INTERVIEW:

JJJ

「昔、イケてた物がどんどん終わってなくなってくみたいな現象が、音楽に限らず今いろんなところで起きてる気がして。音楽のチャートとかも見てると『なんなんだろうコレ』って思うこともあるし。『お前ぇごときが何言ってるんだ』って感じかもしれないですけど。本当に心がぶっ壊れそうになるような瞬間が生きてると多々あって。ただ、前作よりもっとその感情をポジティヴに吐き出せたと思います、今作は」

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 1stソロ・アルバム「YACHT CLUB」(2014年)以降、昨年リリースされた曲だとC.O.S.A. x KID FRESINO“LOVE”SIMON“EYES feat. IO & RYKEY”YOUNG JUJU“LIVE NOW feat. B.D.”などの名曲のプロデュース・ワークでその才能を発揮してきたJJJは、確実に昨年のベスト・プロデューサーのひとりであり、最早“次世代”という前置きが不要になる程、名打者ばりの打率でリスナーの首を振らせ続けている。故に、彼のソロ作品を待望していたファンも多いことだろう。

 先行シングル“BABE feat. 鋼田テフロン”の時点で予感していた人も多いだろうが、今作「HIKARI」も彼のクリエイターとしての耳/感性の確かさが冴え渡った快作だ。ラッパー/トラック・メイカーの両面が備わっているため、制作をひとりで完遂させる技量を持っている人ではあるが、今作では積極的にフィーチャリングや外部からのトラック提供を取り入れることで、彼がここ数年に渡って培ってきたセンスを向上させつつ、彼の初期作品が持っていたフレッシュ感や発想力もキープしている。

 筆者も、ここ最近の彼の仕事振りには唸らされ続けていたクチなため、本作についての話だけでなく、筆者的に気になっていることを乱雑に訊き過ぎてしまった感アリだが、彼のアーティスト性やモチベーションの源、Fla$hBacksの同士たちについてのコメントなど、興味深い発言が多く飛び出した取材となった。
 
 
■2014年に1stアルバム「YACHT CLUB」をリリースして以降、確実に今の日本を代表するビート・メイカーとしての評価を確立させたと思うんですけど、本人の感覚的には?
「ありがたいです。でも、まだまだです」

■それ以前は、“次世代”とかそういう括りで語られることが多かったと思うけど、最近は話題を呼ぶアルバムにクレジットされている頻度が多いと思うから、日本のHIP HOPを追っている人はJJJ君のトラックを聴く機会は確実に増えたと思う。
「そういう人たちから呼んでもらえるのはすごい嬉しいですね。自分が普段一緒にやってる仲間じゃない人たち — 例えばSIMONさん(“Eyes feat. IO & RYKEY”)とか、同じHIP HOPでも自分たちとはちょっと違うところの人じゃないですか。普段聴いてくれないような層の人たちが聴いてくれたのは、嬉しかったです」

■前作以降、相当な数のプロデュース・ワークがあったと思うけど、JJJ君的に思い入れのある曲は?
「ほとんど思い入れあります。けど、やっぱり一番はC.O.S.A. x KID FRESINOの“LOVE”です」

■確かに去年を代表する曲だけど、JJJワークとして考えると、シンプル目なトラックでもありましたね。
「久しぶりにベースラインをまったく入れないトラックでした。ネタをチョップしてピアノを弾いてドラムを乗っけただけですね。ただ、ドラムとネタは絶妙な位置に打てたな、と。昔は、がむしゃらに(いろんな要素を)詰め込むのが好きだったけど、本当に必要なモノが見えてきたって感じで。必要な音だけループにあって、且つ、ビートが始まって2秒で首が振れれば合格、みたいな。あの曲は、普通にネタを聴いてから作ったんですけど、俺、良いトラックが出来ると真っ先に佐々木(KID FRESINO)とかに送るんですよ。ラップがどうこうじゃなくて、取り敢えず聴いてもらいたくて。で、送ったら『めっちゃ良いね』って返信が来て、『だよね』みたいな(笑)。そうしたらC.O.S.A.とのアルバムで使うってなって。MVも一緒にNYに撮りに行ったりして、本当に最高な思い出がこの曲には詰まってます」

■「YACHT CLUB」のときのインタビューでも、既に2ndアルバム制作への意欲を滲ませていましたが、1stアルバムを作ったことで2ndアルバムはどんなモノにしたいというヴィジョンがあった?
「一回、(構想が)あったんです。だけど、『YACHT CLUB』を出して一年ぐらいした頃に、2ndアルバムの制作が煮詰まってきて。だから、一回全部ストップしてたんですよね。その時期に、外部の人にトラックをあげたりしてて。で、去年の頭ぐらいに2ndアルバムの内容を考え直して作っていきました。最初は、全曲殺伐とした曲だけにしたいな、って思ってたんですよね。あまり優しい曲とかは入れるつもりがなかった。それは1stアルバムを作り始めたときもそうだったんですけど」

■簡単に言うと“ドープ”な感じというか。
「そうです。だけど、何かに本当に怒りだったり感情がないと、曲が出来てもリリックが嘘になるし、俺の今の伝えたいことはそれだけじゃなかったことに気付いて。そこからは早かったです」

■JJJ君の原点は、ハードコア目なトラックの方にあるということですか?でも、世間的に反響の大きい曲はメロウ目なトラックだったりする。
「ハードな音が原点ってわけではないです。ただ、俺がラップしてて楽しいのは何故かいつも危ないトラックだから。色々曲を出したりして、日本のというか、世間一般の人はメロディがあるモノが好きなんだなー、っていうのを改めて実感しました。どんなスタイルでも、自分が世に出したものはベストなトラックだと思ってるから不本意ではないんですけど、自分的に『コレでブチ上がらせたい』っていうトラックではまだハマってきてはいないから、その方向に徐々にヘッズの人たちも反応してくれるといいな、と思います」

■アルバム・タイトルは「HIKARI」ですが、このタイトルに込められた“光”のイメージは?
「アルバム制作の終盤に決めたんですけど、曲を全部集めて聴いてたらそんな感じで。全体的に、曲のテーマや時間帯が“夜”だったから、夜の街で光ってる電飾(曲)っていうイメージで」

■じゃあ、昼間の明るい感じではなく。
「“希望”とか、そういう意味での“光”じゃなくて、ただの“光”」

■決してネガティヴな感触のアルバムではないと思うけど、リリックに耳を向けると、ところどころで攻撃的だったりストレスがベースとなっていると思われる曲も少なくないですよね。
「昔、イケてた物がどんどん終わってなくなってくみたいな現象が、音楽に限らず今いろんなところで起きてる気がして。音楽のチャートとかも見てると『なんなんだろうコレ』って思うこともあるし。『お前ぇごときが何言ってるんだ』って感じかもしれないですけど。本当に心がぶっ壊れそうになるような瞬間が生きてると多々あって。ただ、前作よりもっとその感情をポジティヴに吐き出せたと思います、今作は」
 
 

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