INTERVIEW:

ANARCHYによる「The KING」全曲解説

01. The KING 
Pro. by COOKIN’ SOUL

 
■本作では唯一のソロ曲ですね。一発目から、リリック的には最初に“カマシ”を入れてきてますね。
「一曲目にするつもりもなかったし、『アルバム最後の曲になるかな?』とも思ってたぐらいで。『The KING』っていうアルバム・タイトル自体も最初は考えてなかったんです。(ANARCHYを入れて)13人のラッパーが揃ってるから、トランプの13=キングとかけてこういうタイトルになりました。みんなが『俺が一番や』っていう気持ちを持ってやるじゃないですか、ラップって。そういう気分をもう一回掻き立てたかったし、俺がピュアなHIP HOP好きとして『俺が王様や。俺が一番カッコ良い』っていう想いを曲にしたつもりです」
 
■ここまでハッキリと「俺がKINGだ」とボーストしている曲って、意外とこれまで作ってきてないですよね。
「ない……かもしれないですね。でも、『俺がKINGだ』って言ってるけど、実際にそう思ってるかと言ったら — みんながそう思ってておかしくないんじゃないかな?って」
 
■ラッパーとしての心構えとして、ということですね。
「ああ、そうですね」
 
■「般若とか漢やクレバじゃない/AK マッチョ ジブラでもない/KOHHやPABLOWにはちょっと早い/文句あったら電話ちょーだい」というラインがあって、リスナーはこの部分に一番反応するでしょうね。何だったら「ディスってるのかな?」って勘ぐる人もいそうです。
「うん、そう捉える人もいるだろうけど、ここで挙げてる人たちは意味が分かってるだろうから。このラインは、そのままの意味ですね、『俺(がKING)やぞ』って。でも、ここで挙げてる人たちもみんな、そう思ってると俺は思う。今、そうじゃなかったとしても『いつかそうなってやる』っていう気持ちでやってる人たちやと思う。『(このラインは)リスペクトだよ』ってことはインタビューではあまり言いたくないけど、分かってくれる人は分かってくれると思う。逆に、ここで挙がってない人の方がムカつくんじゃないですかね?そういう曲になってると思います」
 

 
02. Run It Up feat. MIYACHI 
Pro. by 理貴

■この曲は、今作の価格設定と一番リンクする内容の曲ですよね。
「MIYACHIのことは、自分の周りがまず騒ぎ始めて、まだ日本ではちょっと名前が知られ始めたぐらいのときに聴かされて、カッコ良いな、って。実際、会ってみたら良いヤツで。(ANARCHYのライヴDJを務める)AKIOが日本ではライヴDJをやってたんですよ」
 
■そんな繋がりもあったんだ(笑)。彼のラッパーとしての魅力はどんなところにあると思いますか?
「やっぱり、向こう(US)でやってるだけあって、英語と日本語の使い方のバランスが良い。上手いこと使い分けられるのって難しいじゃないですか。あと、人が良い。日系人だから日本人的な部分があるけど、日本人に足りないモノも彼は持ってると思う。向こうに住んでてもカブれることなく、日本人の心も持ち続けてる。ハートが真っ直ぐだし、礼儀も正しいんですよ。スマートな感じで良いんすよね。彼とは日本で一緒に録りました。大体のリリックをまず俺が書いて彼に送って、内容を照らし合わせた上でこっちのスタジオで制作した感じです。一緒に制作した感想は、『耳が良いな』って。トラックの細かい部分についても『ここをこうしたい』って言ってきたし、拘りがちゃんとあって、音楽制作に対する姿勢とかもすごく良いんですよね」
 
 
03. Kill Me feat. 般若 
Pro. by BACHLOGIC

 
■ANARCHY名義の作品での共演は初めてですが、般若とは過去にも度々共演してきてますよね。故に、慣れている相手だったとは思います。
「この曲も、俺が先にリリックを書いてたんですよね。で、書いた後にすぐ『コレは般若だな』って思って。やっぱ、フリースタイル・シーンについても言ってる部分があるし、最近の若いヤツらに向けても言ってる。俺と般若が言うから意味のあることやと思ったし、だから“ラスボス”を引っ張り出そう、って。やっぱ般若と演るといつも刺激を受けますね。自分も良いのを書けたと思うけど、ラップとしてすげぇヤバイし、面白いし、録音している内にどんどん楽しくなってきました。スタジオ入ってすぐ『コレは絶対ヤバイ曲が出来る』って分かりました。スタジオでの般若はいつも通りですよ。ジョークとかを言う感じでもなく、ホンマにストイック。ラップはサラッと録るんですけど、制作に関しては本当に真面目な人ですね」
 
■この曲でのANARCHY君も、だいぶぶっちゃけてますよね。「お前の家もみつけるから鍵をしめろ」「俺は簡単に人を殴れる」とか、だいぶ理不尽なことを言ってますね(笑)。
「(笑)まあ、誤解する人がいてもいいし、面白がってくれる人もいたらいいかな、って」
 
