INTERVIEW:

餓鬼レンジャー

「今作は、日本語ラップなアルバムであり、現場で即戦力になるような曲を作るというのが大前提としてあった。元々、餓鬼レンジャーが持っていた要素をもう一度ブラッシュアップして、『餓鬼レンジャーが作る2017年版の日本語ラップ』として出したというような感じですね」 -- YOSHI

gakiranger_main
 2013年に活動を本格的に再始動させて以降、餓鬼レンジャーは90年代後半〜00年代前半に確立させた自分たちのスタイル/アイデンティティを守り続けてきた一方、懐古主義に陥ることなく積極的に「新しい餓鬼レンジャー像」を模索し続けてきた。その過程でタコ神様やDJ OSHOWといった強烈なキャラの新メンバーも加入し、リリース元も自主レーベル:東雲レコードに移し制作されたのが最新作「キンキーキッズ」だ。

 前作「祭事」リリース時にも、筆者は「元気すぎる」と評させて頂いたが、今作も彼ららしいユニーク且つくだらないアイディアの数々と、それを具現化させるための高度なスキルと完成度を高めるために注いだ熱量が相当なモノだったことが窺える、エネルギッシュな大作(?)だ。呆れ笑いを浮かばせながらも、今作を聴いて感服してしまったのは筆者だけではない筈だ。果たしてイントロで描かれているように“キンキーキッズ”が暗いことだらけのこの世界を救ってくれるのか?……は、分からないが、今作を聴いて暗い気持ちになることはないということは保証しよう!
 
 
■近年の餓鬼レンジャーにとっての大きな変化と言えば、前々作「KIDS RETURN」からダンサーのタコ神様、今作からはDJ OSHOW君が新メンバーとして加入しましたね。
ポチョムキン「タコ神様に関しては、MVやライヴで踊ってもらったりしてる内に、『コレは今の餓鬼レンジャーが見せられるベストじゃないか?』と思うようになって。最初はセフレとして始まって、だんだんオフィシャルになっていくという流れでした」

■最初は都合の良い存在だったのが、徐々に正妻になっていった、と。神様が。
ポチョムキン「『都合の良いときに呼び出すだけじゃ悪いかな?』ということになっていったとも言える。OSHOWもある意味そんな感じですね」
DJ OSHOW「僕は、最初はGP君の代打としてライヴDJをやったんですけど、彼らのライヴDJをやってて面白いから、彼らから誘いの電話がある度に『ああ、いいよ』みたいな感じで、正しくセフレだった。で、その誘いがハイペースになっていって、『……アタシって何?』という禁断の質問をして(笑)。そこから本腰を入れてメンバーとしてやるという話になって」
ポチョムキン「彼を加入させようと言い出したのはYOSHI君だった気がするな」
YOSHI「仙台の海辺でやったフェスで急遽お願いしたんですよね。思いのほか一緒にライヴしてたら気持ち良くて、『コレは都合の良い関係だけじゃダメだな』って思い始めましたね(笑)。『前世から知ってたんじゃないのかな?』ぐらい」
DJ OSHOW「どこかで聞いたことあるフレーズだな(笑)」
YOSHI「OSHOWのテクニカルなスキルは今の餓鬼レンジャーに必要だと思ったし、それによって一気にライヴのクオリティが高まった。だから、今や必要不可欠なメンバーですね」
ポチョムキン「OSHOWが入ることによって上がるHIP HOP濃度みたいのがあるんですよ」
YOSHI「OSHOWやタコ神様が入る前も、『メンバーを増やそう』みたいな話はいっぱい出てたんですよね」
ポチョムキン「実際、募集したしね」

■新メンバー募集企画、やってましたね。アレはどこまで本気だったのか、当時気になってました。
ポチョムキン「100%本気でしたよ。実際、応募は来たんですけど、応募した人があまり即戦力じゃなかった。主婦だったり……」

■主婦!?
ポチョムキン「『歌に興味あります』的な。あと、沖縄のマッサージが得意な人とか『Tシャツ作ってます』みたいな人とか。まあ、アリっちゃアリなんですけど、今そういう人たちに入ってもらってもなぁ、って」

■じゃあ、ラッパーが増えるという可能性もあったんですね。
ポチョムキン「それはもちろん。それこそ最初、RYO the SKYWALKERとかTARO SOULも誘ってましたから」

