INTERVIEW:

WILYWNKA

「ラップ、というか『HIP HOPって素敵なんやぞ!?』みたいな。今って、やっぱ『HIP HOPって何か?』というのが薄まってると思うんですよ。だけど、本物のHIP HOPはいくら世間に広がろうが縮こまろうが、絶対にあるんで、ちゃんと。それは絶対に死なないし、継承していくヤツもいると思う。俺はそのひとりやと思ってるし、やっぱりHIP HOPが大好きやからそうなりたい」

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 弱冠21歳。TAKA名義で出場した『高校生RAP選手権』で注目を集め、その後はWILLY WONKA名義での活動を通して着実に実力を付けていき、VIGORMAN/GeGとのユニット:変態紳士クラブとしてのアルバム「ZIP ROCK STAR」を経て、遂にWILYWNKAがソロ・デビューを果たした。しかも、1stアルバム「SACULA」のリリース元は、ANARCHYが新たに立ち上げたプロジェクト:1%(ONEPERCENT)だ。
 
 『高校生RAP選手権』などの影響で10代〜20代前半のラッパーにスポットライトが当たりやすくなり、WILYWNKAも少なからずその恩恵を受けたひとりだろう。だが、「SACULA」を聴くと、彼がそういった“表”の活動以外でここ数年間に積んできた研鑽 — ラップ・スキルだけではなく、クラブ/ライヴ会場などの“現場”や地元・大阪のストリートでの振る舞い方に至るまでの研鑽が、しっかりと作品のレヴェル・アップに結びついていることが感じられる。彼はしっかりと「HIP HOPの現場」を通過してきているラッパーだということが作品を聴けば伝わるし、それ故に自身のHIP HOP性や「自分が出てきたところ(=大阪ストリート/現場)」というアイデンティティをしっかり認識した上で作品作りに取り組んでいることも伝わる。その一方で、そういった自身の辿ってきた道やルーツに対する誇りを押し付けがましく主張するわけでもなく、あくまで21歳の若者の目線で背伸びしすぎずに表現している。「SACULA」は、若者らしい軽快さと内に秘められた熱さのバランスが非常に心地良く響くアルバムだ。
 
 
■ラップやHIP HOPを意識し始めたのは中学生ぐらいの頃ですよね?
「そうですね。それまでもラップは聴いてたんです。母ちゃんがm-flo大好きなんですよ。だから、m-floのアルバムは全部聴いてるんです。以前、大阪にONZIEME(オンジェム)ってクラブがあったんですけど、オンジェムがクローズするときにいきなり母ちゃんから『オンジェム閉まんで!ラストにVERBAL来るから(一緒に)行く!?』って言われて、『誰がオカンとクラブ行くねん』って(笑)。だから、小さい頃からラップは聴いてたんですけど、ラップだという認識はなかった。で、中学校入ったときに韻踏合組合を聴いて、『コレがラップか』と」
 
■WILY君がm-floから受けた影響とかはあるんですか?
「中学に入って、もうちょっとディープな音楽も知ってしまったから、m-floは聴かなくなってたんですよ。だけど、何年か経つとある程度、ラップの上手い/下手とかが分かってくるじゃないですか。で、高1ぐらいのときに『え……m-floのVERBAL、ラップ上手くないすか?』ってなって。その頃はバイリンガルとかトライリンガルのラップがバリカッコ良いと思って、影響を受けてラップをしてた時期がありました。VERBALのラップは、圧倒的に(リズムの刻み方が)細かかったっすね」
 
■今に繋がる日本語ラップのファースト・インパクトとしては、やはり韻踏になるんですね。
「そうですね。だけど、その頃はHIP HOPがどうとかはあまり興味がなかった。中学の頃からスケートもしてたんで、韻踏と共にスケーターの先輩が聴いてたG-UNITとかDIPSETとかも聴いて。HIP HOPというモノを認識 — 『HIP HOPとは俺の中でこうあるべきや!』みたいな考えが出て来たのは、高校生の年齢になってからですね」
 
■徐々にいろんなラップを聴くようになっていく過程で、自分でもラップをしようと思うようになったんですか?
「(最初は)ラップなんかする気、全然なかったす。一二三屋とかCD屋に行ってる、普通のラップ好きな少年やったんですよ。で、ある日一二三屋に行ったらHIDADDYさんがいて、『……HIDADDYおる……!』って思った途端に『お、少年!エエとこに来た。お前、TVに出たいか?』って言われて、中学生の自分は『出たいっす』って答えたら、『ほな、ラップせえ』みたいなことを言われて(笑)。一二三屋に売ってたリリック帳とペンとインストが30曲ぐらい入ってたブートのCDを渡されて、『リリック書いてこいや』って言われて、そこからラップし始めましたね。NHKの企画で、HIDADDYさんとERONEさんが少年にラップを教える、という内容でした」
 
■以前も「ラップは教わるモノじゃない」というような発言をしていたからそのTV企画は例外ですが、具体的なラップの師匠のような人はいなかったんですよね?
「いないっすね。そこは仲間たちと一緒に磨き合っていました」
 
■ラッパー:WILYWNKAにとって“父親”代わりにあたるラッパーや人物を挙げるとすると?その人の作品を聴いたり生き方を見て、ラップ技術だけでなく人生まで学んだような人。
「道しるべ的なことをしてくれた人は、中学生の頃に行ってた服屋の店員さんとか。そういう人たちがカッコ良くて、自分が知らんこととかも教えてくれたんです。そういう人たちをカッコ良いと思ってこういう世界に入っていったとこもあるし。やっぱりそういう人たちに憧れていたから、自分もカッコ良いオトナになりたいわけですよ。だから、ラップでダサいことを言いたくないし、自分で書いたリリックを読み返して、『コレは俺と思ってることとちゃうな』ってなったら歌えなくなる。そういう意味ではラップ自体が自分をオトナにさせてくれてる。『じゃあ、こう(ラップで)言ったら俺はこうせなアカンな』とか。高校生の年齢の頃とかはもっとナメてたっすけど、ラップに成長させられたし、ラップと共に成長してきた感はあるっすね(笑)。だから、ラップ/HIP HOPは“親”というより“兄弟”です」
 
■なるほど。今の話を訊くと、今作でWILY君が表現している“目線”の源流が分かった気がします。WILY君のリリックは“背伸び”をしすぎていないじゃないですか。
「そこはメッチャ拘ってました。背伸びしてるラッパー、多いっすよね、正味。ラッパーって見栄を張るし、男の子も見栄を張るけど、それだけがカッコの付け方じゃないやん、と思う。もちろん、俺も見栄は張りますけど、ツッパってたりスカしてるヤツを見るとカッコ悪いと思っちゃうんですよ、俺は。特にここ2〜3年は。昔の俺もスカしまくってたっすよ。『あんなヤツに負けへん。何やアイツ、調子乗って、クソが』みたいに(笑)。でも、それは単に悔しかっただけだし」
 
■WILY君は21歳だし、同年代の20歳そこそこの子だとそういうマインドの人も多いと思います。
「見てると虚しくなります、同級生あたりでイケイケなヤツを見てると」
 

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