■ギャグとして言ってるんですか?
「いや、本気ですよ」
 
■……。
「まあ、カマシ入れとこかな、って」
 
■釘を刺してる、と。実際、ここで言及されてる“フリースタイル小僧達”に何か不快な目に遭わされたことはあるんですか?
「いや、ないですね。コレは俺から仕掛けてますし(笑)」
 
■自分からケンカ売ってるんかい(笑)。
「でも、『中途半端に口だけでやってるなよ』っていうことを伝えたくて。それなりの覚悟がなければ、他のラッパーについてあれこれ言うべきじゃないし。エンタメとしてならいいかもしれないけど、それじゃなかったら気を付けろよ、って釘を刺したかったし、『俺と般若も良い歳とってきてるけど、現役バリバリやぞ』ってことを伝えたいな、って」
 
■「ラッパーなら吐いた言葉は自分でケツを持てよ」ということを言いたいんだと思うんですけど、フリースタイルに限らず、そういったような意識が薄れてきているように感じることはありますか?
「そうですね。薄れてる部分もあれば、俺らの世代にはなかったモノが濃くなってる部分と、両方あると思います。技術面とか言う内容に関しては。“Yes or No feat. SEEDA”で『それアリなん?』って言ってるように、『……でも、アリや』っていうモノもいっぱいある。『薄れてる』って言えばそういう部分もあるかもしれないけど、それだけが正解でもないし。コレは俺らの時代/世代の人たちの考え方なんで。結局は最後の般若のリリックのように『流行りのFLOWも良いけれど/出口は向こう/その前にオメー根っこの部分も知っとけよ』ってことなんですよね」
 

 
04. Where We From feat. T-Pablow 
Pro. by D BO¥$

 
■トラックやフィーチャリングがT-Pablowというところからも、一番どゲットーというか、ストリートを感じる曲ですね。
「D BO¥$が最初に作ったトラックは、最初はもっとゲットーでしたよ(笑)。そこから更にアレンジしたりしてここまで持って行きましたけど。アレンジを加えて化けたから使おうかな、って。Pablowとは、2WINのときに一曲作ったことがあった以来ですね。サシでやったのも初めて。やっぱ彼は今、呼ばなダメっしょ。一緒に演りたい相手だったし、今やっとかないとな、って。自分自身と照らし合わせることが出来る — 同じような環境で育ったヤツだし、良い兄貴ヴァイブスも持ってるんで、スゲェ期待してるヤツのひとりです。この曲は、最初はフィーチャリングを入れるつもりがなくて、最初は普通に2ヴァース書いてたんですよね。で、ここに客演を加えるんだったらPablowかな、って」
 
■T-Pablowの上がり方を見てると、やはり自分の若い頃と重ね合わせて見ていますか?それとも、若い頃と近いけど自分たちとは違う新世代感を感じることもある?
「ああ、新世代感を感じることはもちろんあります。でも、同じ部分もたくさんある。地元をレペゼンしたゲットーのヤンキーのボスじゃないですか。その共通点だけで感覚が同じになる部分があると思う。彼はちょっと不思議なところもあるんですけどね」
 
■生真面目な部分は感じますね。
「はい。マジメなんか、そうじゃないんかよく分からない(笑)。変わりモンですよ、スゲェ」
 
■そうANARCHY君が言うんだから、相当変わりモンなんでしょうね(笑)。
「(笑)『イマドキやな』って思うときもありますけど、最近の若い世代には珍しく、『ちゃんと男の子してる』というか、そういうところがカッコ良いですね。最近はあんまり一緒に遊べてないですけど、東京の方に彼が来たら連絡くれたりもするし。BAD HOPの武道館ワンマンも行きました。ああいうのを観ると羨ましさも感じるし、ああいうヤンキーたちがあそこまで大きいステージに立ってるってだけで“アゲ”じゃないですか。彼らぐらいの年齢の俺には出来なかったことだし」
 

 
05. Dirty Work Remix feat. ANARCHY / AKLO 
Pro. by BACHLOGIC

 
■以前にリリースされたAKLO名義の楽曲を再収録していますね。そもそも、どんな経緯でANARCHY君が参加することになったんですか?
「『リミックスに参加してください』って言われて、『やりましょう』みたいな感じで。トラックを聴かせてもらったらBACHLOGICで、トラック自体もヤバかったから、やりたいな、って思いましたね。その時点から、いろんな人とコラボしたいと思っていたタイミングだったから、『俺のアルバムにも入れていいなら(参加する)』ということでやった曲です」
 
■AKLOは、この曲以前はあまり接点がなかった相手ですよね。
「そうですね。一緒に演るときが来るともあまり思っていなかった。彼は同世代だから、そう考えると不思議ですけど。でも、彼から誘ってくれたのは嬉しかったですね。コレは彼発信の曲なんで、俺がそこに乗っかったっていう感じですかね」
 
■シーン屈指のテクニシャンという定評があるAKLOと共演しての感想は?
「やっぱ、上手いんですよ。具体的に、リリックのどこに食らわされるという部分じゃなく、全体的にスタイリッシュやし、自分にないモノを持ってる人だと思います」
 
 

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