INTERVIEW:

YOUNG FREEZ

■FREEZ君が再び制作にエンジンがかかったキッカケが、そのときのELIONEとの会話だった、という話は僕もELIONEから聞きました。
「留学に行くちょっと前から立ち上がったBC BOYSっていうチームがあったんですけど、それが仲間割れしちゃったんですよ。それが原因で仲間とも一時期関係が悪くなったりしちゃって、チーム内がグダグダになった結果、俺が発端で作ったチームなんだけど、俺が抜ける雰囲気になって。で、その数カ月後にELIONEと会ったんです。それはJIGG君主催の新年会だったんですけど、彼と話したのはそこが初めてでした。これぐらいの年齢(20代後半)になると、いきなり新たに知り合ったラッパーと仲良くなることってあまりないんですよ。だけど、俺は相方が死んでるんですけど、彼からいきなり『CASPER君って知ってるよね?』って言われて。ONEが一緒にやってたヤツと俺の相方は同じ高校出身だかで友達だったらしいんです。こんなタイミングでタメのヤツから相方の名前を聞くとは思わなかったから俺もビックリして、そこから急に親近感が湧いたんですよ。で、その日はみんなで記憶がなくなるまで遊びました。そこから彼とこまめに連絡を取るようになったんですけど、『いや、車なんて買ってるヒマないよ。アルバム作ろうよ』って言われて。それで、車を買うのをやめて(笑)」
 
■やめたんかい(笑)。
「取り敢えず、全体重をそっち(制作)に乗せてみようかな、って。その時点ではONEも2ndアルバム『NEONE』を出す前だったんでまだ有名じゃなかったんですけど、そのタイミングでこんなに純粋に話してくるヤツってあんまいないな、って思ったし、彼のアドヴァイスをもらって車買う計画もやめて、アルバム制作を開始しました。新年会が2017年1月だったんですけど、3月ぐらいからレコーディングを始めました。最初に出来た曲は“NOW OR NEVER feat. T-Pablow, RYKEY”ですね」
 
■“NOW OR NEVER”は、今作の中でもアグレッシヴ目な曲だし、他の収録曲とは若干立ち位置が違う曲だと感じていたので、制作最初期に出来たというのは腑に落ちます。今作は全体的に、メロディアスだったりムード感を押し出したスタイルが前面に出てますよね。
「確か、“NOW OR NEVER”と同時期に“LOST feat. T2K, ZEUS”“ONE MORE TIME”あたりも出来ましたね。で、夏に“INTO YOU”が出来ました」
 
■徐々に、今作の主軸となる作風の曲が出来ていった感じですね。先行リリースされたEP「HONESTY」の時点である程度予想はしていましたが、特定の方向に振り切ってきた印象がありますし、それは「BE FAME」と比べると尚更感じます。前作が“ラッパー”寄りの作品だったとするなら、今作は“ソングライター”に近いアルバムだな、と思ったんです。
「実際、今後はソングライター/トップ・ライナーの仕事もしたいと思ってるんですよね。だから、そういった面で出来るところはちゃんと出しておきたい、という考えはありました」
 
■先程の話と被りますけど、FREEZ君はもっと“ザ・ラッパー”な人だと思ってただけに、そういった意識が強いのは少し意外です。
「『それを出せ』とはよく言われるっすね。昔やってたような、スタンダード/ストレートなラップも出来ることをもう一回出せ、とはみんなには言われます。だけど、今作に関しては、そこはあまり重要視してなかったです。天才的なライミングが出来る人っていっぱいいるじゃないですか?俺はそこでは勝負できないな、って。俺も多分、面白いことはリリックで言えると思うんですけど、超A級なワード・センス/ライミングは持ち合わせていないな、って。それよりも、フロウとかでキレイにまとめるタイプなんで、そこ(ライミングなど)で勝負しなくなったのかもしれないです」
 
■確かに、FREEZ君のリリックは、面白いライミングなどを楽しむという要素は薄いかもしれないけど、だからと言って言葉が軽いわけでもないんですよね。パンチライン重視ではなく……。
「内容(重視)なんですよね。俺が音楽を通して提供しているのは“雰囲気”だと思ってるんです。だから、その“雰囲気”を極める必要があると思った」
 
■なるほど、自分のラップが持つ持ち味を濃縮して前面に押し出したモノを作るなら、必然的に今作のような方向性になる、と。
「このアルバムではまだその作風を固めていく途中ではあるんですけど、そういった“雰囲気”に焦点を当てて制作したという意味では最初の作品なんで、俺にとってはコレが本当の意味での1枚目のアルバムになるのかな?って」
 

■今作は、ほとんど曲でメロディが付いたヴァース/フックで構成されています。こういったスタイルは今となっては珍しいアプローチではないですし、今や歌えることやメロディを作れるというのはラッパーにとっての必須技術でもありますよね。具体的に、影響を受けたアーティストはいるんですか?
「最初はFUTUREですね。2017年に出した“INTO YOU”とかはFUTUREからの影響を取り入れて作った楽曲です。最近だとTORY LANEZとかSHECK WESとかをよく聴いてますね。メロディの強い、聴きやすいモノをよく聴いてるかもしれないです」
 
■あと、数曲で聴けるトロピカルなアプローチからは、「VIEWS」の頃のDRAKEを彷彿とさせるアプローチだと感じました。あと、メロディ感からはTHE WEEKNDの影響も感じられる。だから、トロント界隈のアーティストが好きなのかな?と思ってました。
「THE WEEKNDは、確かに好きで聴きますね。俺、実は結構声が高い方なんですよね、相当。だけど、低音のラップばっかしてたから声質が変わってきちゃって。“INTO YOU”とかは、久しぶりに高音を出したんですけど」
 

■アルバム・タイトルが「YOU.」ですし、実際に“君”という対象について歌っている曲が多いですよね。そういったコンセプトからもFREEZ君の“ソングライター性”が感じられます。メロディアスだから「君=女性」なのかな?と最初は思ったんですが、実際はそうじゃないですよね。
「女性に関して歌っているのは“INTO YOU”だけかもしれないですね。例えば“PICK YOU UP feat. SALU”とかは、俺のチームがバラけちゃったときに、本当は俺と一緒にいたかったけど離れざるを得なくなったヤツらを『pick you up(拾っていく)』するっていう意味なんです。あと、“BE MYSELF&ME BE feat. CHICO CARLITO”は — この曲名には“YOU”は入ってないんですけど — 何かに気を取られすぎて自分を見失っている人たち(君たち)に向けての曲です。“IN YOUR SPACE”は『仲間(君)との空間/時間の中で俺は息をするよ』っていう曲。“BE ALRIGHT”は、俺が最初にラップをやるキッカケになったLOCAL BABYLON時代の相方がいて、彼は今カナダに住んでるんですけど、その彼に『いつでも俺の曲を聴けるでしょ?(だからbe alright=大丈夫)』っていう想いを込めて書きました」
 

■だから、メロディアスだったりキャッチーな要素が前面に出てはいるけど、実は結構男臭い内容なんですよね。
「“LOST”も死んじゃった相方についての曲ですしね。そういったトピックを普遍的なモノにして、より多くの人に届かせる作風にしようとする過程で“PICK YOU UP”みたいな曲が出来ました。“PICK YOU UP”は、コンセプトとしては実はメチャクチャ狭いことじゃないですか。俺がケンカして周りにイヤな思いをさせてしまったけど、『俺がもうちょっと頑張ったら、またお前のことを引っ張ってやるからさ』っていう内容なんで。だけど、『他人に聴かせる』ということを意識した結果、こういう普遍的でシンプルな曲にしたんですよね」
 

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