INTERVIEW:

焚巻 feat. FReECOol

 

 
■その意味では、アルバムは音の規模感が大きいですよね。
FReECOol「クラブっていうよりは、コンサート・ホールをイメージした音像にしてますね。イントロが壮大な感じも、それを意識してっていう部分がありますね」
焚巻「全体として、どこでも聴ける/歌える作品にしたかったんです。デカいところでも様になるし、現場でも映えるっていう。だから、柔軟な作品になったと思いますね」
FReECOol「キーワードは“アーバン”でしたね。いなたくない、洗練した作品にしたかった。本来はそういうイメージが合うヤツだと思うんで。加えて、RITTO & FReECOolでの“Umui”のような、メロウ且つ日常感のある音楽の引き出しを開けて、焚巻ともその感触で一緒に作りたいなって」
焚巻「FReECOol君のトラックは、さらっとした中性的な感じがあるんで、そこに俺はスッとHIPHOPな部分を潜ませるようなことは意識しました。ほんの少しいなたい部分も入れたいとは思って」

■確かに、「都市の音楽」という部分を感じましたが、今の言葉通りキラキラした都会でもなく、しかしダークな都会でもないという、グラデーションのかかったような雰囲気に“池袋”を感じましたね。
焚巻「だと嬉しいですね。今までは地下に根を伸ばす、時にダークな音楽をしてきたと思ったんで、自分名義の1stアルバムは根を張って足下を固めてきた分、“光”に向かったモノでありたかったんです。それがこのアルバムの性格になってるんだと思う。それはフィクサーであるFReECOol君のアドヴァイスもそうだったし、自分自身それがしっくりきたんですよね。今までの作品やライヴ、『ダンジョン』でのイメージを払拭した、『次の段階』を見せたかった」

■『ダンジョン』でのイメージをも払拭したかったのは?
焚巻「FReECOol君に言われたのは、『今の焚巻は般若戦のイメージが強い』、と。『あの映像でのインパクトがメチャクチャ強いから、それを破壊するのは大変だけど、破壊しないと次の段階には行けないよ、これからアーティストとして活動するには』って」
FReECOol「結局、『ダンジョン』でのアクションは『アーティストとしての収入』にはならないじゃないですか」

■レギュラーで出るならまだしも、単発だと収入にはなりませんね。
FReECOol「知名度も上がったし、エンターテインメントで人を喜ばせる、感動させるきっかけではあったけど、一方で“音楽”ではないとも思うんですよね。だから、『ダンジョン』で付いたイメージを払拭しないとアーティスト/音楽家として次がなくなってしまうと思ったんです」
焚巻「加えて、自分のこれまでの作品はドープな部分を意識してたものが多くて、これまでに出したミックスCDやアナログでは、そういった夜の雰囲気を形にしてたと思うんですね。ふたりでアルバムを作るなら、そのイメージともまた違う形にしたかった。 何故かと言うと、今は朝起きて、作業着に着替えて、バイトやnodus(HUMANMUSICのフラッグ・ショップ)に行って、HUMANMUSICで音楽して、たまに彼女に怒られて、夜はマイクを握るっていう生活なんで、日常にダークさがあまりない。だけど、アルバム内の“Yentown Joke”のように笑えない出来事も面白いトピックとしてラップすることで、日常の中で聴ける/フィットするモノにしたかった。だから、今回一番最初に出来た曲は“SUNDAY”だったし、そういうイメージで作った作品ですね」

 
■確かに日常性の高いリリックだし、ダンジョン的な“熱気”よりも、平熱に近い内容ですね。
焚巻「そうですね。でも、日常ではあるんだけど“生活感”や、“ノスタルジー”は出さないようにしました」

■ノスタルジーや振り返りは、多くの1stアルバムのテーマになりがちだけど、このアルバムはそうではないですね。
焚巻「『前だけ向いて作ろう』と思ってたし、FReECOol君と一緒に新しいことを作りたい、新しい自分を出したいっていうのがアルバムのモチベーションだったんで、過去のことよりも今をラップしてて。FReECOol君のトラックも、昔はチョップしまくってネタ感を出さなかったけど、今はループでも大ネタを使うようになって、サンプリングの質も変わったんですよね。変態のフレイヴァーは残ってるんだけど(笑)。その意味でもふたりとも前に向いてたってことだと思います」

■リリックの構成としては、情報量の多い内容とシーンが次々に切り替わる展開がスリリングであり、同時にポエジーだとも感じて。
焚巻「天邪鬼なリリックではあると思います。受け取り側のことや、周りの意見はあまり意識してないし、それを意識してしまうと自分が何をしたいのか/書きたいのかが分からなくなってしまいそうだなって。だから、手の届かない世界の話より、自分の肌が触れてる距離にある物や人や出来事を、HIP HOPのフィルターを通してラップしてると思います」
FReECOol「ただ、『ブックレットに歌詞を付けたくない』って焚巻は言ってて。“Yentown Joke”とかハードな内容も入ってるので、確かにリリックとして起こすのはどうかとも思う部分はあったんですけど、分かりやすい方を優先しようって」

■クリアー・スピーキングだから聴き取りづらくはないけど、情報量が多いし場面転換も多いから、やっぱり聴くだけだと消化しきれない部分も感じたんですけど、それを歌詞カードが補ってますね。
焚巻「俺はイヤだったんですよ。でも、今回は自己満をやめて、『洗練されたアルバムにするにはリリックを付けるべきだ』って説得されて。でも付けてよかったことがひとつだけあって」

■「ひとつだけ」って、やっぱり納得してない(笑)。
焚巻「(笑)いやいや、してるんですけど、自分のリリックを読みながらでも聴けたし、頭からケツまでずっと聴いてられる、って気付けたのは大きかったですね。同時に、今回は明るい部分を落とし込んだので、次に作るときはダークな部分ももっと書きたいと思いましたね」
FReECOol「『2ndアルバムはもっとリリックに深みを持たせたい』って話をしてて」
焚巻「課題が見えたと思います。情景描写だったりストーリー・テリングだったり、トピックをもっと濃くして……って普通のことなんですけど、その部分も面白くしたいなって」

■その意味では、次の構想はもう動き始めていると。
FReECOol「今年中には出そうかなって話はしてますね。あと、2作目のミックスCD『SOUL LETTER 2』をリリースしたので是非チェックしてください。『Life is Wonder』収録の“SUNDAY”を弾き直しで作ったリミックスとか、このミックスCDでしか聴けない曲が色々と入ってます」
焚巻「今回の世界観がより広がった作品になると思います。まったくの別モノではなく、進んだ先の世界観が出せれば、と。あと、もっとコラボとかも増やしていきたいなって。今まで日陰で過ごした時間が十分あったので、マインドはそこでの自己満よりも外に向いてます。HIP HOPの枠に自分を捉えようとはしてない。自分自身HIP HOPだけじゃなくてハウスもロックもポップスも何でも聴くから、いろんな人に刺さる作品にしたいですね。このアルバムがスタート・ラインだと思ってます。やっと耳を傾けてもらえる時期が来たのかなって」

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