INTERVIEW:

RYKEY

「ラッパーとしての自分のあり方 -- そういうところで育った環境について歌うことが、自分にとってのラップなのかな?って。俺が見てきた世界の中で『クソだな』と思ったことだったり、自分が見てきた世界を話してるだけであって、コレが東京の全てではない。だけど、『RYKEYが見てきた世界、俺も見てきたから分かる。ちょっとした裏切りとか……』みたいに、ちょっとだけでも分かってくれたらそれでいいのかな、みたいな。これまでの作品も『誰かのために』みたいな曲はないと思う。全部、自分が見てきたモノ」

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 2015年に「Pretty Jones」でアルバム・デビューを果たし、その半年後には2ndアルバム「AMON KATONA」をリリース。この2枚のアルバムで、RYKEYは自身が注目に値する逸材だということを示すことに成功した。……が、2016年の7月から彼は突然“活動休止”期間に入る。その辺りの事情はこのインタビューやこの記事をご参照頂ければ、大体察しはつくものと思われる。
 
 勢いに乗り始めた矢先での活動休止期間を経て、昨年の11月には復活作となるEP「CHANGE THE WORLD」を発表。そして、活動休止以前に作り上げていたという3rdアルバム「John Andersen」も先日リリースされた。
 
 「John Andersen」は、「AMON KATONA」が完成した直後に作り始めたアルバムということもあり、「AMON KATONA」同様、その生々しさや当時の彼のライフスタイル/メンタルが端々から感じられる作品だ。リリック/フロウ/メロディ/質感など、本作でRYKEYのラップを構成する諸要素は、決して“キレイ”と形容できるモノではないだろう。だが、ハード・リスニングでも何回も聴き返したくなる“魔力”を放っている作品だとも思う。
 
 RYKEYの取材は、筆者にとって今回で3回目。以前の取材よりも落ち着いた物腰が印象的ではあったが、不敵なまでの自信と彼らしいラップ観/ロジックは健在。以前ほどのハイペースにはならないかもしれないが、まだまだ作品を通してリスナーを驚かせ続けてくれそうだ。
 
 
■既にいろいろなところでその経緯については語られていますし、推して知るべしという感じではありますけど、1年間の“活動休止期間”中、RYKEY君はどんなことを考えていましたか?
「人生って、場面場面でいろいろあるじゃないですか。切り替わるターニング・ポイント的なときが。そんな感じじゃないですか?そういう(転換期の)一環だと思ってたっすね。『ちょっと行き過ぎてた部分も切り替えていかないといけないんだな』みたいな。それ以外で考えることと言ったら振り返ることしか出来ないんで。活動を再開してからは、『アレをしよう』『コレをしよう』ということより、既にラッパーと名乗ってる以上、ラップするしかないわけだからあまり大したことは考えてなかったけど」
 
■活動休止直前のRYKEY君って、生き急いでいた部分があったんですかね?
「だいぶあったっすね。やっぱ『ラッパーはそれでいい』みたいな意識があったんで。『いつ死んでもいいや』っていう覚悟でずっとやってて、だからこそ言いたい放題ラップしてきたし、それがラップだと思ってやってた。生きてる以上、どうにかしてでも自分が生きている意味を見出そうとしてたというか。悪いことをしてたとしても、そこには常に音楽があったんで、ずっと音楽に打ち込んでいて……なんか、使命感があったというか。自分は、今はこういう立場でこういう風にインタビューを受けたりしてますけど、いまだにスーパー・ヘッズだからこういう生活に憧れていた部分があって。でも、夢見ていたことが叶っちゃったときって、本当にワケが分からなくなっちゃうんですよね」
 
■戸惑い、みたいな?
「実際にそうなった人にしか分からないことでしょうけど。尚且つ、自分はありのままでずっとラップしてたし。そうなると、本当にラップしかなくなる」
 
■活動休止してしまうと、ある種そのラップ/音楽が自分から取り上げられてしまう、という部分もあると思うんですけど、そこへのストレスはあった?
「いや、またコレもタイミングが良かったのか分からないですけど、音楽って飽きちゃうんですよね。このアルバム『John Andersen』は活動休止直前に完成してたから、やり切った感があったところだったんですよ。だから、『一旦、音楽を休ませたいな』っていうタイミングだった。休んだからこそEP『CHANGE THE WORLD』も出せたし、もし“充電”してなかったらああいう作品は出してなかったと思う。自分が過去に出したアルバム — 『Pretty Jones』も『AMON KATONA』も『John Andersen』も、ラップとしては全部傑作だと思ってるんです。だけど、音楽として見たら『まだ出来るな』と活動休止期間中に思いましたね。普通にラジオとかを聴いて『こういう歌も歌いたいな』って思ってきてた部分もあって」
 
■それは、よりポップな方向性ということですか?
「ポップな曲というか、これまでとは違う方向性」
 
■確かに、活動休止後に初めて出たEP「CHANGE THE WORLD」はそれまでの作品とは全然違う作風で、僕含め驚いたリスナーは多いと思います。
「活動を再開したら、いろんな新しいスタイルの音楽になったりしてて。音楽をやっている以上、自分はどんなスタイルでも出来ると思ってるから、そっち(ハードなスタイル)が好きな人にはそういうモノを届けるし、『John Andersen』をリリースしたのも待ってた人が多かったというところからの動きだった。『CHANGE THE WORLD』に関しては、自分がこれまでのようなスタイルでやってたら、『RYKEY、TRAPみたいな曲もやらないのかな?』みたいに思う人も出て来るわけじゃないですか。だから、そういう人のためにTRAP調の曲も作ったし。聴いてくれる人が『良いな』と思ってくれる作品であれば、俺はどんなスタイルでもいいと思ってますね、実際」
 
■「CHANGE THE WORLD」にも「John Andersen」にも、RYKEY君の親友であるSALUが参加していますけど、SALUが去年発表した“Dear My Friend”は — 本人は公言していないけど、両者を知るリスナーならRYKEY君に向けて歌っていると感じますよね。あの曲を聴いてRYKEY君が感じたことは?
「感じたこと……ただ嬉しかったです。『俺のことを考えてくれてるんだな』って思ったし、『HIP HOPだなー』って」
 
■曲という形の“手紙”みたいな手法が?
「そう。向こうのHIP HOPだと結構あるじゃないですか。で、彼もそういうことをやりたかったんじゃないですかね(笑)?だから、当然こっちも嬉しいし、『おー、やってんじゃん!』となるしかないんで、逆に『やっぱSALUは友達だ、ありがとう』みたいな(エモーショナルな)ことは考えなかった。仮に逆の立場だったら俺も同じことをするだろうし」

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