INTERVIEW:

ANARCHYによる「The KING」全曲解説

 

 
06. The Professional feat. IO 
Pro. by KM

 
「IOとは現場とかで会ってる内にいろんなところで遊んだりするようになって、ずっと気になってる人のひとりでした。共演という意味では、彼のアルバム『Mood Blue』に“This Time”という曲に呼んでもらったのが最初ですね。あのときは最初からトラックが決まってたし、彼のフィールドでやった感じやったんで、一回自分のフィールドでもう一曲作ってみたいな、って思ってたんです。トラックはIOに選んでもらって、ラップは俺から書きました。俺は、プロデューサーのKM君とはほぼ面識がなくて、IOの知り合いだったんです。テーマは……特にないんですよ(笑)。まあ、『ラップのプロっす』って感じですね(笑)」
 
■誰でも自称ならラッパーになれるわけですけど、プロとアマの違いについてはどう考えてますか?
「どの業界でもそれでメシを食ってたらプロじゃないんですかね?意識的な部分もあるのかな?メシを食えてなくてもスキルが高ければプロなのかもしれないし。でも、ほとんど“アマ”ですよね。100人ラッパーがいたら、その内10人もプロっていますかね?ラップって、一番そこの線引きがムズいですよね」
 
■プロのラッパーの条件としては、今日みたいにインタビューに遅刻しないというのも入れてほしいですけどね……。
「(笑)いや、『遅れる』は逆にプロ・ラッパーの条件です(笑)。アカンやつやな(笑)」
 
■確かに、かなりの割合が遅れてきます(笑)。
 
 
07. Shine In The Life feat. Leon Fanourakis 
Pro. by COOKIN’ SOUL

 
■LeonはANARCHY君主宰のONEPERCENT所属なんで、この起用も納得ですね。でも、彼は今作の客演陣の中では最年少じゃないですか?
「そうですよ。というか、今まで一緒に演ったラッパーの中でも最年少です」
 
■彼を最初に知ったのは、彼が『高校生RAP選手権』に出場した頃ですか?
「そのときからカッコ良いと思ってたし、WILYWNKAもそうだったけど、バトルを見て『音源を聴きたい』と思わされたラッパーでした。日本の音楽を聴いてる感覚じゃないような、何を言っててもいいと思わされるんですよね。もちろん、今後は『刺さる』曲をいっぱい作っていってほしいけど。だけど、俺は彼ぐらいの歳にこんなラップは絶対出来ひんかった。これまで、10代でここまでスキルのあるラッパーっていました?良いラッパーはいっぱいいたと思うけど。もちろん、“上手さ”だけがラップのテクニックじゃなくて、『聴かせるラップ』が出来るかどうか、というのもテクニックだと思うんですけど、一聴して『カッケェ!』って思わせるのが大事だとも思う。これから1stアルバムが出るけど、それもどんな反響があるか楽しみです。この曲は『このトラックにLeonが乗ったらヤバイなー』っていうところから作っていったから、彼に寄せた曲ですね。だから、俺もLeonに合わせたラップをしてみました。言葉をハメる場所とかテンポ感とか。他の人が自分と違うことをやってると、『俺もやってみたい』と思うタイプなんですよね。結局、寄せてみても俺な感じにはなるんですけどね」
 
■彼との制作はどうでしたか?
「淡々と作業してたけど、最近の若い子たちは耳も肥えてるからなのか、拘りとかも強いのかもしれないですね。俺とかはパッと録って『あ、良いやん』って思うところを、彼は細かい部分にもいろいろ気を使ってて。だから、学ぶ部分が多い。『ここのラップで音を抜いたらいいかな?』とか、Leonにアドバイスを求めたこともありますね」
 

 
08. Loca feat. Awich 
Pro. by Chaki Zulu

 
■Awichとは彼女名義の“WHORU?”でも共演済みですし、あの曲もバズってライヴで度々共演もしてるから、ここ数年ではお馴染みの共演相手ですね。だから、ANARCHYのファンなら今作で誰もが期待した共演相手だったと思います。
「『女の子を入れたいな』とは思ってたけど、今作はAwich以外は考えられなかった。彼女との相性も良いと思ってるし、初めて彼女のラップを聴いたときからずっと好きなんですよね」
 
