INTERVIEW:

KREVA

■「嘘と煩悩」というタイトルですが、僕は逆に「すごく“正直”なアルバムだな」と感じたんです。最終的に前のめりな結論に導いていたとしても、クレさんが日々感じている葛藤や産みの苦しみや反省のような感情を、今作ではかなり曝け出していると思います。特に“Sanzan feat. 増田有華”のような曲にそれが顕著ですよね。さっき話して頂いたようなサビ作り/歌詞作りのプロセスがあったから、そう感じるのかもしれないですが。
「ああ、そうかな?特に意識しないでやってたけど、出たんだろうね」

■「GO」(2011年)は、震災後のリリースというタイミングだったから、その時期のムードがリリックにも表われていましたけど、今作も個人的にクレさんが感じていたことが反映されているのかな?と思ったのですが。
「ひとつあるとしたら、自分の中で言いたいことが見つかったとしても、それをライヴに来た人が『あれ?コレ、今の自分のこと歌ってる?』って思ってもらえるようにしたいな、って気持ちはあったね。その気持ちが芽生えたのは、多分47都道府県ツアーをやったからだと思う。全部廻って、『なるほど、こういう人たちが自分のライヴを観てるのか』っていうことが分かって、その経験が活かされてるというか、そうさせたんだと思う」

■そうですね。確かにリスナーが聴くとそういった意味で感情移入できる内容なので、仕上がりがパーソナルというと違うと思うのですが、そのリリックが出来る背景に、クレさんのパーソナルな視点が活かされているのかな?と思って。
「そうだと思うよ。『嘘と煩悩』ってタイトルだから、もちろんフィクションもあるけど。例えば10曲目の“もう逢いたくて”は、クリスマスの時期にひとりで作ってて、それってほぼ変態じゃん(笑)?さっきの話に戻すと、この曲も『逢いたくて、逢いたくて』ってフレーズがまず出て来て、『誰にどう逢いたいんだ?』ってところから始めた。あの曲はフィクションだけど、『自分が言えることをやろう』って考えて書いたって感じだね。……あ、DRAKEがLIL WAYNEに『お前は女の子のこと歌うのが上手いんだから、他のヤツに何言われても気にしないでやれよ』って言われたっていう話を聞いて、『……俺の方が得意だな』と思って(笑)。『女の子のこと、結構昔から歌ってるぞ?』と思って作ったことを今思い出した。で、『恋愛の歌にしよう』と思ったんだけど、俺的にはライヴが終わって会場を出た瞬間に『また行きてー』って思ってる人に向けて書くってことを思いついて、『コレが正に“もう逢いたくて”じゃね?』みたいになるように作っていったんだ」

■例えば、“Sanzan feat. 増田有華”で書かれているようなことって、クレさんの作家的な観点から出てるのか、クレさんが実際に感じたことがベースになってるのか、どっちなんでしょうか?
「俺(が感じたこと)だね。その曲を作っていたとき、結構暗かったと思うよ。この曲で俺が言いたかったのは、『これ“で”いいや』じゃなくて『これ“が”いいな』って思えるようになりたいな、ってことなんだけど、どうしても俺自身が『これがいいんだ』って思えなくて。自分の状況的に、『もっと行きたい』とか『コレが良くないわ』みたいな気持ちがすごいあったから、そこを素直に書いていった感じだね」

■だから、「嘘と煩悩」はそういう意味ではすごくリアルなアルバムですよね。
「そうだね。『嘘と煩悩』は、つまり“俺”っていうことだから、俺がすごく出ていると思う。でも、例えば『KREVA』ってタイトルのアルバムだったら重いと思うよ(笑)。そうしてたら更に沼に入っていくみたいな感じになっちゃうけど、結果的にコレが『嘘と煩悩』でよかったな、って」

■例えば“神の領域”は、メイン・テーマとしては自身の才能/SWAGのアピールという意味ではこれまでも行なわれてきたことですが、これまでがある種突き放すぐらい自分のスキルを誇示しようとしていたのだとしたら、この曲では「本当は君だけが好きでいてくれるかが気になってたんだ」と気使っていたりする。曲内で一方向の感情に振り切らないで、時には相反する情感を一曲の中で共存させようとしている印象を受けました。
「そうだね。だけど、意識して『ふたつの感情を共存させよう』というようなことはなかったかな。単純に、“時間”が理由だと思う。サビを作ったときとヴァースを作ったときがすごく空いてたり、数日のタイムラグだったり、その日の波によって変わったって感じなんじゃないかな。今回、一気に書いた曲はボーナス・トラックの“君に夢中”ぐらいじゃないかな。あと、自分で録音して取っておいて、後でアレンジを加えることが出来るようになってきたが故に、色々内容を変えてるっていうのもあるかもしれないね」

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