INTERVIEW:

DONY JOINT (KANDYTOWN / BCDMG) feat. JASHWON

 

 
■制作はいつ頃から開始したんですか?
DONY JOINT「曲を作り始めたのは半年ぐらい前ですかね。でも、最初に使うと決めてたビートもガラッと変えたりして。ビートは、基本的に自分で選びましたね」

■JASHWON君は、IO君やJUJU君のソロ・プロジェクトでもエグゼクティヴ・プロデューサー的な立場ですが、ビート選びのイニシアチブはラッパーに完全に委ねるんですか?
JASHWON「任せるんですけど、それは彼らがトラック選びに関して本当に厳しいからなんですよね。作品に命を賭けているという想いが伝わるぐらい、妥協しない。だから、僕が作ったトラックでも遠慮なしに『コレは違います』ってことも全然ある。でも、1stアルバムなんで、ある程度骨組みみたいなモノは僕やスタッフで作ってあげて。プロデューサーの候補を提案したりとか」

■BCDMGに所属しているKANDYTOWNの三人(IO/YOUNG JUJU/DONY JOINT)という括りで言うと、他のふたりと共通する部分 — アーバン感だったりシティ・ポップ感だったり — も感じつつも、他のふたりのソロ・アルバムより渋い印象を受けました。
JASHWON「よりソウルフルですよね。そこにヤラれた」

■あと、洗練さというよりもっと土臭いという意味での“ファンク”を感じるサウンドもある。
DONY JOINT「アルバム通して渋くいきたい、というのは最初からあったから、そこをイメージして作ってましたね。単純に、渋いのが好きなんです(笑)。そこの理想に近づけたかった」

■例えばIO君の音楽も渋いけど、彼の音楽からはあまり汗臭さは感じさせないクールさがありますよね。DONY君も暑苦しいラップではないから汗臭いかというと違うと思うけど、より“ニオイ”を感じるというか。キラキラした感じではないですよね。他のメンバーとの差別化や彼らがいた上で自分のオリジナリティをどう出すか?といった意識を持った上で作っていったんですか?
DONY JOINT「『他のメンバーと違う感じにしたい』というのは思ってましたけど、一番は自分らしく好きなように作ればこういう風になるかな、って思ってたんで、結果的にそれが上手く出たかな、って」

■JASHWON君は“ソウルフル”と形容していましたけど、80年代というより70年代のソウルを感じさせる音像ですよね。そこはやはり、WU-TANG CLANとかの影響も大きい?
DONY JOINT「そうですね。そこはかなり影響されてると思います」

■IO君の場合、初期の影響源にFABOLOUSを挙げてたりするし、彼の音楽も“ソウルフル”と形容されることは多いけど、彼はよりR&B/ブラコン寄りな印象なのかな、って。DONY君の場合は、よりジャンルとしてのソウルへの拘りが強いのかな、って。
JASHWON「そういうことはG.O.Kも言ってましたね。DONYは70年代の音楽からのサンプリングを好むな、って。DONYは、ビートが載ってないようなソウルネタのワン・ループでもカッコ良く歌いこなせる」

■正に初期WU-TANGのような感じですね。
JASHWON「そういうところに俺もG.O.Kもヤラれちゃって。でも、そういうサウンドは今もTHE ALCHEMISTとかやってますよね」

■“Eyez On Me feat. Gottz, DIAN”で某ノーザン・ソウルの大ネタをサンプリングしていて、「今コレ使うかー」って思いました(笑)。
JASHWON「でも、HARRY FRAUDとかもそういう使い方しますよね。ああいうネタをサンプリングしつつ、古くなりすぎないようにドラムでは今っぽい打ち込みをするっていう」

■DONY君は、今のHIP HOPだとどんなモノが好きなんですか?
DONY JOINT「NY系が多いんですかね。それこそG.O.Kさんにいろいろ聴かせてもらってて。クラブでかかるような曲というより、ストリート色の強い感じの方が好きです。アーティストで言うと、最近はWestsideGunnとか」

■最近、EMINEMのSHADY RECORDSと契約したラッパーですね。
JASHWON「今回参加してるTHE PURISTは、WestsideGunnのプロデューサーなんですよ。ヨーロッパの人らしいんですけど、めちゃくちゃヤバイんですよね」
DONY JOINT「ひとりぐらい、海外のトラックが欲しいと思ってたんですよね。WestsideGunnが好きだったというのもあるし、ビートを聴いてみて一番自分のどストライクな感じだったんで」

■身内/海外以外のプロデューサーで言うと、MURO/KASHI DA HANDSOMEという、K.O.D.P.な面々がふたりも参加してます。
DONY JOINT「K.O.D.P.関連も昔から結構聴いてましたね。MUROさんはやっぱりミックステープとか聴いてたし。KASHIさんは元々はラップが好きでしたね。『トラックがもらえる』という話があって、聴かせてもらったらハマって」

■KASHI DA HANDSOMEは、最近あまりプロデュース・ワークをしているイメージがなかったので、そういう意味では意外でした。
JASHWON「でも、やっぱり昔からのディガーだし、ここぞとばかりに良いのを出してくるから、流石ですよね」

