INTERVIEW:

TARO SOUL feat. NAOtheLAIZA

「自分の生活を切り取りながら最大限のエンターテインメントにしたかった。そして、それが出来たら、アーティストとして良い歳の重ね方が出来ると思ったんですよね。 それぞれの人間の、それぞれのB・ボーイの、それぞれの歳の取り方があると思うし、自分なりのライフをリリックにするのが今回は相応しいと思ったんですよね」

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「Don’t call it a come back/ずっと居たんだこのシーン/いや認めよう/消えかけた狼煙」
 
 TARO SOULの9年振りとなるソロ・アルバム「A Bomber’s Diary」のオープニングは、“Come Back”のこの一節で始まる。
 
 この9年の間には、DJ IZOHとタッグを組んだSUPER SONICSでの活動、そしてSUPER SONICSとしてのアルバム「SCRATCH YOUR WORLD」の制作もあり、決して彼はシーンから遠ざかっていたわけではなかった。しかし、ここ2〜3年の動きで考えるとSUPER SONICSとしての動きは決して芳しいものではなかったし、TARO自身の客演やソロでの動きも非常に乏しかった。コンスタントなリリースや、様々な形でのメディア露出が求められる現状において、そのある種の“空白”とも言える期間は、リスナーにとってもTARO SOULにとっても、「消えかけた」という言葉が出てくるには十分な時間だったろう。
 
 その間に結婚し、双子の父親となり“生活人”としての側面が強くなったTARO SOUL。その実生活を写した本作からは、彼の作品から感じていた、強い「HIP HOP的なもの」に対する観念からの解放と、より現在の自分自身に向き合ったことによって生まれた“リアル”によって、TARO SOULの新たな側面を感じ箚せられる作品となった。
 
 今回は、アルバムのトータル・プロデュースを手がけたNAOtheLAIZAに同席してもらい、キャリアを“リスタート”させる本作について語ってもらった。
 
 
■アルバムの頭から「消えかけた狼煙」という自己現状認識をラップしていることにまずは驚いて。トータルではポジティヴさに繋がっていくんだけど、このフレーズだけを取り上げれば、それは決して明るい話ではないですね。
TARO SOUL「制作前に、HOTCHIさん(SUPER SONICS/RHYMESTERマネジャー)に、『お前はもういないようなもんだぜ?』って、散々ディスられて(笑)」
 
■マネージャーの言うことなのか、それは……。
TARO SOUL「まあ、励ましの裏返しですけどね(笑)。でも、確かに自分でもそう感じる部分はあったんですよね。単純な話、リリースがないとライヴのオファーも激減するし、シーンの空気としても、(自分の音楽に)需要があるかが分からなくなっていて」
 
■リリースが乏しかった理由は?
TARO SOUL「誰も納得しないようなリリックしか書けなかった、という部分はあったと思いますね。フィジカルの面では、いきなりラップが下手になるとかライヴが出来なくなるなんてことはないんだけど、『しっくりこない』モノしか書けなくなってたんだと思う」
 
■それは、具体的に言うと?
TARO SOUL「う〜ん……『現状から目を逸した視点で書かれたリリック』というか。例えばSUPER SONICSを例に挙げれば、DJ IZOHは仕事も沢山あるし、注目もされててイケてるわけですよね。だけど、俺のアーティストとしての現状は、正直イケてるわけではない。そういう、グループ内格差は確実に感じるんですね。そういう気持ちがあるから、SUPER SONICSのリリックを書くにしても、ボースティングしたリリックが書けないんですよね。ただ、『書けない』って駄々こねてもしょうがないんで、なんとか奮い立たせて書くんですけど、どうしても嘘っぽいし、自分の想いとはズレた、バランスの悪い歌詞になってしまったんですよね。それでも頑張ってスパソニのアルバムに向けて歌詞を書いてまとめようとしてたんですけど、8割ぐらい出来てきた段階で、HOTCHIさんから『コレはスパソニとして成立させるのは無理だろう』と。『これではスパソニとしてリスナーを納得させる作品にはならない』っていう話になったんですね。それに関しては、俺も確かにそうだと思って」
 
■TARO君のリリックが、スパソニとの齟齬を起こしてしまったというか。
TARO SOUL「そうですね。それでソロに切り替えていったんですよね。リリックもソロ向けに再構築していって」
 
■そして、より自分の現状が色濃く出た作品になっていった、と。
TARO SOUL「俺は性格的に、自分の中の苦しい部分や苦い部分と向き合わないでリリックが書けるなら、そっちの方が楽と思っちゃうタイプなんですよね。でも、そこから逃げてリリックを書くのを今はやってはダメなんだろうな、って。そういう部分と向き合ってリリックを書かないと、誰も納得しないと思ったんですよね」
 
■自分の現状を再認識するなり、立ち返るなりして、それを形にしないと次に進めないというか。
TARO SOUL「そうですね。次に向かうための“スタート地点”を、ここで決めたかったんですよね」
 

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