INTERVIEW:

KREVA

■アルバムの要所に“君”という“対象”が設定されていて、リスナーにとってはそれが友達だったり恋人だったり、いろんなものに解釈することは出来るんでしょうけど、クレさんの視点から見ると、この“君”はファンの姿を特に意識して書いてるのかな?という印象を受けました。
「うん、そうだね」

■で、そのファンに「カッコ良い自分」という姿だけでない部分を見せているし、だからこそ“正直”なアルバムだな、と思ったんです。
「あー、なるほど。それで言ったら確かに“正直”だね。『SPACE』を作ってるときぐらいから水泳を習い始めて、それが『SPACE』を作ることに影響を与えたんだけど」

■「SPACE」時のインタビューでも語ってましたね。
「水泳はずっと続けてるんだけど、まあ上手くならない(笑)。始めたときと比べたら100倍ぐらい上手くなったけど、自分が思うようには泳げない。すごい苦手だったのが普通に泳げるようにはなったけど、上手く泳げているかというと全然ダメで。しかも、その進歩が2年前ぐらいから止まってる感じがして、『コレは向いてないな』と思ってるんだけど — しかも先生とかに見られるワケだしさ — 苦手なことをやってからスタジオに来て曲を作ったりラップしたりすると、得意なことが出来る時間がすごく貴重に感じられて。その時間がいいな、って思うようになったね。健康のために続けたいっていうのもあるけど、どうにも上手くならないモノにトライしているのもいいかな、って。だから、『苦手な部分を見られてもいいや』っていう気持ちが表われたのかもしれない」

■「SPACE」のサウンド面で掲げられていたテーマとして、HIP HOP的なブレイクビーツ感とEDM的なシンセ・サウンドの融合というのがありましたよね。毎作、音作りには何かしらのテーマ設定や傾向があると思うのですが、今作の場合は?
「今回、あるとしたらまず“コード進行”だね。そこから作った曲が多いかな。ビートから作ったモノはほとんどなくて、コード進行から作っていった。もうひとつは、ネットとかで売っているサンプリングCDとかMIDI集とか、そういうのを買ってバンバン使うっていうのは決めてたかな。『コレ、プロのミュージシャンは絶対使わないな』って思ったんだよね。バンドの人たちとかだと、そんな素材集があることすら知らないと思う。でも、俺はそういった素材の中にも良いモノがあると思ったから、それを思いっきり使っていくのが俺の好きなHIP HOPの — いとうせいこうさんが言うところの“初期衝動”なのかな、って」

■バンド編成で作ったり、スタジオにあるハイエンドな機材を使おうと思えば使えるのに、それを敢えてしなかったんですね。
「今って、ラップ・ブームというかフリースタイル・ブームじゃん?それについて『どうですか?』って訊かれることが多いんだけど、そういうときに思うのが『もっと新しくてイケてるトラック・メイカーももっと出て来てほしいな』ってこと。まったく出て来てないとは言わないけど、少ないと思うし、今、トラックを作るってなるとEDM的な方向になっちゃうのかな、って気がしてるんだよね。それがすごく残念。だから、『そういう人がもっと出て来てほしいな』って気持ちがあるし、プラス、『もっととんでもない才能が出て来るんじゃないか?』とも思ってる。お兄ちゃんにもらったパソコンに入ってたソフトで作ってみたらとんでもないことになった、みたいな。そういうキッカケになればいいな、と思って。だから、『俺はこうやって作ってるよ』っていうことをなるべく喋っていこうと思ったんだよね」

■『SOUND & RECORDINGS』誌で特集もされていましたが、改めて、現在の制作環境や作業行程を教えて頂けますか?
「最近はあまり拘ってなくて、例えばNative Instruments MASCHINEにコードを弾ける機能があるし、ソフトやiPadでコードを弾くこともある。まあ、まず良いコード進行を見つける。それか、MIDI集でいいなと思ったヤツを自分の好きなキーに変えたりして、そこに好きな音色をハメてからビートをハメるって感じだね。ビートに関しては本当に拘りがなくて、基本、MASCHINEの音色を違うソフトで鳴らしたりした。でも、今回一番やったのは、ビートをAKAI MPC3000に入れたことで、MPC3000に取り込むと安心するというか、HIP HOPになるってことに気が付いたから、結構その手法は使ったかな。“鳴り”もそうだけど、特に“ノリ”が、MPC3000に入れると納得することが多かった」

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