INTERVIEW:

MONYPETZJNKMN

「それこそ『コレで食っていくぞ!』みたいなメッセージを音楽に入れちゃうと本末転倒になっちゃうというか、そこの小さいループになっちゃうと思うんで、そういうことは言わないようにしてる。HIP HOPに対する熱い気持ちは、敢えて言わないようにしてるかな。そういうことより、もっと人間的な部分を歌いたい」 -- JUNKMAN

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 近年、というより以前からHIP HOPにおいては“クルー”という概念が重要なキーワードであることは、洋邦問わず共通していると思うが、それでも近年の日本のHIP HOPを語る上で、“クルー”が発信する音楽/スタイルが注目を浴びていることは、本サイトの読者の方々ならご承知のことだろう。KANDYTOWN/BAD HOP/YENTOWN/kiLLaなどがそういった話題で挙がることが多いが、その内訳は幼馴染的な“ファミリー感”の強い集団もいれば、個々が原点から繋がっているわけではないが、趣味やスタンスに共鳴して集う“クリエイター集団”的な人たちもいる。

 YENTOWNは、上記で言うと後者の方に属しているクルーだろう。そして、そのYENTOWNの音楽/ラップ部門的な立ち位置で近年一気に頭角を現わしてきたMONYPETZJNKMNとして見ても、グループが構成されたのは2年ほど前のことであり、メンバー(JUNKMAN/PETZ/MonyHorse)は出身地/地元も年齢も異なり、それ故にルーツとして吸収してきた音楽/カルチャーもそれぞれ異なるだろう。

 実際、過去の楽曲や5月にリリースされた1stアルバム「磊」も、「TRAP的な」や「90’s的なサンプリング・サウンド」など、特定のスタイルを偏重しているわけではないことが伝わる。だが、雑食な音楽性であっても、彼らの音楽からは自分たちのアイデンティティを強く感じさせるからこそ、彼らの音楽は魅力的であり、ファンが多いのかもしれない。クリエイター集団的なスタンスが強いことから、MVなどのヴィジュアル面における意識も高く、音楽もChaki Zuluが監修することで、外側に見せるパッケージングも洗練されている。

 YENTOWN/MONYPETZJNKMNの動きは、今後の日本語ラップ/ストリート・カルチャーを占う上でしばらく見続けるべきムーヴメントだと思うが、一方で自分たちが表現する音楽/アート以外の形でスタンスやライフスタイル/手の内を簡単に明かそうとするタイプの人たちではない……と、筆者は勝手に推測していたため、「磊」や彼らの音楽性についての話はもちろんのこと、ユルくなっても彼らの人となりやライフスタイルが垣間見える(かもしれない)余談的な質問も本インタビューでは多くぶつけてみた。
 
 
■MONYPETZJNKMN自体としては、何年ぐらい前から活動を始めたんですか?
JUNKMAN「実質、“Higher Part II”(2015年)からって感じだからYENTOWN以前から、って感じですね。MONYPETZJNKMNっていう名前になったのはEPを出したときからなんですけど、それ以前もこの3人でずっと動いてた。そのときは『3人でやろう』と言って作ってたワケじゃないんですけど」
PETZ「俺ら3人が最初に一緒に集まったのは、KOHH君の家ですね」
JUNKMAN「当時のKOHH君の家兼スタジオみたいなところに俺も結構遊びに行ってて」
MonyHorse「そこで仲良くなって」

■最初の頃から「この3人で集まると面白いな」みたいなのはあった?
JUNKMAN「それはあったっすけど、普通にみんなで遊んでる感覚でしたね。EPを出すときにグループ名が必要になって。お笑い芸人とか(コンビ名で)よく名前をくっつけるじゃないですか。『あれ良くね?』ってなって」
MonyHorse「『MONYPETZJNKMNでいいんじゃね?』ってなって『じゃあ、それでいきましょう』って。俺だけ“HORSE”抜かれて……」
JUNKMAN「俺も“JUNKMAN”だと長いから“U”と“A”取って……だから、俺も抜いたんだよ(笑)」

■まあ、検索で引っかかりやすくはなったと思います。
PETZ「確かに」
JUNKMAN「Monyはソロでやるとき、ちょっといいよね。“Mony”で検索したらソロもMONYPETZJNKMNも出て来るからお得。俺が一番損してる。予測変換頼りで最後まで打たれない。だからフライヤーで表記、間違えられたりするんだよなー。でも、身内でも普通にJNKMN表記でやったりもするから、最近は『どっちでもいいや』みたいになってます(笑)」

■YENTOWNより前にこの3人が集結しているということは、YENTOWNの母体/源流がMONYPETZJNKMNということになる?
JUNKMAN「YENTOWN自体は、俺とChakiさん(Chaki Zulu)のふたりの交友関係の中からイケてるヤツらを集めた集団って感じですね。途中から俺らは“ラップ部隊”みたいになってきたっすけど、EP『上』『下』を出す辺りまでは、YENTOWNの動きの一部って感じでしたね」

