INTERVIEW:

Creepy Nuts (R-指定 & DJ松永)

 
01. “助演男優賞”
R-指定「『ライヴで演りたい曲を作りたい』っていうのがあったし、それまで出来た曲はテーマが全部バラバラで暗かったから、一本筋通す曲且つ入口として気持ち良い感じのが出来ればな、ってずっと考えてて。そんなことをライヴが終わった後の控室でボーッと考えてたら、この曲のサビと歌詞を思いついたんです。そこから松永さんに『このサビがハマるトラック、ありましたよね?』って話して作り上げました」

■前作の“合法的トビ方ノススメ”路線というか、アッパーでBPM早いトラックは、Creepy Nutsのお家芸的なスタイルになりつつありますね。
DJ松永「ただ、更に早くなっちゃって。BPM144なんですよ(笑)」

■このタイプのトラックは、現行HIP HOPの主流とは真逆のアプローチではある。
DJ松永「『たりないふたり』を作ったときもそうだったんですけど、『流行りをまったく考えないようにしよう』と思って作ったんですよね。“合法的〜”を作ったときも、誰が気に入ってくれるのかも分からず作った感じで」
R-指定「俺らが組み始めた頃から、USのトレンドをしっかり落とし込んでる人たちがメインストリームやったから、そこにコンプレックスがあって。『俺、全然その要素ないわ』って。メロディアスなサビが作れても、そこに“洋楽感”がまったくないのもずっとコンプレックスだったんです。なんぼサビが浮かんでも、『おいおい、俺の“鋼田テフロン感”、出てこいや!』って(笑)」
DJ松永「Rさんはそれをマジで悩んでたから、『いやいや、それがいいんだって!』って言って」
R-指定「松永さんがそう言ってくれたから、ふたりで作るときはそういうことはまったく気にしなくなったんですよね」
DJ松永「でも、“合法的〜”のときも『このトラック、大丈夫かな?』ってめっちゃ思ってましたね。すごい秀逸なワンループでキャッチーなトラックだな、って今は勝手に思ってるんですけど、作ってた当時は手応えが全然なくて」

■でも、この方向性は今Creepy Nutsが主戦場としている他ジャンル勢と競演するようなライヴ会場では有効な方向性だとも思う。メジャー・デビュー後のRIP SLYMEがドラムン・ベースとかビッグ・ビート的なアプローチをしてたみたいに。
DJ松永「ライヴ受けに関しては、後付けですね」
R-指定「そもそも、“合法的〜”も俺たちの中ではアイドル・イヴェントとか別ジャンルの人たちと演ることを想定していなかった段階で出来た曲だし。だから、むしろ『ゴリゴリのHIP HOPな現場でこの曲を演るのってどうなんだ?』って方が気になってた」
DJ松永「で、実際に別ジャンルのイヴェントで演ってみたら有効だということに気付いたんです。でも、フェスとかだとその反応は本当に顕著ですね。“爆ぜろ!! feat. MOP of HEAD”(『たりないふたり』収録曲)とか、トラック流しただけですぐノッてくれる」

■この曲は、謙虚でもあり卑屈でもあり、でも最終的には野心を覗かせる、というCreepy Nutsらしさがよく表われてると思う。でも、最早R君は“主役級”の捉え方を世間はしてるんじゃないか?とも思って。
R-指定「でも、別ジャンルの現場に行けば俺らは“外様”やし、フェスでも演るステージはサブ・ステージだったりする。だから、『俺らはまだこんなモンや』って感じやし、HIP HOPの場面 — 『ダンジョン』に関しても、俺が出ててもやっぱりケツにおるのは般若さんやし、番組の顔はZeebraさんですよ。だから、俺はずっと“アシスト”をし続けてるのかな、って。HIP HOPシーンとして考えても、俺らの世代の“主演”はどう考えてもKOHHさんですよ。それは演ってる側だからこそ感じる。KOHHさん側からしたら俺らのことは眼中にないかもしれないですけど、俺ら的には勝手に『KOHHさんがZeebraさん的な感じだったら、俺らはRHYMESTERみたいな感じになれたらいいね』ってキャッキャ話してます(笑)」

■そういう妄想トークで“処理”してるのか(笑)。「主役というにはおこがましいけど、でもその次ぐらいの立ち位置で上を虎視眈々と狙っている」という塩梅は、サ上とロ吉が自らを“キング”ではなく“プリンス”と位置付けた“PRINCE OF YOKOHAMA”を彷彿とさせるものがある。
R-指定「メインじゃないからこそ、この曲ではメインじゃないヤツがやるようなことが詰まってると思います。言葉遊びやったりダブル・ミーニングやったり、ヴァース全体が小賢しい(笑)」
DJ松永「確かに、上野さんも俺たちも“呪われてる”な」
R-指定「俺らが大尊敬する宇多丸師匠も呪われてるし」

■「日本語ラップの“呪い”に苦しんできたラップ・グループの系譜」としてはRHYMESTER→サ上とロ吉と来て、今はCreepy Nutsですよ(笑)。
R-指定「パンデミックですね。呪いって、世代を超えて薄めていかないとなくならないんですけどね。『末代まで呪う』って言葉もあるけど」
DJ松永「末代の俺ら、まだ呪われてるな(笑)」
 
 

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