INTERVIEW:

BUPPON/KOJOE/illmore

kojoe

KOJOE

 
 
■illmore君が全曲トラックを手がけるという方向性を提案したのはKOJOE君なんですか?
 
KOJOE「そう。最初は、俺含め、他のいろんなビート・メイカーからチョイスしていこうかな、って思ったんだけど、俺の中で今、illmoreが熱いっていうのがあったし。あと、新しい空気感を吹き込みたいのに、そこで俺がビートで参加するのもちょっと違うかな、と思って。俺がトラックを手がけたら、俺とBUPPONが好きな、安定の分かりやすい音になってしまいそうな気もしたし。BUPPONが感じていた“壁”を抜けるためには、illmoreとやるのが得策なんじゃないかな?と。illmoreもビートを作りまくってるけど、もっと作らせようと思ってたし(笑)」
 
illmore「ホントそうでしたね(笑)」
 
KOJOE「みんなで修行、みたいな(笑)」
 
 
■illmore君は大分が地元ですよね?ビートはいつぐらいから作ってるんですか?
 
illmore「今、28歳なんですけど、最初にビートを作ったのは15〜6歳ぐらいですね。その頃のは、全然『作れた』って言えるようなレヴェルじゃなかったですけど。それこそ『ターンテーブルを買ったらビートが作れる』って思ってたぐらい、よく分かってなかったです。そこから、周りに作り方を教えてくれる人を探しても出会わず、『大学に入ったらいるだろう』と思ってたけど、出会わず(笑)。で、結局DJをやってたんですけど、『お前はコレがHIP HOPで、コレはHIP HOPじゃない』みたいな感じに、周りの価値観を押し付けられて嫌いになりそうになって、元々好きだったビート・メイクをちゃんとやろう、と動き出したのが22歳ぐらいのときですかね」
 

 
■“Reverse”や“Time 2 Quit”のトラックを聴くと、J DILLAや初期KANYE WESTからの影響を感じます。
 
illmore「正にそこら辺ですね。純粋に、どうやってビートを作るのかが分からなくて、DVDやYouTubeとかで観た制作映像がたまたまJ DILLAやKANYEだっただけ、という感じなんです。他にも影響を受けた人はいろいろいましたけど、結果的にはこのふたりからの影響は強いかもしれないです」
 
 
■だけど、ドラムの打ち込みは流行りのTRAP調のモノも多くて、ビートの構成はJ DILLAや初期KANYEのようなスタイルに寄っているわけではないですよね。
 
illmore「いろいろな音が好きで、TRAPな音も好きだしサンプリング系も好きだから作っているというだけで。だから、いろいろなことが出来る一方、『自分の音って何だ?』ということに関してはいまだに迷ってて、今もまだ模索中なんです。ルーツを辿っていくと自分は音楽一家で、父親がトランペッター、母親がピアノとフルートをやってて、妹はバイオリンで僕はチェロをやってたんです。叔父はブルースマンだったりするんで、叔父の家に行ったらファンクやブルースをひたすら聴かされて、実家ではクラシック、学校ではJ-POP、みたいな。だから、常にいろんな音楽が流れててごちゃ混ぜで聴いてたんで、いろんなスタイルが好きになったというのもあると思います」
 
KOJOE「俺が感じるのは、サンプリングだろうが何だろうが、メロディ作りにポップ・センスを感じるんだよね。耳に入ってきやすい。だけど別にポップではないというか、すごいドープなサウンドでもメロディが気持ち良く入ってくるモノを選んでるな、って」
 
 
■今作でも、サンプリング色強いトラックから、TRAPはTRAPでもEDM寄りのTRAPみたいなトラックもありますよね。illmore君名義の作品やKOJOE君の楽曲からもその幅広さは分かっていましたけど、この幅広さをBUPPON君のアルバムにぶつけるというのがビックリしたんですよね。
 
BUPPON「illmoreとふたりだけでやってたら、多分特定の方向のトラックになってたと思うんですけど」
 
illmore「そこは結果的に、KOJOEさんのディレクションでこういう感じになりましたね。僕のビートで全部やらせてもらったし、この3人で作ったようなモノですけど、ちょっと客観視して違う人が出したアルバム、みたいな感覚になれましたね」
 
KOJOE「俺は、長嶋監督みたいなモンで、朝イチとかにアイディアをパッと思いついたら取り敢えず電話して、『ちょっと“飛び道具”ないかな?クラブとかでバーンってなるみたいなヤツ、作って』みたいな(笑)」
 
illmore「でも、具体的なイメージも伝えてくれたんで、分かりやすかったです」
 
BUPPON「多分、今作のKOJOE君は僕だけじゃなくてillmoreも含めてプロデュースしてたんだと思うんですよ」
 
 
■ストックのトラックを送って、そこからただ選ぶのではなく、アルバムの全体像を踏まえてトラックを作っていくことで、より踏み込んだプロデュース作業の過程を経験できたんじゃないですか?
 
illmore「正にそうですね」
 
KOJOE「しかも、ミックスとマスタリングも俺とillmoreのふたりだけで完結してて。俺がミックスして、マスタリングをillmoreにやってもらって。それって作業の中では地味な部分だけど、スゲェデカイよね。スゲェ大変だよな、楽しいけど(笑)」
 
illmore「ですね(笑)」
 
BUPPON「だから、本当にこの3人でしか作業をやってない」
 
KOJOE「でも、それが大事だと思ってて。illmoreも“ビート・メイカー”から“プロデューサー”になりたい、っていう想いがあって、それをやるなら全部イン・ハウスで作業を完結させて、それでお客さんがどう判断するか、っていうのを見極める作業を何回も続けていかないと出来ないことだから。もう、『NYのどこどこのマスタリング・スタジオに出せば良くなる』とか、そういう時代じゃないから。安い機材でも、アーティストの好みの音がどれだけオーディエンスにフィットするか、っていう話じゃん。それを自分たちだけで出来る、というのが近道だな、って」
 

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