■YENTOWNはメンバーの増減も流動的だし、今後もそういう風に変化し続ける集団なんだろうから、外側から見ると実体が掴みづらいところもありますよね。でも、MONYPETZJNKMNはそういう中でもひとつのグループとして作品を出し続けているから、JUNKMAN君的にもこの3人は特に太い絆があると感じる?
JUNKMAN「絆は太いっすね」
MonyHorse「太いっす」

■どういうときにそれを感じる?
MonyHorse「常に、一緒にいるときっすね」
JUNKMAN「ギャラとか多めにくれるときでしょ?」
MonyHorse「そうっす(笑)。『ファミリーだなー』って」
JUNKMAN「Monyは子供がいるんで、ギャラを多めに渡すことで思いやり合う。基本、俺らは思いやりの固まりっす(笑)」
MonyHorse「確かに、みんな思いやりあるっすね。人としてちゃんと」

■僕も、現場で3人に会って話をするぐらいの関係ですが、それでも良い人たちという印象がありますよ。
JUNKMAN「ハハハ」

■誤解されることもあるんじゃないですか?
JUNKMAN「まあ、結構タトゥー入ったりしてるんで、ワルそうな印象はあるかもしれないっすけど」
PETZ「意外に、そんなことはないんですよね」
JUNKMAN「自分の場合はただ、彫り師の先輩が多かったからこうなってるだけで」

■彫り師の先輩たちの実験台みたいな(笑)?
JUNKMAN「まあ、近いモノはある。だから、誤解されがちだけど、それが良いギャップを生んで助かることもあるっすね。俺、地方とか行っても歳下とかにもずっと敬語なんで。そうしないと、ね」
MonyHorse「まあ、そのまんまなイメージですもんね」

■この見てくれでひたすら腰が低いっていうのは、逆に怖いという説もありますが。
JUNKMAN「じゃあ、手話にします(笑)」

■もっと怖いです(笑)。後付けでもいいんですけど、MONYPETZJNKMNとしてのコンセプトやスタンスみたいなモノはありますか?
JUNKMAN「何だろう……」
PETZ「ムズいな……」
JUNKMAN「『俺たちわんぱく3人組』、みたいな」
PETZ「それ、適当でしょ」
JUNKMAN「まあ、“フィルター”というか。3人が感じたモノを吐き出すっていうことは他の人たちと変わらないと思いますけど、その“フィルター”に色があると思うし、それは結構ポジティヴなモノかな、って」
MonyHorse「ポジティヴ・スクワッドっす」
PETZ「俺らのスタンスは何だろうな……そんなガツガツな感じでもないし、『やってやるぞ!』っていう感じではないですね」
JUNKMAN「確かに、一歩引いて見てる感じ」
PETZ「アルバムを作っといて言うのもアレですけど、『趣味の延長線』というか。作るにあたっては結構気楽にやってるっすね」
MonyHorse「夢を持ちつつ、みたいな」
JUNKMAN「それこそ『コレで食っていくぞ!』みたいなメッセージを音楽に入れちゃうと本末転倒になっちゃうというか、そこの小さいループになっちゃうと思うんで、そういうことは言わないようにしてる。HIP HOPに対する熱い気持ちは、敢えて言わないようにしてるかな。そういうことより、もっと人間的な部分を歌いたい」
MonyHorse「俺ら、そうっすね」
JUNKMAN「だから、“B・ボーイ・イズム”ではないよね。でも、今後はそういう要素も欲しいかも。最終的にはスチャダラパーみたいになりたい」

■スチャだ(笑)。でも、言い得て妙ですね。あの人たちも、表面上はユルいかもしれないけど、要所で社会的なメッセージやドキッとすることを織り込んでくるし、アピールしなくてもHIP HOP的な芯の太さが滲んでる。
JUNKMAN「そうっすね。それが俺らにも欲しい(笑)」
MonyHorse「それに食らって、最近毎日聴いてるっすよ」
JUNKMAN「最近、スチャダラパーばっか聴いてるっす、この人」
MonyHorse「ダイジ君(JUNKMAN)が車で流してて」
JUNKMAN「それに食らってて」
PETZ「スチャのこと知らなかったんだ?」
MonyHorse「知らなくて、聴いたらメッチャ食らっちゃったんですよ」
JUNKMAN「使ってる日本語、ヤベェもんな」
MonyHorse「言葉もヤバイし、ストーリーの展開とか『何それ!?』みたいな。『本当にそのストーリーの通りに生きたの?ストーリーの人物の気持ちになって歌ってるだけでしょ』って思ったけど、逆にそれが凄くて」
JUNKMAN「多分、2ndアルバムとか聴いてたんだと思うんですけど……あ、“フィクション大魔境”とかに食らったんじゃない?」
MonyHorse「そうっすね、メッチャ食らったっす」
JUNKMAN「俺ら、サブカル界のアイドルにはなりたいな。持て囃されたい(笑)。これまでは、“ストーナー・ミュージック”みたいに(テーマを)絞り過ぎてたんで、今後はもっと広げていきたいんですよね」

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