INTERVIEW:

Mr.Q(ラッパ我リヤ)

「『ずっと続けてると、こんだけ強くなるよ』ってことを表現したいのかな。クリエイトする脳みそは、長くなればなるほど進化するような気がする。それに、『やっぱり生きててよかった』みたいなモノを追い求めたいし、そのために頑張ってるよね」

mrq_main
 なんという「元気が良い」アルバムなのだ!

ヴェテランのアルバムを捕まえて「元気が良い」というのも不遜な気がするが、「THE BANGSTA」以来、実に12年振りとなるMr.Q(ラッパ我リヤ)のソロ・アルバム「LET’S GET!」は、とにかく勢い/パッション/脈動といった血流高めなテンションが大きなテーマとなった一作だ。

いわゆるHIP HOPビートもあるが、BPM帯で言えば130付近の4つ打ち、ロックンロール、果ては(特典音源だが)フォーキーなサウンドまで、カラフルというには幅のありすぎるトラック群。そこに乗るQのラップも、アルバムのド頭から「キタキタキタキタキタキタキターーーーーー」とシャウトし、韻を踏みまくり、バウンスし、更には歌い上げる。とにかく理屈を越えて「Mr.Qの楽しみ」が詰め込まれた音楽は、超豪華な客演陣にもその感情が伝染しており、聴いてるこちらの気持ちまで沸き立ってくるような心持ちになる快作だ。大人の楽しみの強度に打たれるべき!
 
 
■昨年はラッパ我リヤとして「ULTRA HARD」のリリースがありましたが、反響は如何でしたか?
「我リヤとしてライヴはやってたけど、リリースとしては8年空いてて。だから、新作という形で自分たちの“今”を表現しないといけないと思ってたし、その作品に対してみんながラヴをくれたのは嬉しかったね。ツアーを組んだライヴでも、同世代はもちろん、言ったら自分たちより年齢が半分ぐらいの連中も盛り上がってくれたし、まったく問題なくバッチリだった。自分としても、昔の感覚に戻ってる感じがするね」

■昔の感覚というと、我リヤとしてリリースを重ねていた時期ですか?
「そうだね。そして『ULTRA HARD』をリリースしたことで、やりたいことが増えてきたっていうか、アイディアが泉のように出て来るようになってるんだ。アルバムを作ってスポンジがカラカラになったかと思ったら、まだまだ水浸しのスポンジが後ろにあったって感じ。リリースしてなかった8年間で、俺自身いろんな仕事をして様々な世界を見たことで、『自分にとって何が面白いことなんだろう?』ってことを改めて考えるようになってたんだけど、その中で、俺に出来て他の人に出来ないのは、やっぱりコレ(ラップ)なのかな?って。それに今は、いろんな刺激をもらって、ずっと攻めていかないといけない環境や精神に自分を追い込んでる、って部分もある」

■それは、例えば?
「今、月イチで自分がホストのトーク・ショー『OyaG』『おとなアカデミー』って言うトーク・ライヴをやってて、そこにはツワモノばっかり呼んでるんだけど、いろんな世界でトップを張ってる人間と話させてもらうことで、常にモチベーションをもらってるんだよね。加えて、俺はラップ・スターの友達はもちろん、武道館や横浜アリーナを揺らすようなロック・スターの友達も多いし、それを見てて『ラップ・スターもあれぐらいになるべきだ』って改めて思ったんだ。CDの売上が辛いとか、業界全体が大変だとかって話の中でどうしても視野が狭くなりがちだけど、もっと大きな目で見なくちゃいけないな、って。そういういろんなことが刺激になってるね」

■今回は、とにかく“元気”なアルバムだというのが最初の感触でした。
「『俺なら買うな』っていうアルバムが出来たと思う。『買って損だったな』と思わせるモノにはしたくなかった。曲間も短いし、テンションとして一段落させないようなモノになってるね。俺自身、クラブでDJが空間を作って、パーティで毎週呑んで、かわいい子がいれば、やれそれあなた、って話をずっとしてきてるわけですよ。このアルバムも含めて、俺はモテたくて音楽やってるからさ(笑)。そうやってずっと踊ってきたし、今も踊ってるから、自分の作品も踊れちゃうモノを作りたいっていうのは第一前提としてあった。あと、『ULTRA HARD』で何百個もビートを集めてたんで、その中で良かったけど使えなかったビートもチョイスしたね」

■BPM的には130周辺の、HIP HOPのビート帯としては相当早いアプローチの曲も多いですね。
「六本木V2のVIPで呑んでたりすればEDMやハウスは掛かるし、『ULTRA JAPAN』も遊びに行ってるし、そういう音楽が好きなんだよね。例えばKEN ISHIIさんとか石野卓球さんのDJのときに思いっきりフリースタイルで乗っかっちゃったりして、『変態だね〜』って喜んでもらったりしてるしさ(笑)。それに、ハウスもテクノもHIP HOPも、ダンス・ミュージックというところでは繋がってるわけだから、そこに違和感はなかったね」

■例えば“I LIKE THAT”は初期Prodigyみたいな感触から……。
「ベース・ハウスとEDMとHIP HOPとマイアミと……っていろんなモノが混ざった感じだよね」

■そういう交雑が印象的でした。ビート感も、例えば70のビートを倍で取るようなTRAP的な方向じゃなくて、140をオンで取る感じですね。
「それが単純に好きって感じだよね。ノリノリでしょ?TRAPも好きだけど、それをやるよりは、この(アルバムの)ノリをやってるヤツはいないだろう、っていう提示でもあったかな。でも、そこら辺はあんまり理屈じゃない。単に気持ちが良いトラックを選んだ感じだよね。“Fly High”はDAFT PUNKと同じトコでマスタリングしてるんだけど、音としてメチャクチャ仕上がりがいいし、メッセージや言葉云々よりも『踊れちゃう』っていうところに音像の基準があって、それが今の俺のムードであり、モードだね」

■“Fly High”は理路整然とメッセージを伝えるタイプではないですね。
「『聴きゃ分かる』っていうさ。ラッパーって、実は言いたいことなんて大してずっと変わらなくて、それよりもディテールの勝負だと思うんだよね。『ポテトが好き』っていうテーマだとしたら、『どういう香辛料か?』っていうアプローチもあれば、材料の話をするときもあるし、そのディテールの表現でどうリスナーを楽しませるかが、そのラッパーの手腕のひとつなんじゃないかな、って。その中で、何回聴いても楽しめるラップってことは意識してるよね」

To Page topTo Page top