INTERVIEW:

ANARCHYによる「The KING」全曲解説

10. Yes or No feat. SEEDA 
Pro. by YamieZimmer

 
「こうやって、俺とSEEDAが一緒に演るときが来ると思ってなかったでしょ?あの番組(『ラップスタア誕生』)で共演してるというのも大きいですね」
 
■SEEDAとは、MICRHOPHONE PAGER “MP5000FT feat. ANARCHY, SEEDA”(09年)以来、10年振りの共演なんですね。お互いキャリアも長いのに、ここまで期間が空いたのには理由がありますか?
「以前は、ちょっと突っ張ってた部分があったんじゃないですかね。SEEDAとは同世代やし、いろんなところで比較されることも多かったじゃないですか。で、お互いいろんなことを経て、今となっては彼と話してるときに『SEEDAがいたから俺も頑張れたよ』って言える仲になれたし、『今こそ一緒に曲を作れる時が来たのかな?』みたいな。昔は、SEEDAの曲は敢えて聴いてなかったんです。『どうせダサイやろ』って、俺は正直思ってた(笑)。けど、今聴くと俺に出来ひんことをやってたし、凄いラッパーやな、って思います。お互い、腹を割ってリスペクトし合える関係になれたのがスゲェ嬉しいです。だけど、ただシリアスで『俺たちはここまでサヴァイヴしてきた』みたいな熱い内容にしたくなくて、『それ、アリなん?』って、適当な感じやけど核心を突いたようなテーマでSEEDAと歌うのが面白いかな?って。『昔、コレってHIP HOP的にはナシやったのに、今はアリやん?』みたいな会話をしてて、『そういうこと、歌わへん?』ってなったんですよね。俺らみたいに、これまでのHIP HOPを見てきたヤツらにしか書けない、『別にエエねんで、アリなんやで。でも、ホンマはナシやで』っていうことを、ユーモアを交えて歌えたらな、って。別に、若い子をディスりたいわけじゃないんですよね。だけど、リリックで『イカれたフリとか無理したり』とか『口パクでもウケればいい』って言ってますけど、そういうところはやっぱ『いや、違うやろ』って思います。『そんな曲、残らへん』とは思ってます。カッコ良いと思う若手の曲はいっぱいあるけど、『喰らう曲』は正直、ほとんどないです」
 
 
11. Brand feat. JIN DOGG 
Pro. by COOKIN’ SOUL

「JIN DOGGのことを知ったのは、結構最近なんですよね」
 
■昨年9月に開催された主催イヴェント『ANARCHY & 1% presents “THE RAPPER”』に彼を呼んだ時期ぐらい、ですかね?
「その頃ですね。いろんなインタビュアーからJIN DOGGの名前を聞いて。で、『映像観てください』って言われて観たら『あ、良いな』って。そこからチェックするようになりました。この曲を作ったのは『THE RAPPER』を開催するちょっと前ですね」
 
■ANARCHY君は、ある程度付き合いや繋がりがないと共演はしてこなかったタイプだと思うんですけど、彼に関してはそれぐらいの関係性でも呼んだんですね。
「そうですね。だけど、一緒に演る前に直接、会いには行きましたよ、大阪に。『JIN DOGGがいる』って噂を聞いて、彼がいるクラブまで遊びに行って、『曲をやろうぜ』って話をしました」
 
■自分から会いに行って、その場で共演オファーって、相手もビックリしそうですよね(笑)。
「軽いな、俺(笑)。この曲のJIN DOGGは、ヤバイ」
 
■先程、「俺よりカッコ良いヴァースが入っててもよかった」と語っていましたけど、この曲でのJIN DOGGも同様?
「俺の存在が薄くなってもいいと思ったし、この曲に関してもJIN DOGGのめっちゃカッコ良いヴァースが欲しかった。だから、この曲は『JIN DOGGの曲』かな、って。どちらかと言うと『JIN DOGG feat. ANARCHY』にちょっと近い気持ちです(笑)。でも、そういう感じにするのもそれはそれで難しかったですね。俺は敢えて単調な感じのラップにしたんですよね。で、その間にJIN DOGGのエッジの効いたラップが載ってるのが、俺的には気持ち良い。だから、この曲こそ勝ち負けじゃなくて、『一緒に作ることで面白い曲にしたい』という気持ちでした」
 
 
12. Spend It feat. Young Coco 
Pro. by AVA1ANCHE

 
■Young CocoもJIN DOGGと同じ関西のアーティストで、近いフィールドで勢いのあるラッパーですね。
「彼とはここ1年ぐらい、ちょいちょい会うようになってた人ですね。『THE RAPPER』にも出てくれたし。この曲は制作の終盤に作った曲ですね。彼のいろんな曲を聴いても、自分に持ってないモノがあるのが分かる。正直、『どんなモンかな?』と思ってた部分もあったけど、実際にスタジオに入ったら彼の才能に驚きましたね。説明するのは難しいんですけど、自分でパソコンいじって録音作業も出来ちゃうし、頭の中にそういう作業工程がないと、出来ないことじゃないですか。俺はそういう考えが頭の中にないし、そういう技術もないんで。そういうところはスゲェ勉強させてもらいましたね。この曲の歌サビも、俺の普段の曲にはない軽やかな感じなんですけど、ヴァース部分は俺がちゃんとラップして、彼には敢えてサビだけやってもらって気持ち良い感じにしてほしかったんですけど、その期待に応えてくれましたね」
 
