E.R.A☆ feat DARTHREIDER YOSHI”とかで人を傷つけてきましたから……」
 
GP「ウ◯コを投げる曲(真田人“手乗りウンチョほーり投げ運動 feat. ポチョムキン”)も作ってるしね」
 
 
 
■真田人さんと一緒に作ると人を傷つけてしまう、と(笑)。そんな真田人さんとグループを組んでいた(る?)オショウさんはどう思いますか?
 
DJオショウ「70ぐらいからウ◯コ投げてもいいんじゃないの?不良爺さん、みたいな」
 
GP「ウ◯コ投げるのは不良なの?(笑)」
 
 
 
■70超えてウ◯コ投げるのはまた別の原因……ってどういう話ですか!
 
GP「アルバムのサイズ感的にもちょうど良いよね、今回は。ぱっと聴ける、っていう」
 
ポチョムキン「40分ぐらいでまとめるのが、今のムードなのかな?とも思ったし」
 
GP「ただ、外せないポイントは“スキット”。今の時代、サブスクでプレイリストで、っていう聴き方が多いから、スキットやイントロの必要性は弱まってるかもしれないけど、餓鬼レンジャーはそこにこだわりたい」
 
ポチョムキン「今回も1曲につき1スキットは作ってるんですよね。そして、その中で採用されたのが、今回の“ニート合唱団 ~Intro~”と“妖精VS人間 ~Skit~”」
 
 
 
■かなりふるいにかけましたね。
 
GP「毎回作品を作って思うのは、オショウとポチョムキンの演技力がかなり上がってた、と(笑)」
 
ポチョムキン「これから餓鬼レンジャーを聴く人には、このアルバムやベスト盤(「WEAPON G」)も聴いてほしいけど、『なにか1曲』と言われたら、“妖精VS人間 ~Skit~”。これを聴いてくれれば、餓鬼レンジャーの全てが分かる(笑)」
 
DJオショウ「妖精の声はポチョムキンで間違いないんですけど、人間の声は僕じゃなくて、構成作家の須藤陽平さんなんですよ」
 
ポチョムキン「須藤君はサンドウィッチマンのネタとかを一緒に作ってる人で」
 
GP「『スキットを録るための日』っていうのをレコーディング日程に入れてるからね(笑)。だから、次のアルバムはスキット集かもしれない。スキット・アルバムを出したHIP HOPグループはいないでしょ」
 
ポチョムキン「ミュージシャンでいないでしょ」
 
 
 
■『スネークマンショー』ですよ、それじゃ。でも“咲坂と桃内のごきげんいかが1・2・3”を考えると、日本のラップ文脈では正統派なのか……(笑)。今回の楽曲ごとのコンセプトはどのように決めていったんですか?
 
GP「曲制作の分担も決めたんですよね。『この曲はポチョが』『この曲は僕が』みたいに、楽曲ごとにイニシアチヴを握る人を決めて」
 
ポチョムキン「その上で“クライマックス”だったら、『餓鬼園祭のラストで披露しよう、YOSHIくんだったらやっぱり韻で』みたいにコンセプトを立てていって」
 
GP「それぞれがリーダーとして曲の制作を進めていったんで、そこで作品のヴァラエティが結果的に出たという部分もあると思いますね」
 
DJオショウ「根っこは餓鬼レンジャーなんだけど、コンピレーション感が出たとしたら、その部分が影響してるかもしれない」
 
ポチョムキン「だから、『メンバーそれぞれのフィルターを通した餓鬼レンジャー像』が楽曲に反映されているという部分もありますね」
 
GP「確かに客演が多いから、クレジットだけ見ると分散してるように思えるかもしれないけど、聴いてもらえればそこも違和感はないと思いますね」