■Awichと最初にリンクしたのはどんなシチュエーションだったんですか?
「Chaki Zuluから『良いラッパーが沖縄にいる』とは聞いてたんですよね。彼女がまだYENTOWNの一員になる前、まだアンダーグラウンド・レヴェルでライヴをやってた頃です。で、何年か前に沖縄に行ったときにライヴを観たんですよね。ちっちゃいバーで、黒人とかしかいない、ステージもないようなところだったけど、そのライヴを観てスゲェ食らったんです。黒人の客の目の前まで行って歌いまくる、みたいな。『度胸がスゲェな、カッケェ!』って本当に思わされた。で、すぐ話しかけて『お前、ヤバイな。明日、俺のライヴがあるけど、俺の出番10分やるからやってみなよ』って。結構大きな会場だったから、彼女も『こんなところでライヴしたことないです』って言ってたけど、『1年後には日本中のこんな会場でやることになるから、絶対出来る』って。そしたら今や引っ張りだこな存在やし、俺の耳も間違いなかったな、って(笑)。まあ、一番凄いのは俺に教えてくれたChaki Zuluですけど」
 
■この曲は、テーマが明確ですね。トラックも異色で。
「言うたら夫婦ゲンカ、みたいな。ああいうラテンなトラックを作ってきたChakiもスゲェな、って。俺、最初どうやってラップしていいか分からなかったすもん。珍しく彼に訊いて(笑)。彼がいろいろディレクションしてくれたから出来上がった曲ですね。内容のアイディアは、Awichがくれたのかな?設定とか、お題をくれたんで書けた、という感じもある。こういうのはやっぱ、人と演って初めて出来る曲ですよね。ソロやったら絶対出来てないです」
 
09. Rollin’ feat. MACCHO 
Pro. by DJ PMX

 
■MACCHOとは過去に何度も共演してますね。
「はい。いくら連絡取ろうとしてもつかまらなかった(笑)。作ってた時期、フィーチャリングやる気がなかったらしいんですよね。『なかなか録れへんな……コレはどうにかするしかない』って思って、『遊びに行っていいですか?』って言って。だから、ちょっとMACCHO君を引っ掛けましたね(笑)。で、MACCHO君の家に遊びに行って朝までいろいろ喋ったら、次の日にはリリックを書いてくれました。いつもMACCHO君と作るときは、彼の家に取り敢えず一回は行きます。トラックを送っただけで作ってくれるような人じゃないんで。『いつも、俺とMACCHOが演るときはずっとケンカな感じでやってきたから、一回ちょっとチルな曲を作りましょう』って提案したら、全然チルなリリックを書いてくれへんかった(笑)。スゲェ攻撃的で、『やられたー』と思ってます」
 
■ある意味MACCHOらしい、悪ノリなリリックですよね。こんなんメジャーで出せるか!っていう(笑)。
「(写真家の)cherry chill will.君に訊いたんですけど、MACCHO君は『ANARCHYにやられたよ……家まで来てさぁ』って言ってたらしいです(笑)」
 
■ここまで苦労してまでも、MACCHOとの曲は入れたかったということですよね。そこにはどんな理由が?
「トコナ君(TOKONA-X)とは一緒に曲作れへんまま死んでしまったし、俺が大好きで影響を受けてきたラッパーとは出来るだけ多く曲を残したいと思ってるんです。だってみんな、いつ死ぬか分からないじゃないですか」
 
■数年前、ライヴ会場でANARCHY君とラウンジで話してたら、OZROSAURUSのライヴが始まった瞬間にいきなりフロアの真ん前まで突進していったのが印象に残ってます(笑)。
「行ったなー(笑)。今でもキッズのままでいさせてくれる人ですね。そう思い続けたいじゃないですか。ピュアな気持ちで観れる人って数少ないんで」
 
 

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