■KASHI DA HANDSOMEのトラックは彼らしい、ソウルネタのエモーショナルなループですけど、MUROのトラックはイントロの入りからしてだいぶ渋い仕上がりですね。
JASHWON「それも、IOがMUROさんと演ったときと同じで、MUROさんのところに行って」
DONY JOINT「スタジオに行きましたね。スタジオで何枚かレコードを聴かせてもらって、二曲ぐらいネタを選ばせてもらった内の一曲です。もう一曲はまた違ったタイプで両方ヤバかったんですけど、アルバム全体通して聴いてみた感じだと“Nice One”でのトラックの方が渋くて自分的にやりたいラップが載せられそうだな、と思って選びました」

■ラップ面ではどんなモノを詰め込みたいと思った?
DONY JOINT「一言で言うと、全部“ライフスタイル”ですね。自分たちが生活してきた中で起こったことや思ったこと、そういうリリックが多いと思います。意識して作ったというより、そのときのフィーリングで作るという感じですね」

■自分のスタイルで言うと、そういう部分に拘ることが美学だと感じている?
DONY JOINT「というより、今回のアルバムのコンセプトに沿った感じですね。『仲間たちのいるこの街(東京)の物語』というか。だから、自分のありのままのライフスタイルを書いたアルバムにしたんです。元からそのコンセプトを考えていたワケじゃないですけど、そうやって音楽を楽しく作り続けたい、と思ってたんで」

■リリースされている楽曲やデモ音源でも、純粋な意味でのソロ作品は初なんですよね?初めてのソロ作品の制作を通して学んだことは?
DONY JOINT「反省点はめちゃくちゃありますね。もう少し制作のペースを上げたいというのもあるし……。この制作を終えたことで、次のステップに行きたいというのがありますね。自分的にはこのアルバムで火が着いたというか、コレでまた違うチャレンジが出来るという楽しみがあります。やっとスタート地点に立てたという感じですね」

■KANDYTOWNにはラッパーがかなりの数所属していますけど、DONY君はそんな中でもどんな部分が、他のメンバーにはないオリジナリティ/強みだと思う?
DONY JOINT「他のメンバーがカッコ良いからこそ、一緒の感じにはしたくない。仲間だけどライヴァルだし、彼らがカッコ良い曲を作ってきたから『じゃあ俺もカッコ良いのを作らないとな』という風に刺激し合ってる感じです。だから、『似せて作ろう』とか、そういうのはないですね。だけど、一緒に遊んでる中で見てきたモノが大体同じだったりするから被るモノはあると思うけど、それをどう自分のモノにするか、っていう。考えているのはそれぐらいですかね」

■クルー作/ソロ作が数多く出て露わになった部分としては、KANDYTOWN内のスラングやリリックをメンバーで共有したりしてて、そこは今言っていたような「被るモノ」ですよね。
JASHWON「でも、みんな似てるようで全然違いますよね」

■KANDYTOWNという集団において、DONY君の立ち位置/キャラはどんな感じなんですか?例えばJUJU君はクルーにおける“広報”的な要素があると以前語っていました。
DONY JOINT「JUJUとかIO君は他のみんなを引っ張っていってる感じがしますね。俺は『プールの監視員』じゃないですけど、遠くからみんなを見守っているような感じで、『そこ行ったらダメだ!』と思ったら出て来る、みたいな(笑)」

■「最終的に頼れるヤツ」ってことですね(笑)。アルバムの最後にはBANKROLL名義で“B R-ight”が収録されてます。で、この曲にはYUSHI君のヴァースも入っている。
JASHWON「今作ではこの曲が一番古いですね。だいぶ前の僕のトラックなんですけど。IOと“Dig2Me”作った頃のトラックです」
DONY JOINT「BANKROLLあってのラッパーとしての俺というのもあるし、『俺はBANKROLLだぜ』っていうのをアルバムの最後に置いときたかったんです」

■「BANKROLL for life」的な。
DONY JOINT「そうですね。アルバムを作り始めたときからBANKROLLとしての曲を入れることは決めてました。KANDYTOWN名義でしたけど、“R.T.N”もラップしているのはみんなBANKROLLだったんですよね。BANKROLL名義だと、俺はリリック書く段階から(意識が)何か違うんですよね。KANDYTOWNとしてだと、割とラフな感じで書いてるんですけど、BANKROLLだと『兄貴たちに負けたくない』みたいな想いが一番出ると思います」

■“兄貴”というと、“Godspeed You”で「死んだ兄貴の分まで生きたい」とラップしてますね。
DONY JOINT「それはYUSHIのことですね。やっぱり、彼がキッカケのひとつなんで。KANDYTOWNとしてのキッカケでもあり、俺としてのキッカケでもあるから、そこは一番デカいですね」

■また、“Godspeed You”では「夢を語ればキリがない」ともラップしてますよね。具体的に何かひとつ挙げるとしたら、どんな夢がある?
DONY JOINT「何だろうなー。音楽と関係ないことだと『世界回りたい』とか『のんびり暮らしたい』とか、そんなようなことばっかですね(笑)」
JASHWON「でも、なかなかそういうことは出来るようで出来ないからねー」
DONY JOINT「『この先も仲間と何かやり続けたい』とか、いろいろありますね。ラッパーとしては、今まで通りのノリで、ルーツを忘れないで楽しんで音楽を作っていられるんだったらやり続けていたいです。自分たちが間違ってなければ結果が付いてくると思うから、やりたいようにやってれば、なるようになるかな、って」
 
 

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