INTERVIEW:

ZEN-LA-ROCK

「自分が好きなモノを好きな人が、本当に地球上で俺だけだったら逆に凄いよ、っていう。そんなワケはないし、マニアックだと逆に“近い”ということもあるな、ということはずっと思ってたんです。地球上で50人ぐらいしかいない秘密クラブのようなモノだったのが、ポピュラーなモノになってきつつあるというか、そういうことを目の当たりにすることが出来た。東京でやってきたから、というのもあるかもしれないですけど、こういうことに関しては『自分より優れている人はいない』……って言うとおこがましいかもしれないけど、それをクリエイティヴな仕事に繋げてるという意味では、カッコ良く言ったらその内のひとりには入れてくれるかな、って」

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 近年は、EPやワンコイン・シングルなどの形態で作品リリースを重ね、REDBULLやbookings.comでのCM起用、そしてアイドル・ラップ・グループ:MAGiC BOYZへの加入〜卒業という斜め上すぎる展開など、様々な形で話題を提供してくれたZEN-LA-ROCK。

 だが、彼にとってこの数年は“模索”の時期だったようで、ここ数年の幅広い活動はその“模索”が形として表われた結果だったようだ。そして、そうした幅広い活動を通して徐々に煮詰めていった結果、アルバムとしては5年振りとなる新作「HEAVEN」が完成した。

 「HEAVEN」は、これまでもZEN-LA-ROCKが提示してきたパーティ且つアッパーなスタイルからメロウ且つアーバンなグルーヴまで、色々な意味で彼らしいサウンドを、総勢40名近くにも及ぶ協力者たち(プロデューサー/フィーチャリング)と共に作り上げたアルバムだ。今作でコラボした面々とのエピソードを軸に、「HEAVEN」、そしてここ数年のZEN-LA-ROCKの動き/感じてきた想いを振り返って頂いた。
 
 
■意外なことに、フル・アルバムとしては5年振りなんですよね。
「そうですねー。俺的には『やっと出せたな〜』というか。フル・アルバム分のモノを出せるアイディア力が全然なくて、俺的にはもどかしくて(この5年間は)あまり絶好調な時期ではなかったですね。レーベル(ALL NUDE inc.)自体も自分ひとりでやってたから、なかなか協力してくれる人もいなかった。今回はTOWER RECORDSのレーベル:Glueとの共同リリースだし、レーベルの担当者がひとりいるだけでも全然違いましたね。曲作りに関しては今までと変わらないんですけど、一年通してラッパーでいれる時間……それ自体は少なくてもいいんですけど、それでもラッパー以外の時間が、これまでは長すぎた」

■今作を聴いても、もどかしさとかダウナーな雰囲気はなかったので意外ですね。
「まあ、別にオチてたとかじゃないんで。アルバム制作の方向になれたのは、昨年末ぐらいからですね。座組自体がなかったから、アルバムを出せなくはないけど、出したとしても規模感が知れちゃってたというか。でも、今回はGlueとかluteとかサポートしてくれる人たちも出来て遂にピースが揃ったから、『コレは絶対イケるわ』って思った。そこからやっと作りたい曲の設計図が頭の中で書けましたね」

■ここ数年のZEN-LA君は、自身名義のEPやフィーチャリングなどを通して「コラボまみれ」な5年間だったと思いますし、そういう意味では今作の収録曲が全曲フィーチャリングありというのも納得がいきます。僕に限らず、ZEN-LA君が「コラボ好き」というのはリスナーも共通して持っているイメージだと思います。
「アップデートした曲を出し続けるにあたって、他人の力がメチャクチャ必要だった。今作は、無理して全曲にフィーチャリングを入れたワケではなくて、『アレ?なんか全部フィーチャリング入っちゃったな』って自分でも思ったぐらいで。だから、今作は結果的にそうなった、って感じなんですよね。やっぱり、フィーチャリングを入れると違う何かが入ってくるし、誰かが入ってくることによってより良い曲になるっていう“絵”が描けますよね。テコ入れしてくれることもあるし」

 
■コラボというと、今作にもMAGiC BOYZとの“MAGiC SUMMER”が収録されていますが、MAGiC BOYZへの“電撃加入”と“卒業”はなかなかの“珍事”でした(笑)。
「俺もビックリしましたよ(笑)。普通にオファーが来たんですよ。夏に彼らが出したMV(“Do The D-D-T!!”)をGHETTO HOLLYWOODが撮ってて、『ボーイ・スカウト物がテーマのMVでリーダー役を立てたい』ということで俺に声がかかったんですよね。そのときは『MAGiC BOYZってデミさん(NIPPS)がやってたアレかー。どうなんだろうね……?』って感じで、あまりモチベーションは高くなかったんだけど。で、MVを撮った後にMAGiC BOYZのメンバーがひとり(ミロ)卒業しちゃって、事務所的にも『どうしようか?』ってなったのか、『……ZEN-LAさん、どうっすかねぇ……?』ってなったんですかね」

■だいぶ飛躍がありますね(笑)。
「多分、彼ら的にもいろいろ案があったとは思うんですけどね。ただ、彼ら的にもこのタイミングで同年代の子を入れるのはあまり面白くないと思ったんじゃないですかね。俺は、『加入するんだったら最低一曲は一緒に曲を作らせてくれ』という条件を出して、それで実現したんです。結果、やってすごいよかったですね。刺激/経験はとてつもなかった。本当にアイドルだし、イオン・モールみたいな場所がメインの現場だったりもするから、自分が知らない世界だった。俺のことを応援してくれるファンも増えたと思うし(笑)。企画としてはメチャクチャ上手く行ったと思いますね。CDも売れたと思うし、オリコンでも上位に入ったからチャート・アクションも良かった。今回、受けたインタビューでは大体この話から訊かれますね。『アレは一体何だったんですか?』『何だったんだろうなぁ……』みたいな。俺自身は、卒業して数ヶ月も経ったら元の生活に戻ってるし(笑)」

■ZEN-LA君は、多分他のラッパーと比べると自分の欲求に忠実にやりたい音楽やコラボをやってきたタイプだと思うので、フットワークが軽い人なイメージがあると思うんですよ。でも、流石にこのような形でのオファーはZEN-LA君も予想外のことだっただろうから、故にためらいもあった?
「メチャクチャありましたね。それに関してはすごいミーティングも重ねましたけど、やっぱり怖かった。少なからず自分が積み上げてきたモノが — それこそディスとか史上初ぐらいな勢いで来るんじゃないか?とか思ったし。アー写を撮って、それが“神様”みたいなイメージの写真だったんですけど、撮った後に自分でチェックしたらそれが面白すぎて、逆にここまで面白いことをやったことがなかったから怖くなった。で、仲の良い友達にマジメに相談したんですけど、全員から『いや、いつもこういうことやってない?』って言われて、『俺、いつもこういうことやってるイメージなんだ』って思わされた。誰でもそうだと思うんですけど、自分自身のことはやっぱりセンシティヴに考えちゃいますよね。でも、そう気付かされてからは、水を得た魚のように自由にやらせて頂きました」

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