INTERVIEW:

KREVA

「『嘘と煩悩』は、つまり“俺”っていうことだから、俺がすごく出ていると思う。でも、例えば『KREVA』ってタイトルのアルバムだったら重いと思うよ(笑)。そうしてたら更に沼に入っていくみたいな感じになっちゃうけど、結果的にコレが『嘘と煩悩』でよかったな、って」

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 2013年にアルバム「SPACE」をリリースして以降、“トランキライザー”(14年)や“Under The Moon”(15年)といったシングルやベスト盤「KX」(14年)リリースなどがあった一方、ライヴや『SUPERLOSERZ SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う』(宮本亜門演出)への出演、自身が音楽監督も務めるKREVAの新しい音楽劇『最高はひとつじゃない2016 SAKURA』への出演などの活動も活発だったKREVA。そんな彼が、ソロ・デビュー以降10年以上に渡って所属していたポニーキャニオンから、ビクターのレーベル:SPEEDSTAR RECORDSに移籍後初となるアルバム「嘘と煩悩」をリリースした。

 セルフ・コンテインドな音楽制作をベースとしているため、(外部プロデューサーの参加は度々あったが)ラップからプロダクションまでの作業をひとりで完結させながらも、多作家振りを発揮していたKREVAとしては、4年間というアルバム・リリースのブランクは長い方だ。それ故に、今作「嘘と煩悩」は、近年の彼の音楽的モードとマインドを知るためには重要な作品と言えるだろう。

 「嘘八百+百八の煩悩」=908(KREVA)という意味が込められたタイトルが付けられた「嘘と煩悩」は、タイトル通りの彼らしい捻りと彼の主観をベースにしながらもリスナーの共感を得られる普遍性、そしてクリエイターとしての彼の拘りと発想力が混在した、分かりやすく「KREVAらしい」アルバムでありながら、様々な解釈が可能な聴き応えのある作品だ。今作の完成に至ったプロセスやその背景にある試行錯誤や葛藤など、様々なトピックを久し振りとなるロング・インタビューで彼にぶつけてみた。
 
 
■ツアー開始直前でリハに忙しいタイミングでの取材、ありがとうございます。スタッフさんから話を訊いたところ、毎日7〜8時間もリハをしてると伺いました。今回のツアーはどんなモノを目指しているんでしょうか?
「ツアー名が『TOTAL 908』に決まったから、それに合わせて内容を決めていくって感じだったかな。『嘘と煩悩』が出来て、そこからの曲を披露するのはもちろんだけど、“嘘”(800)と“煩悩”(108)の“合計”(TOTAL)が“908”っていう意味と、トータルでKREVAを感じてもらえるようなライヴ、その両方向から攻めていけば上手くいくんじゃないかな?っていう思いつきの下に内容を考えていった。14年にソロ・デビュー10周年を迎えてベスト盤もリリースして、47都道府県ツアーやフェスでは似たようなセット・リストになってきてて。『この曲の後にはコレ』っていう(お約束の展開がある)良さはもちろんあるんだけど、『嘘と煩悩』からの曲を加えることで、曲順が変わってそこから新たなストーリーが始まる、というのを目指した感じかな?」

■前作「SPACE」以降の4年間、オリジナル・アルバムのリリースはなかったですが、ライヴ活動や音楽劇『最高はひとつじゃない』など、音楽制作以外での活動も活発でした。この4年間の活動の中で、今作を作る上でヒントになったものはありますか?
「いやー、ないね。そういうことより『自分を掘る』感じだったというか。今作で参加しているAKLOと増田有華ちゃんは『最高はひとつじゃない』に出演してくれたから、それはひとつのキッカケになったかもしれないけど、何かをやってそこからそのまま影響を受けるっていうのは、あんまりないんだよね。それよりも逆を行きたくなるというか。『最高はひとつじゃない』とか『SUPERLOSERZ SAVE THE EARTH 負け犬は世界を救う』とか舞台仕事が続いてて、それは集団の中でリーダーシップを発揮するという役割だったんだけど、そうなってくるとひとりで作業したくなる。大勢とやってると、ひとりで作る……尊さとまで言うと重いけど、ひとりで作って完成まで持って行ける良さを改めて感じるね」

■活動の反動からインスピレーションを受けるんですね。
「そうそう、結構それが多い。大きいフェス・バンド編成で出演すると、またひとりで演りたくなるし、1MC+1DJスタイルで演ると、『みんなで音出したら面白いだろうな』って思うこともあるかな」

■これまでのクレさんのリリース・ペースから考えると、4年のブランクはかなり長い方です。その間も当然制作はしていたと思いますが、いつぐらいに「嘘と煩悩」のイメージが固まって制作を加速させていったんですか?
「今作の感じだったら、去年の5月ぐらいからじゃないかな。(その頃に)移籍が決まってちゃんとやりだしたって感じかな。その前は全然違うアルバムをイメージしてて、そこから作品を作ろうと思ってたんだけど、移籍が決まったから『嘘と煩悩』というタイトルにしたんだ。そこから、曲順とかも考えないで曲をたくさん作るようになった」

■その前に作った曲は、今回は入ってないんですか?
「いや、入ってるよ」

■より方向性が固まった上で、5月ぐらいから煮詰めていった?
「いや、その逆で、2015年に『908 FESTIVAL』が終わったぐらいから“FRESH MODE”みたいな感じのトラックがいっぱい集まった、『落ち着いたトーンにまとまったアルバムになったらいいな』って、なんとなく思ってたんだよね。で、実際にそういうトラックもたくさん作ったんだけど、時が経って制作が進んでいくと“神の領域”みたいな曲も出来てくる(笑)。やっぱ(そういう曲も)好きだからね。で、『どうしようかな?』って思ってたタイミングで移籍が決まったから、『じゃあ、あまり曲順とか考えないで一曲一曲作っていこう』って感じで作ったかな。そういう作り方は初めてな感じ」

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