INTERVIEW:

タイプライター & YMG

「誰もやってないことをやらないと意味がない、っていうのは常に思ってるんですよね。あと、もうひとつ根底にあるのは、『本当の意味でのプロデューサーに(作品全体の)プロデュースを任せてみなよ』っていう意味合いもあるんです。『俺らはこれだけクオリティ・コントロールが出来るんだ』っていうのを示すことで信用を得て『任せてみようかな』っていうラッパーが増えれば、もっと曲のクオリティも上がってくると思うんで」 -- タイプライター

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 90年代後半からシーンに登場し、2000年代からはラッパー/プロデューサーとして精力的に活動を展開していたタイプライター。そして、タイプライターと同じく埼玉が地元であり、ISH-ONEを筆頭に10年代に台頭したMCたちのトラックを数多く手がけてきたYMG。地元が同じとは言え、世代や周辺のクルーが異なるこの両者がタッグを組み、プロデュース・アルバム「LA LA PALOOZA」を完成させた。

 既にMVでも公開されている“Let me Know feat. AK-69 & KOHH”や“Boss Up feat. MACCHO & SEEDA”などの楽曲が象徴しているように、本作は彼らの豊かなコネクションや現行シーンの流れを踏まえた上での豪華な客演陣を招聘することに成功していて、ふたりの共同作業で作られたトラックも、両者のアグレッシヴな感性が遺憾なく発揮された、充実したサウンドとなっている。このアルバムには、彼らが今の時代だからこそ提示したかった“HIP HOP観”や、トラック提供だけでなく、広義な意味での“プロデュース”の重要性という要素が重要なキーとなっている。本作の制作過程だけでなく、彼らが“プロデューサー”としてどのような志を持っているのか?そういった部分にも注目して読み進んで頂けると幸いだ。

■世代やシーンに登場した時期がかなり異なるふたりだと思うのですが、繋がった経緯は?
タイプライター「しばらくシーンから離れてて、戻って来ようとしていたタイミングで、近所の知り合いのDJの家に遊びに行ったんです。で、彼にいろいろ聴かせてもらった中にYMGのトラックがあった。『彼は地元が所沢なんですよ』って教えてもらって、『埼玉に(自分以外に)トラック・メイカー、いるんだね』って言ってたんですけど、彼以外からも埼玉で今良いトラック・メイカーはYMGだって話を聞いて。その後、ISH-ONE主催のハロウィン・パーティに遊びに行って、そこで初めて会ったんです。その時期、ある限りのツテを使っていろんなプロデューサーやアーティストの家に(情報収集のため)行ってたから、YMGの家にも遊びに行って。そうしたら、サクサクとレスポンスがあったから、『コレは一緒に何か出来るかな』と思って、そこからですね」

■HIP HOPプロデューサーが、様々なアーティストをフィーチャーして作るプロデュース・アルバムはこれまでも数多く出てますけど、今作のようにそれまでの活動がまったくリンクしていないふたりのプロデューサーが組んで一枚のアルバムを作るというのは、異例ですよね。
タイプライター「多分、これまでないと思うし、そういうことはずっとやりたかったんですよね。USでは今やSKRILLEX & DIPLOみたいな感じの人もいるけど、俺はずっと前からそういうことは考えていた。それこそまだ大阪にいた頃のBACHLOGICとそういう話をしたこともあるし。そのときは、BL的には複数のアーティストをフィーチャーしたアルバムより、特定のアーティストの作品を一緒にフル・プロデュースするような作品を作りたい、って言ってたから、あるラッパーに相談したりしたんだけど、タイミングが合わず実現しなかった。だから、俺のキャリア的にはこういうアルバムはいつか絶対やりたかったことなんですよね」

■今、話を訊いてて思ったんですけど、タイプライター君は「企画モノ好き」ですよね。2000年代には黒や黄者といったプロジェクトや、EAST UP LINE STARSといったユニットもあったし、プロジェクト単位の仕事が好きなタイプなのかな、って。
タイプライター「誰もやってないことをやらないと意味がない、っていうのは常に思ってるんですよね。だって、普通にアルバム作ってもみんなと同じだから、それだと面白くない。あと、もうひとつ根底にあるのは、『本当の意味でのプロデューサーに(作品全体の)プロデュースを任せてみなよ』っていう意味合いもあるんです。『俺らはこれだけクオリティ・コントロールが出来るんだ』っていうのを示すことで信用を得て『任せてみようかな』っていうラッパーが増えれば、もっと曲のクオリティも上がってくると思うんで」

■タイプライター君から共作の相談があったとき、YMG君はどんな状況だった?
YMG「僕は、自分のソロ・アルバムを作ってる最中でした。でも、こういう話って傍から聞いてても面白いじゃないですか?自分はプロデューサーのキャリアを始めてからずっとひとりで作ってたけど、『タイプライターだし、何か得るモノがあるだろうから、やってみようかな』って。僕は、タイプ君の音は日本のプロデューサーの中では一番シンパシーがあるというか、一番波長が合うと思ってたんですよね。ダイナミックで大胆なノリは、僕のビートに近いと思っていた。だから、最近まで会ったことがなくても、音楽を通して波長が近いっていうのは分かっていたんです」

■埼玉が地元という共通点は意識しましたか?
YMG「僕は別にないんですけど(笑)」
タイプライター「そこは俺だけ(笑)。家も近いからいいなって」

■アルバム・タイトル「LA LA PALOOZA」について説明して頂けますか?
タイプライター「字面と発音と、日本語にしたときの意味が合うかな、って。意味は『驚異的な』とか『他とは違う』みたいな」
YMG「『とびっきり』とかね」
タイプライター「俺もYMGもマンガ『はじめの一歩』を読んでたから(作品中に『LALLAPALLOOZA』と題されたボクシングの試合が登場する)馴染み深かった(笑)」

■具体的に、どうやって音作りを進めていったんですか?
YMG「最初、タイプ君がレコードとターンテーブルを俺の家に持ち込んで来て。『ネタを色々聴いていこうよ』って、いろんなサンプリングネタを聴いていく内に、俺がドラムを打ち込んでみたりピアノを弾いたりして。逆に、タイプ君がある程度作って来たワン・ループ的なラフ・トラックがあって、それを聴かせてもらった上でふたりで一曲に仕上げていくっていうのもありましたね。だから、データでのやり取りじゃなくて、一緒にセッションして作っていきました」
タイプライター「共同作業じゃないと意味がないですね」
YMG「データじゃ一体感は出なかったですよね」
タイプライター「絶対出ない……かどうかは分からないけど、俺は出ないと思う」
 
 

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