INTERVIEW:

Sweet William x Jinmenusagi

「俺は、やっぱりラップを書いたりフロウをデザインしたり、そのデザインに合わせてビートを編曲するのが好きなんです。でも、それをするためには、元から優れているコンポーザーが必要で。Willさんのビートは、当然すごく(音が)太いんですけど、魅力はそこ以外にもあって、『今、みんなが聴きたいSweet William』をいつでも出せることなんですよ。実はちゃんと流行りとかを咀嚼した上で作ってるし。そういった部分が、(今回の共作が実現した)最大の理由ですかね」 -- Jinmenusagi

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 ラッパー:Jinmenusagiとトラック・メイカー/プロデューサー:Sweet William。かねてから交流が深く、これまでも共作経験があるふたりが、オフィシャルにユニットとして作り上げたアルバムが「la blanka」だ。
 
 JinmenusagiもSweet Williamも、筋の通った哲学が作品から感じられる一方、アウトプットするスタイルは柔軟性に富んだモノが多いため、「la blanka」でも様々なアプローチや“遊び”が要所から感じられる。その一方で、Sweet Williamが全てのトラックを手がけていることが功を奏し、散漫な内容となっていないのも特徴だ。一聴した限りだとスラッと聴き通せる作品だと思うが、だからこそディテールに耳を傾けてみたら、彼らの目論見や意識に近づくことが出来るだろう。
 
 
■おふたりとも、2017年は作品リリースがありましたけど、この1年を振り返るとどうですか?Sweet William君は唾奇との「Jasmine」が大きな話題を呼びましたね。
Sweet William「そうですね。2017年は『Jasmine』メインで動いた感じでした。あと、この『la blanka』を出す前 — 今年の上半期も自分名義の作品が多かったかな、と」
 
■Jinmenusagi君も、去年はIttoとのジョイント・アルバムを出しましたね。
Jinmenusagi「ソロ作は出してないけど去年は生活できてた、って感じです。超リアルな話ですけど(笑)。客演も実は結構やってて、AIさんの“WHAT I WANT feat. Jinmenusagi”があったんで、昨年末までAIさんのツアーにも参加してました。あとはBCDMGのシンガー:E.R.Iさんとか、ニコ動という共通点があるEVOっていうシンガーの方と共作したり」
 
■そうすると、ドHIP HOPな界隈というより、他ジャンルのアーティストと多く絡んでたんですね。
Jinmenusagi「そうですね。客演で他の“畑”にアピールする仕事を多くしてました。『そうなりたいな』って思ってたら、運良くそういう仕事が舞い込んできて」
 
■例えばAIのツアーとなると規模も大きいですよね。
Jinmenusagi「デカかったっすね〜。ケータリング、超美味かったっす(笑)。(楽屋に)パンとトースターが置いてあるのは初めて見ました。あと、ジャムも置いてあった(笑)。コレは書いといてください(笑)」
 
■(笑)そういった、普段とは違うフィールドでの活動を通して感じたことは?
Jinmenusagi「客演をいくつかこなしてると、やっぱりみんな、制作する上でのルールやペースが違うし、その中で思ったのは『自分はマイペースでいたいな』ってことで。いろんな人と仕事をするのは楽しいんですけど、そういうときこそ自分のペースが大事なんだな、って。魅力的な方たちがいっぱいいるけど、かと言ってそこに100%で付き合ってたら飲まれてしまうんで」
 
■今作も“共作”という意味ではそれら他ジャンル勢との仕事と共通してますけど、Sweet William君とJinmenusagi君は旧知の中だし、以前から距離はかなり近いですよね。あと、Pitch Odd Mansionという共通項もあるし。でも、Jinmenusagi君は、厳密にはPitch Oddに所属しているわけではないんですよね?
Jinmenusagi「どうなんですかね?」
Sweet William「(Pitch Oddに)一番近い人で、みんなが仲良いラッパーですね」
Jinmenusagi「だから、“イプシロン”ですね。Pitch Odd Mansionに限りなく近いけど“中の人”じゃない、っていう」
 
■分かりづらいわ(笑)。Jinmenusagi君は「Jasmine」をどう聴きましたか?
Jinmenusagi「“イプシロン”な存在として、Pitch Odd勢と遠征が一緒だったりとかするんですよ。そういうときとか、唾奇とWillさん(Sweet William)が作った『Jasmine』のMVとか観て、『TRAPの流行りが終わるかも』と思いました。『終止符打ってきたな』と。だけど、Willさんの作風は、実はTRAPのテンポ感だったりを自分なりに解釈して、“次”の仕上がりになってた」
 
■そういう、トレンドの変化について、「Jasmine」を聴いて感じたことがある、と。
Jinmenusagi「去年は、実は客演ばっかやってたというより、ソロ作の構想が頭に浮かばなかったんです。俺は、2017年はWillさんと唾奇の年だったと思ってるんですけど、唾奇と俺は同い歳だし関係性の近さもあるんで、トピックで唾奇と被らないようにしてたんですよね」
 
■そうすると、「la blanka」はJinmenusagi君にとっても“ポスト「Jasmine」”のフェーズ内で作られたアルバムということになりますね。
Jinmenusagi「Willさんは俺の一個上なんですけど、言ってくれるんですよ。『ウサさんのラップ、カッコ良いから』みたいに。『そう言ってくれるんなら先輩に恥かかせられないなー』っていう想いです」
 
■ちなみに、ふたりが初リンクしたのはどんなタイミングだったんですか?
Sweet William「最初は(Pitch Odd Mansion主宰者の)國枝真太郎の家でしたね」
Jinmenusagi「3年前とかかな」
 
■じゃあ、Sweet William君と知り合ったのは最近と言えば最近なんですね。
Jinmenusagi「だけど、ここ3年のWillさんって、実は作風がすごい強化されてて。『こんなにRPGのように着々と進化する人がいるんだな』って思いますね。緩やかかもしれないけど、確実にずっと上昇しているタイプの人ですね。で、その進化振りをまざまざと見せつけられたのが去年でした」