INTERVIEW:

KOJOE

「『here』の方が曲によっては自分の中の“暗さ”が残ってた。『“居場所”を見つけた』という歓びは表現していたけど、まだ自分の中に葛藤が残ってたし。で、『here』を出してから良い反響があったからすごく楽しい1年間を送れたし、その過程でまた“ガキ”に戻っちゃった、みたいな」

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 「自分にとっての“居場所”を見つけた」と高らかに宣言し、それ以前に発表された作品以上の広がりと反響をもたらした「here」を昨年11月にリリースしたKOJOE。そこから僅か9ヶ月というスパンで新作「2nd Childhood」が完成した。
 
 最初にそのニュースを聞いたときは、そのリリース・ペースの早さと「here」がかなりの大作だったために些か驚いたのだが、考えてみたら「here」リリース直後のKOJOEは、あのような大作を作り上げた後でもバーン・アウトしている印象はなかったし、モチベーションを下げることなく制作を続けてきたのだとしたら、このリリースの早さは昨今の彼のノリっぷりなら納得がいく。
 
 「here」は、豪華な客演陣と、そういったフィーチャリングや諸要素をまとめ上げたプロデューサー・アルバム的な性格も強かったが、「2nd Childhood」では「here」に至るまでの過程で彼が築き上げてきたプロデューサー・マインドが、より自身のラップ/歌/ビートを際立たせるために機能しているように感じる。自身の現在の好奇心旺盛なマインドと軸にあるコンセプト、それらを実現させるためにKOJOEが用いている様々な技法など、「2nd Childhood」は「here」とはまた違う魅力に溢れた良作だ。
 
 
■今日の取材場所であるKOJOE君のスタジオ:J STUDIOにお邪魔するのは初めてなんですよね。良い感じのスタジオですね。ここで作ったKOJOE君名義の作品って、「here」が最初なんでしたっけ?
「いや、『ERY DAY FLO』っていうAaron Choulaiと自主で作ったヤツ(が最初)。アレをまずテスト盤として作ってみて。スタジオが出来たのは去年の3月ぐらいかな」
 
■その後、「here」が完成し、そこから僅か9ヶ月で今作「2nd Childhood」が完成したわけですけど、自分の“城”があるのとないのとでは、制作環境/スピードの面でやはり違いはありますか?
「全然違うかな。宅録でプリプロみたいなモノを録れる環境は今までもあったけど、ここだと最後(の作業)まで持っていけちゃうし、それは全然違うかな。最初から、ここで全部作り切れるというのが分かってるから、ビートが出来て『コレで録りてぇな』ってなったら、歌詞を書く前にProToolsのセッション立ち上げてビートを流し込んで、録る準備をしちゃってから書き始めたりとか、場合によっては書いてないところから4小節ずつ適当に歌っていったりとかも出来ちゃう。だから、もっと本能的に作れるようになった」
 
■そういった制作行程の変化によって、出来上がる曲自体にも変化は生まれたと思いますか?
「恐らく、多少の影響はあるんだろうし、ホント鼻歌な勢いで音を聴きながら口ずさんでいって出来た曲みたいなのは増えたんじゃないかな?って。前ほど考えすぎてないというか。今までだったら、例えば半日スタジオを押さえてる日があったら、その日までに何曲も作り溜めたモノをスタジオに持って行って、限られた時間内に絶対それを録り終わらせる、みたいなモチベーションでやってたけど、それと今みたいに自由に時間を使える中で曲を作れるっていうのは、まったく違うんじゃないかな。言葉の選び方とかも、外のスタジオで録るときはある程度(歌詞が)決まっちゃってるから、レコーディングのときに多少変えようとしても、そこまで(大胆には)変えられない。このスタジオだったら、半分歌ってみてイヤだったらすぐやめられるし。レコーディング・ブースは別室にあって最初はそこで録ってたんだけど、スペースが小さすぎて録れた声の感じが固くなっちゃうから、最近はこっち(ブース外のProTools前)でいいじゃん、ってなってて。ただ単に、ひとりでブースで録ってると同時にProToolsの操作が出来ない、っていうのもあるんだけど。今後、この部屋が防音仕様になって、24時間音を出せるようになって信用できる他のエンジニアと繋がれたら、外部の人にも使ってもらってビジネスに出来るかな、と」
 
■昨年の11月にリリースされた「here」は各所で絶賛されましたし、これまでのKOJOE君のリスナーとは違うフィールドの層にも確実に届いたアルバムだったと思います。それ故に、KOJOE君的にも大事な一枚になったと思いますが。
「本当にそういう感じというか、反響もすごい良かったし、俺らの世代だけじゃなくて、これまで俺の音楽を聴いてこなかった人たちも気に入ってくれたアルバムだった。ライヴする度に、客層がすごく若くなったのを感じて、そういう若いヤツらが歌詞を覚えててバンバン最前列で歌ってくれる。今、HIP HOPが流行ってるっていう理由も多少はあるんだろうけど、お客さんの数も増えたし。前のインタビューでも言ったと思うけど、『here』は『お客さんにブチ上がってほしい作品』だったから、出す前からイメージしていた通り(の反響)だったな、と」
 
■しかし、あの大作から僅か9ヶ月でこのクオリティのニュー・アルバムが完成したのは驚きました。KOJOE君のモチベーション的に今は相当良いコンディションにある、ということの反映なんでしょうか?
「かもしれない。実際、今作は2ヶ月で作ったし。最初に曲が出来たのは5月ぐらいかな。で、6月に入ってから本腰入れて一気に作って。その時点では、まだEPとして出す予定だったんですよ。今回、8曲ぐらいやってくれたNariskっていうヤツがいて、そいつがどんどんビートを送ってきて、俺の方からも『無理かな?』と思いつつも結構な無理難題を彼に投げたら、それを全部返してきて。だから、彼のおかげでアルバム(サイズ)になったかな、って」
 
■「here」のリリース・ツアーが一段落したぐらいのタイミングから作り始めた、ということですかね?
「一段落というか、『here』のツアーはこれからまだ続くんだけど(笑)。最初はEPとしてサクッと出すつもりで周りのスケジュールも組んでもらってたし。スタッフから『あれ?14曲もありますけど』って言われて。『EPって呼んじゃっていいんじゃないすか?』って言ったんだけど、『いや、コレはアルバムですね』みたいになって(笑)」
 
■トータルの分数は短い作品なんですけどね。
「で、アルバムっていう形になっちゃった、っていう。だから、俺の“暴走”にみんな付き合ってもらってるような感じ。だけど、EPの感覚には近いんだけど、コンセプト的には『here』よりしっかりしてると思う」
 

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