INTERVIEW:

RAU DEF

「イヤだったんですよね、しみったれた感じが。『この人、壮絶だったんだね』とか、そういうのはいらないと思ったし。(リスナーには)フラットに他の人と同じように見てもらえればいいと思った。『この人はキャリアも長いし』とか、そういうのもいらないし、みんなとフェアにゲームをしたいな、と思ってます」

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 2010年代に入ってから、早熟且つ若いラッパーが台頭しやすい環境になってきたと思うが、RAU DEFはその先陣を切ったひとりであり、天性のリズム感とフロウに対する嗅覚の良さで高い評価を得てきた。そして、2015年にリリースされた「ESCALATE II」以来となる新作「UNISEX」は、そのRAU DEFの最新型を堪能することが出来るニュー・アルバムだ。
 
 期待のニュー・カマーとして一気に台頭し、Zeebraへのディス曲発表をきっかけにバトルを繰り広げ物議を醸し、その後、SKY-HI主宰レーベル:BULLMOOSEと契約……など、なかなか波の荒いキャリアを送ってきた彼だが、「UNISEX」では彼の持ち味であるキレが良く威勢の良いラップがたっぷりと聴けるアルバムである一方、これまでの作品以上に感情の込め方やリリックのムードにも重点が置かれたアルバムのように感じられた。
 
 本人にとっては“心機一転”という位置付けだという今作が生まれた背景や、近年の心境の移り変わり、今作のラップに置かれた重点などを訊いた。
 
 
■改めて、前作「ESCALATE II」を振り返って頂きたいのですが。タイトル的には1stアルバム「ESCALATE」のパート2的な位置付けでしたよね。
「当初は……大昔の話になっちゃうからアレですけど、『続編みたいになってれば良い結果出るんじゃない?』っていう、下心的な感じだったと思います(笑)」
 
■USのラッパーもやりがちなことではあります(笑)。
「そうそう、『●● TAPE VOL. 2』みたいな(笑)」
 
■PUNPEEがエグゼクティヴ・プロデュースを務めているという意味では1stアルバムと共通してますけどね。
「1stアルバムのことはまったく意識してなくて、作っていく内に『(1stアルバムと)繋がったな』って思える曲が最後の最後まで作れてなくて、後付け的に『“DREAM SKY”っぽいヤツ(“GR8FUL SKY feat. PUNPEE”)を入れよう』とか『1stアルバムと同じイントロで入ろう』とか、作っていったんですよね。あのアルバムに関しては、自分の事情で最後の作業までは立ち会えなかったから、パーツだけ揃っていたモノをみんなが組み合わせてやってくれた感じです」
 
■で、その後しばらく活動休止期間に入りますね。
「『(今後)どうしようかな?』とは考えてたし、音楽以外の部分でも『あの人にもっとこうやって接しとくべきだったな』とか、音楽だけやってたら考えられなかったことも考えることが出来て、そういう意味では新鮮な時間でした。『気合いで現実とか変えられるっしょ』とか前は思ってたし、その気合いは今でも大事だと思ってるけど — (自分自身を)見つめ直した結果、ノー・ストレスでフェイムをゲットしたかったけど、ノー・ストレスだとノー・フェイムになっちゃうのかな、って。人との繋がりや関係性は、一緒に音楽とか仕事をするんだったらもっと意識しないとな、って。以前は、自分の目的/やりたいことが達成できちゃえば — 疎かとまではいかないけど、サラッとなっちゃってた部分があった」
 
■結果オーライ、的な。
「そうそう。でも、もっと“プロセス”に携わる人たちに敬意を払うことは重要なのかな、って」
 
■……オトナになりましたね(笑)。
「すいません、遅かったっす(笑)」
 
■今、何歳なんでしたっけ?
「今年、28歳になります」
 
■“ニュー・カマー”と持て囃されてたRAU DEF君も今やアラサーか……。
「そうそう。そんなこと(ニュー・カマー/次世代)も言ってられない年齢になってきたんで、ちょっとオトナっぽくしようかな、っていう(笑)」
 

 
■活動休止中は、リリックを書いてはいたんですか?
「書き溜めてはいたけど、ロクに使われたのはなかったですね。だけど、“SILENT SHEEP”は休止中に書いたヤツですね。あの曲は、元々YMG & タイプライターのアルバムから漏れた曲だったんですよね。だから、アルバムに入れる予定ではなかったけど、タイプライター君がすごい俺のことをサポートしてくれたし、そういう気持ちもあったから折角なので、ということで」
 
■ネガティヴな状況から新作を出す場合、その状況を経て感じたストラグルを作品に反映させるアーティストは多いですけど、今作はそういう感じでもないですよね。
「イヤだったんですよね、しみったれた感じが。『この人、壮絶だったんだね』とか、そういうのはいらないと思ったし。(リスナーには)フラットに他の人と同じように見てもらえればいいと思った。『この人はキャリアも長いし』とか、そういうのもいらないし、みんなとフェアにゲームをしたいな、と思ってます」
 

 
■“現象 feat. Ace Hashimoto”で「てめぇが誰だか忘れない様に/らしく居るにはRap Only」とラップしているけど、「自分にとってはラップしかない」という覚悟を改めて持ったこの数年、という感じですか?
「本当に自分が誰だか分からないようになってて。今までやってきたことを振り返ると音楽をやってきた時間が大半だし、それを取り除いたら本当に『誰?』ぐらいな感じになっちゃう。『自分がどういうヤツか』って説明しようとしても、みんなもメインの生活の部分を取り除いたら何も言えなくなっちゃうと思うんですよ。だから、ラップを続けないと『俺って何のために生きてるんだろ?』ってなると思ったので、このラインは純粋に自分が思ったことですね」
 

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