■だいぶ有名ドコロをスカウトしましたね。
ポチョムキン「即戦力を」

■即戦力すぎますよ。
ポチョムキン「実際、本人たちにも聞いたよね?」
YOSHI「聞いた聞いた。『入りませんかー?』って」
ポチョムキン「マネージャーさんから『掛け持ちはNGです』と断られたと記憶しています」
YOSHI「当初は、『どこからどこまでがメンバーか分からないけど大人数』みたいな、WU-TANG CLANとか餓鬼レンTRIBE的なノリでいいんじゃない?とも話してましたね。『話題性があり、実力も兼ね備えたグループにしていこう』みたいな話を当時、してましたね」

■2MCとしてのコンビネーションの妙は餓鬼レンジャーの魅力のひとつでもあると思うのですが、それでもラッパーを増やしたかった?
YOSHI「いや、新しい歴史を作るためには新メンバーが必要だったということですよ。我々の力だけでは足りてない部分を、新メンバーに加入してもらうことによって、よりエンターテインメント性が高くてお客さんが喜ぶショウを提供できるようになると思った。餓鬼レンジャーは、昔からライヴで頑張ってきたグループだという自負があるし、だからこそ今のタイミングでライヴのクオリティを上げることが必要不可欠だったんです」
DJ OSHOW「正規のライヴDJがいない人も最近は多いけど、餓鬼レンジャーは昔からDJをちゃんと配置してるグループだったから入りやすかったですね。世代も一緒だから彼らの音楽性を理解していたし、普通なことではないかもしれないけど、加入することに迷いはなかったです」
GP「元々、OSHOWとは付き合いが長いし、DJとしてキャラ立ちしてるのは昔から知ってたんで。タコ神様に加えて彼のようなDJが入ったら更に凄いライヴが出来るだろう、って思ったんですよね。元々、餓鬼レンジャーにはDJ HIGH SWITCHがいたし、2DJ体制になることで僕にないモノが入るから良かったですね。HIGH SWITCHも凄いキャラだったけど、また違うキャラのOSHOWが入ってくれたことでバランスが良くなったと思います」

■確かに、OSHOW君がライヴDJを務めてきたMICADELICは餓鬼レンジャーとデビュー時の所属レーベル/事務所が同じだったし、“同期”みたいな感じですよね。でも、MICADELICって解散はしてないですよね?
DJ OSHOW「……そこなんですよね(笑)」

■MICADELICの現状はどんな感じなんですか?
DJ OSHOW「DARTHREIDERは自分のバンド:THE BASSONSをやってるし、真田人は登山家として……」

■登山家になったんですか。
DJ OSHOW「趣味が登山(笑)。だから、MICADELICとしてやることは当分なさそうなんですよね。彼らは『頑張りなよ』みたいな感じで温かく送り出してくれた感じです」

■あと、前作と違う点としては、今作は自分たちのレーベル:東雲レコードからのリリースとなります。アルバム・インフォでは「より自由な表現活動を求め」「慣例やコンプラに囚われ、個性を失い同一化していく昨今の音楽や業界の大人の事情に一石を投じる」と、反骨精神に溢れた志の高い説明がされていました。一方、正直、メジャー時代もだいぶ好き勝手にやってきてたと思ったりもするのですが。
ポチョムキン「そのインフォに関しては割と初耳というか、よく出来たインフォだなと思いましたね。まあ、確かにメジャー時代とスタンスは変わってないんですけど、細かいことを言うとしたら商品名とか人名をリリックに入れたり、サンプリングで制約があったんで、その部分は今作では違う部分ですね。長○川潤だったり『き○この山』とか」

■確かに、やたら人名や企業名が出て来ますね、今作。
ポチョムキン「だから、『慣例やコンプラに囚われ』というさっきのインフォに無理やりこじつけるなら、ちょっと自由になってますね。2ndとか3rdの頃は、『このアーティスト自体、ビクターさんが出すのってどうなの?』みたいな、全否定みたいなお叱りを受けたことがありますね」
YOSHI「メジャーではMVをショート・ヴァージョンでしか流せなくて、それはファンに申し訳ない気持ちがずっとあったんですけど、ようやくフルで出せるようになったんで、今の時代に合った形のことが出来る喜びがありますね」

To Page topTo Page top