INTERVIEW:

梅田サイファー

 

 
■現在においても、梅田サイファーはアンダーレイテッドであると考えていますか?
KZ「『俺らのラップのポテンシャルに気付いてない人が多すぎんで』って思ってますね。調子乗ってるんじゃなくて、シーンを見回しても俺たちの歌詞の強度は高いし、ビート・アプローチへの理解だったりっていうスキルの部分はもっと受け入れられるべきやし、広がるべきやと思ってますね。今回は、それが表現できたアルバムだと思いますね」
 
 
■確かに、すごく体力が必要なアルバムですね。構造性も高いから、右から左に抜けていってくれない。
R-指定「全員のソロ曲も流し聴きを嫌うタイプだと思いますね。梅田の関連作は日本語でちゃんとラップしてるんで、向き合えばリスニングに体力が必要だと思うし、それぐらい向き合ってほしいんですよね」
 
KennyDoes「内容としても『日本語ラップ IS BACK』っていう作品になったな、って」
 
KZ「3~4曲のEPでMVを作って、みたいな今の時流とは違うけど、アルバムで聴く楽しさだったり、頭からケツまで繋げることで見えてくる世界観とか、ストーリーを感じ取ってもらいたいな、って。販売戦略よりも『良いラップを聴かせたい』って気持ちがあるからこそ出来たアルバムだと思いますね」
 

 
peko「曲順は僕が決めたんですけど、僕はある意味、外から梅田サイファーを見てる部分もあったんで、どうしたら一般のリスナーがこのアルバムがじっくり聴けるかってことを客観的に考えて構成しましたね。今HIP HOPの曲がどんどん尺が短くなっていく中で、16小節+4ヴァースでマイク・リレーみたいな、時流とは逆行するヴォリュームがあるんで、今現在、このアルバムが評価されるかってことはそんなに期待してなかったんですよね。でも、“マジでハイ”がバズったのは、逆にこういう濃厚なマイク・リレーのラップがフレッシュに聴こえたからだと思うんですよね。だから、今のシーンにないことが提示できたと思うし、このメンツならメッチャ面白いモンがまた作れそうやな、って思わせてくれたアルバムですね」
 
KOPERU「“マジでハイ”のMVもISSEIさんに撮ってもらって、みんなでちゃんとしたMVを作ったのも初めてだったし」
 
KZ「レコーディングとマスタリングも、今回“Never Get Old”でトラックを作ってもらってるCosaquに手がけてもらって」
 
Cosaqu「今回は、みんなのラップの特性を録りながら固めていきましたね。みんなラップのキャラクターがバラバラやから、どうなるんやろうと思いながらまとめていったんですけど、それでもコンピレーションみたいにはならなくて。それが梅田サイファーの強みなのかな?って。“マジでハイ”も、Rは最初違うヴァースを書いてきて、それをKZが『書き換えてくれ』ってオーダーして」
 
KZ「Rが書いてきたヴァースは、カッコ良いんだけど、揃えたときに他のリリックと矛盾が生じてしまう感じになっていて」
 
KBD「だから、楽曲としての強度を上げるためにはRには変えてもらえないとな、って」
 
KZ「今まで、他の人のヴァースに対するディレクションはしなかったんだけど、今回はやってみたんですよね」
 
Cosaqu「でも、それをやったことで、メッチャ全員が均等にヤバく聴こえる曲になって。それが再生回数の増加に繋がったと思いますね」
 
ふぁんく「良いアルバムになったと思いますね。パチンコ打ってるときもずっと聴いてる。パチンコ中はMr.Childrenの『Q』か、このアルバムか(笑)。マジメに言うと、コンピレーションになってないのは、全員が“マイノリティ”っていうメンタルを持ってるからだと思うんですよね、根っこに。少数派であり、『省かれてきた人間やな』っていう意識があるから、それがこのメンツのリリックやラップを繋げてる部分があるんかな?って」
 
KennyDoes「宇多丸さん言うところの『精神のゲットー』というか。それをみんな持ってると思う」
 
ふぁんく「それが繋がり合う場所が梅田サイファーであり、梅田の歩道橋の上だったんですよね。特に昔は梅田の歩道橋でやってることがアイデンティティではあった。でも、今はそういう場所じゃなくて、マイノリティ性を持っているこのメンツが集まることが梅田サイファーやな、って思いますね」
 
ふぁんく「イキッた言い方をすれば、梅田サイファーは精神性なんですよ。哲学というか」
 
KZ「言い方を変えれば宗教団体ですよ(笑)」
 
KOPERU「どんなオチやねん(笑)」
 
KennyDoes「使われへん(笑)」
 
KZ「マジメに言うと、みんな、社会からしたらタブーにされてたり、フタをされてる部分をいろいろ持ってるんですよね。でも、それを開けて、ユーモアとライムでどう昇華していくかっていう集団でもあるから、マイノリティの人間が救われる場所でもあったんですよ。『自分の持ってるマイノリティ性をラップで表現したらこんなに武器になるんや、こんなにみんな笑顔になってくれるんや、じゃあ、ここにおってええんや』ってことを気付かされたんですよね」
 
 
■サイファーやラップを通して、自己肯定を獲得していった、と。
KZ「だから、ホンマにエエ場所やな、って思いますね」
 
ふぁんく「更生施設、梅田サイファー(笑)」
 
 
■それはすごく良い話ですね。
KZ「ラップや梅田サイファーに救われた人たちだと思いますね、ここに残ったメンバーは」
 
 
■では、これからの梅田サイファーはどのようになっていきますか?
KennyDoes「実際、梅田サイファーとしては歩道橋の上でもうサイファーはやってないし」
 
KZ「ライヴやクリエイトが中心になっていくと思いますね。各々のソロも出しながら」
 
KennyDoes「コレクティヴっすね、言うたら」
 
R-指定「土曜に橋の上に集まるんじゃなくて、土曜にライヴで集まれるっていうのが嬉しいですよね。それでもやっぱり、クルーやグループではないと思うんですよ。梅田サイファーの根本みたいなものはふぁんくさんやKZさんが作って、そこに剽軽さをKBDさんが持ってきて、現場はpekoさんが与えてくれて、USのノリをKennyが、フロウやリズム・アプローチをKOPERU君とペッペBOMB君が注入して、イルな部分をGAGAが持ってきたり。他にもいろんなメンツがいろんな部分を持って来たけど、それを総合させたものが梅田サイファーの正解でもないんですよね。何故なら、クルーやグループじゃないから。だから、それぞれの考え方で進んでるし、それでも一緒にライヴして作品も作って刺激し合う。それが梅田サイファーの面白さやと思いますね」
 
 

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