INTERVIEW:

Creepy Nuts (R-指定 & DJ松永)

02. “どっち”
■“助演男優賞”が“PRINCE OF YOKOHAMA”的なら、この曲はRHYMESTER「グレイゾーン」的というか。
DJ松永「あー、そうですね。俺らの中で“サブカル”な人たちに対する文句がすごいあって。『アイツら腹立つわー』みたいな話をしつつも、『でも俺ら、最近サブカル扱いされてない?』って考え始めたら、それにもスゲー腹が立ってきて」
R-指定「『違う違う!』ってふたりで発狂して」
DJ松永「だから、『現場映えする踊れるトラックの上でRがサブカルをこき下ろす曲を作って、それをフェスで演りたいんだ!』って言ってRにこのトラックを渡して。そこから、単純なサブカル・ディスじゃなくて“どっち”にも馴染めないという解釈をRが持ってきてくれたんです」
R-指定「この曲の骨組みとなる『ドン・キホーテにもヴィレッジヴァンガードにも俺たちの居場所はなかった』っていうフレーズは、俺がソロ・アルバム作ってたときぐらいからあったフレーズなんです。俺は地元が大阪の田舎の方で、所謂“DQN文化”な場所だから普通にマイルド・ヤンキー的な友達もいっぱいいるけど、俺はそうじゃなかった。かと言ってそこまでサブカルに詳しい感じでもないし……という感じでHIP HOPな現場からロックとかフェスの現場に出るようになったら、サブカルの“ヤダ味”みたいなモノを一気に感じて。それまでは『HIP HOPの現場、怖いなあ……あの人はカッコ良いけど俺らはそんなガラじゃないし』って卑屈な感じなだけやったけど、どうやらこっち(サブカル方面)は腹立つぞ!?って」
DJ松永「体育会系のヒエラルキーと文系のヒエラルキーがあると思いますけど、文系は体育会系に馴染めない、同じような痛みを感じている人間が集まっていると思っていたのに」

■あー、いじめられっ子が環境変っていじめっ子に変貌しちゃった、みたいな。
DJ松永「そう。だから、よりタチが悪い。マウンティングがより汚い」
R-指定「体育会的なHIP HOPヒエラルキーにドップリだった頃の俺らは、『怖いし絶対ケンカじゃ勝たれへんけど、ラップとDJのスキルを見せたらいい』って思ってたんですけど」

■確かに、体育会的な方がそういう意味では分かりやすいかも。
R-指定「そっちの方が爽やかなんですよ。どんなオタクでナメられてても、バトルやライヴでカマしたら『お前、カッコ良いやん』ってなってくれるんです。でも、文系ヒエラルキーの人たちは変なところからマウンティングしてくる」
DJ松永「ニヤニヤしながら近づいてきて、褒めてるけど、さりげなくマウンティングしてくる感じがめっちゃ嫌で」

■なるほど……確かに、HIP HOP的な価値観である“スキル”から得られるリスペクトという概念を、サブカル方面の人たちは共有してるわけじゃないし。
R-指定「そうなんですよ。体育会系は分かりやすいピラミッド構造やけど、サブカル方面は分かりにくい上に確実に優劣を付け合ってるというのを感じて、『うわー、どっちかというとこっち(サブカル)の方がイヤやなぁ……』と思ってたんです。結局、どっちにも俺らは馴染めなかったので、コレはもう曲にしちゃおう、と」

■でも、自分たちの商品である作品として考えると、そういうスタンスだからこそドン・キホーテ/ヴィレッジヴァンガードのどちらでも陳列されて展開される可能性を秘めてるとも言える。
R-指定「だから、ややこしいけど俺は元々どっちも好きなんですよ。その一方で、それぞれのイヤなところも感じている。『表わしにくいなー』と思いましたけど、『それなら、表わしにくいということを曲にしよう』って。俺らはイカつかったりカッコ良いっていうカリスマ性があるわけではないし、サブカル的な崇高さやセンスの良さがあるワケでもない……だから、俺らは“卑近”なんですよ。でも、それって“普通”ってことだと思う」
DJ松永「一般の方にはそういう人の方が多い筈なんですけど、音楽とかをやって矢面に立ってる人間は、どうしてもどっちかに分類されがちなんですよね」

■曲の落とし所としては、「だけどそれでよかった」と、自己肯定に結びつけている。
R-指定「それが俺らの個性になったし、今振り返るとこういう経験をしてよかったな、と思います」

■ちなみに、ドンキにもヴィレヴァンにも居場所がないと感じているとしたら、自分たちにとって一番しっくりくるお店って何になる?
R-指定「“サイゼ”ですね」
DJ松永「うん、“ゼリヤ”?」

■……メシ屋じゃねぇか!
DJ松永「ファミレスがベストなんですよ(笑)。友達とドリンク・バー頼んで、エンドレスに何の生産性もない駄話をする感じ」
R-指定「ドンキでイカつい服買ったりナンパしたり、ヴィレヴァンでワケ分からん本買うとかじゃなく、サイゼリヤでツレとドリンク・バー頼んで無限に話してたい(笑)。『たりないふたり』でも、『皆のユートピア ミラノ風ドリア』(“中学12年生”)ってラップしてます(笑)」
 
 

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