INTERVIEW:

KOJOE

■先程から話に出て来るように、今作はフィーチャリングがハンパなく多いですよね。これはやはり、ここ数年間の音楽を通じての出会いの数々が、この布陣として反映されていると解釈していいんですか?
「もちろん反映されてるけど、これまでほぼ接点がなかった人たちもいる。だけど、そういう人たちも、これまでに出会ってきた人たちがいたからこそ繋がった、というか。たまたま俺が作り始めるとなったときの良いタイミングにハマってくれた人たちも、中にはいる。アルバムを本格的に作り始めたのは(2017年の)7月ぐらいから。その時点では2曲ぐらいしか出来てなかった」
 
■そんな短期間で出来たんですね。
「ビートはいろいろ集めていたのが何百曲もあったし、既に録ってるヤツもあったけど、そのヴァージョンは全部使わないで、もう一回音を聴き直した上で今作用に選んでいった。去年〜一昨年ぐらいから、Jazzy Sportとは『同時進行で進めていたプロジェクトを良いとこどりして一枚のアルバムを作らないか?』という話はしてたんだけど、そのアイディアが7月ぐらいのタイミングで響いてきた」
 
■レーベルがJazzy Sportというのも、これこそ5年ぐらい前のKOJOE君だったら予想できなかった展開なんですよ。一方で、ここ数年のKOJOE君の歩みを考えるとすごく象徴的だとも思います。
「完璧、Jazzy Sport A&Rの(福田)マサト君との出会いもそうだし、更に遡ると5lackとの出会いもあるし(福田氏は5lackのマネージャーも務めている)。5lackと一緒に曲を作ったり一緒にイヴェント出るときは常にマサト君に会ってたんで。だから、そもそも5lackと出会ってなかったらこういう感じにはなってなかったと思う」
 
■5lackとKOJOE君はここ数年で一気に接近したし、5lackもインタビューなどで以前からKOJOE君のことを高く評価していましたよね。やはり、5lackとの出会いも大きかった?
「スゲェデカいと思う。アイツは、ブランディングやモノの見せ方がすごい上手いと思ってて。あと、俺はアメリカでずっと英語を喋り続けてきた上で日本語を英語風の発音にしたりとか噛み砕いてるけど、アイツは日本でずっと育ってきてて日本語を英語っぽく — 英語的でもないし、アイツの世界の滑らかな感じ — アレは俺、スゲェなと思う。日本で生まれ育って、日本語ラップだったり日本語の音楽が街中に流れてる中でああいうスタイルになるって、奇跡に近いと思うね。あと、俺が日本に帰ってきて、誰も俺のことを相手にしてないときからアイツは俺のことを評価してくれて、『一緒に曲をやりたい』って言ってくれたし、ちゃんとそれもビジネスに変えてくれた。5lackやJazzy Sport — Budamunkとかの動きが俺はすごい好きで、渋いけどこれだけ広がってる音楽に、すごい可能性を感じてる。5lackがこないだ大阪でやったワンマンのときにも思ったんだけど、アイツの音は日本で流行ってる音楽とはまったく別のモノで、超コアなHIP HOPなのにあれだけの人が集まるのって、すごい可能性を感じるな、って」
 
■今作に至るまでに出会ってきたキー・パーソンの名前が何人か挙がりましたが、そういった人たちとの会話を通してハッとさせられたことはありますか?
「何だろうなぁ……ハッとしたというか、俺的にすごいアイディアの元になったのは、5lackが『俺、上手く歌いたくないんですよね』って言ってきたことで。最初、俺はその意味がよく分からなかった。俺は、超ソウルフルなネオ・ソウルみたいな歌をやりたいと思ってたし、いまだにそう思ってる自分はいるけど、ユルい感じで力を抜くという意味では、5lackとのその会話があったから“HH”や“Feelin29”、今作で言ったら“3rd “I””みたいな曲が作れたんだと思う。“3rd “I””とかはすごい力を抜いて歌ってるんだけど、普通のリスナーが聴いたらすごく上手い歌に聴こえるんだと思う。でも、ああいう風に歌うのは、俺の中では超簡単で。“Cross Color feat. Daichi Yamamoto”とかもそうだし、こういう曲は5lackとかと出会ったのがデカイんじゃないかな?と思う」
 

 
■今、KOJOE君が挙げた曲での歌い方の違いは僕も感じました。「自由だな」という感想を持ったし、何より楽しそうだな、って。
「……楽しいね。あと、Olive君とちょっとケンカしたことがあって、地元のことだったりとかに関してああじゃねぇこうじゃねぇって言い合いをしてたんだけど、『そんな話、どうでもいいだろ』みたいなところからOlive君に凄い剣幕で言われたのが、『“想像”の先の“空想”の話をした方がいいでしょ!』ってことで。そのときは、『何を言ってるんだ、この人は?』って思ったんだけど、今はその意味が分かる気がする。人の頭の中で考えつくような“想像”じゃなくて、空想”のように、誰も触れないような、この世に存在してない/聴いてないようなモノを我々は作るべきなんじゃないか?っていう意味だと俺は取ってて。『そんなことを考えてこの人はビートを作ってるのか!』って思ったんだ」
 
■ああ……でも、あの人の作る音を踏まえると何か分かるような気がします。
「変態だな、と思って(笑)」
 
■そうとも言えるんだけど(笑)。
「でも、彼がその境地に既に辿り着いちゃってるのが、俺は結構悔しい。俺らラッパーは、歌詞を通して現実のことだったり人生や生活、ストリート — 身の回りのことを書いたりするけど、それってスゲェ(スケールが)小っちぇえな、って。それで共感を得ることは出来ると思うけど、そういった共感とはまったく関係ないような気持ちにさせられる曲を作れるってスゲェな、って思ったりする」
 
■そういった気付きのようなモノは、今作のリリックに影響を与えたと思いますか?
「うーん、そこまで深くは考えてはいなかったけど、それがあったおかげで作られてる曲はあると思う。“Day n Nite”とかもそうだと思うし。あまり自分から決めつけすぎない、というか。もちろん、HIP HOPだから歌詞がバーンって伝わるようなモノも作らないといけないとは思うけど、そこまでルールを設定はしてない。ここ数年は、Aaronとジャズをやったりとか、悪い言い方をすると洒落っ気づいてたというか(笑)。ちょっと洒落たことをやって、音楽をやる人間としてレヴェル・アップをしたかったんだ。だけど、今作では久し振りに暴れたくて。爆音で聴けるHIP HOPでめっちゃスピットしたいっていう気分の方が強かった」
 

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