 
13. Lucky 13 feat. WILYWNKA 
Pro. by AVA1ANCHE

 
■WILYWNKAは1PERCENT第一弾アーティストとしてデビューしましたが、関西のストリート・シーンから這い上がってきたという意味では、ANARCHY君とも通じる部分がありますよね。
「やっぱりストリートにいていろんな先輩たちがいる中で揉まれながら、育ちの環境云々じゃない部分でいろんな経験をしてきてると思うんですよね。逆に、ラッパーとしては良い環境にいてきたとも思います」
 
■TAKA名義の時代から彼のことは知っていて、ここに至るまでの紆余曲折もANARCHY君は知ってると思いますが、今の彼の活躍振りを見ていてどう思いますか?
「初めの頃は『音源作ったら良いやろうな』とかは思ってましたし、1%に入って作り初めた時点でも、俺の中ではまだ半信半疑な部分があったんです。ヤバいラッパーなのは分かってたけど、どこまで成長してどうなっていくか、という部分に関しては未知やった。だけど、俺の想像を全然超えてきてると思うし、ちょっとアイツは、ヤバイんじゃないですか?」
 
■ツアーも全会場、ソールドアウトだったみたいですからね。彼は次の時代を引っ張る存在になると思っていますか?
「はい。彼も以前のようなただのガキじゃなくなったし、それだけの意識の高さもあると思います。さっきの話じゃないけど、アレは『プロのラッパー』になったな、と思ってます。それって結構難しいことなんで」
 
■まだ22歳ですしね。同じ年齢の自分と比べると、彼の方がしっかりしてると思う?
「もちろんそうでしょ。しっかり度もそうだし、彼のようなラッパーとしての意識の高さは、22歳の頃の俺にはなかったです。だから、彼にはスゲェ期待してるし、俺の想像も更に超えてくれるんじゃないかな、って」
 
■初共演ですよね?WILYWNKAも結構テンションが上がったコラボだったんじゃないですか?
「アイツはそういう素振りは見せなかったですね。『良いっすね、やりますよ』って感じでした(笑)。でも、ちょっとでも『ANARCHYと演れる時が来たんか』って思ってくれてたら嬉しいです」
 
■アルバムのラストに相応しい、シリアスな曲ですね。
「『ラスト曲には良い曲(シリアスな曲)を入れる』というのは、俺のアルバムに関しては絶対考えてることなんです。全曲気に入ってるけど、特にこの曲には大事な言葉が詰まってると思いますね。“ラッキー13”って、不思議な言葉じゃないですか?」
 
■13には本来、不吉なイメージもありますからね。
「WILYWNKAも俺も、全てをひっくり返してきて今の状況があるけど、『全てが当たり前じゃないよ』っていう。コレは、WILYWNKAに向けてラップしてる部分もありますね。ファンに写真を撮られることも、ステージの上に立ってることも、俺とアイツが曲をやってることや、このアルバムでこれだけのメンツと一緒に曲を作れてることも、全て『当たり前』じゃない、って」
 
 
 
 
■今作以降の流れで言うと、既に初監督を務める映画『WALKING MAN』(主演:野村周平)の公開が決まってますね。
「映画はもう、撮り終わって編集も終わりましたね」
 
■監督ということは、実際にメガホンとかを持って指示をしたりしたんですか?
「はい(笑)。いやー、もう、勉強だらけの現場でしたね。俺が一番、素人やったわけだし。徐々に慣れてはいきましたけど、最初の頃は頭の中がパニックでしたね。撮影するシーン毎にOKかどうかを出す決断の連続やったし。俺が『もう一回』って言ったら撮り直しやし、どこが正解なのかが分からない部分もやっぱりあったんで。助監督さんや周りのプロの人たちに助けられて出来ましたね。みんな、俺が伝えたいことや作りたい“画”を表現するために動いてくれるスタッフが集まってくれたんで、なんとかなりました。友達がいいひん、喋り下手な普通の男の子がラップを始めちゃう — 『言いたいことが溜まってしまったヤツが始めちゃうのがラップだよ』っていう、“HIP HOP初級編”な映画になりました。HIP HOPって言うと、どうしても派手な部分を映像で見せがちだけど、そこじゃない“初期衝動”の部分を見せたかった。HIP HOPに関わってない人や『ラップってどうやったら出来るんやろ?』って思ってる人にも観てほしいですね」
 
■映画の撮影が終わっているということは、次作に向けても近い内に取り掛かりそうですね。
「ここら辺から、クリエイトの方向に引きこもっていこうかな、と。『1stアルバムが良い』って言われる意味が今になって分かってきたんです。自分からしたら、1st以降のアルバムの方が好きな部分があるけど、1stアルバムが良いのは、アルバムに至るまで — 『ROB THE WORLD』を作ったのは25歳ぐらいの頃でしたけど、それまでの自分が詰まってたからなんやな、って。次のアルバムの内容まではまだ言えないけど、ここまでの自分の人生が詰まったモノを作ろうと思ってます。だから、大作になると思うし、ラッパーとしてのホンマのANARCHY、ANARCHYというジャンルの音楽を作るつもりでいます。今年はそれが俺の目標です」
 
 
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LIVE INFO
ANARCHY “THE KING” TOUR SPECIAL
Supported by Bitsmith

場所:EX Theater Roppongi
日時:6月12日(水)18:30開場/19:30開演
出演:ANARCHY/AKLO/Awich/般若/IO (Kandytown)/Jin Dogg/Leon Fanourakis/MACCHO (Ozrosaurus)/MIYACHI/SEEDA/T-Pablow (BAD HOP)/WILYWNKA/Young Coco 他
(問)チッタワークス:044-276-8841(平日12:00〜19:00)
プレイガイド:LINEチケットぴあe+(イープラス)ローチケ
 

 
 

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