INTERVIEW:

鶴亀サウンド (LIBRO & ポチョムキン)

■話はズレるようですが、ポチョさんが真田人さんと組んだユニット:随喜と真田2.0は、00年代の中でもトップ・クラスにスキルが高いアルバムだと思うんですよ。
ポチョムキン「お!」

■リリックの内容はともかくとして(笑)。
ポチョムキン「アウトサイダーの最たるものだから。『ラップは上手いけど……』みたいな(笑)」

■もちろん、リリックも最高に面白かったですけどね。その上手さは、「日本語をどう気持ちよく聴かせるか」みたいな部分が担保してたと思うんですが、今回の鶴亀サウンドも、そういった「日本語をラップとしてどう違和感なくスムーズに響かせるか」という部分での“上手さ”が本当に強いな、と。
ポチョムキン「自然に発して、違和感なく聴こえるモノを選択すると、そうなってるんだと思いますね」
LIBRO「英語っぽい節回しや発音は、『それは日本語の会話としては使わないよね』って思うし、それならちょっと書き言葉のような表現が混ざっても、日本語として聴こえの良い/日本語として面白いモノを表現したり、伝わった方が、耳に気持ち良く響くと思うんですよね」

■それはおふたりとも初期から変わらない部分だと思うし、それが今回はより研ぎ澄まされてきてるのかなって。
ポチョムキン「LIBROは特にそうだと感じますね。自分の中から自然に出てくるモノで勝負してる感がある。自分の場合は、USのラップ・フロウをどう消化するかも実は考えてるんですけど、それはあまり言わないようにしてて。言わないことで天才ぶるっていうか、『自然に出たんだよね〜』って言いたい(笑)。ただ、ユニゾンしてるパートとか、一緒にやってみると気持ち良かったし、声質もそうだし、感覚も似てるのかなと思いますね」

■先程話に出た“鶴亀サウンド”というユニット名についても、もう少し教えてください。
LIBRO「一応、ポチョ君から出た名前だったんですけど、俺が『日本文化しか認めない!』って言ってたのが刷り込まれて、この名前が出たのかな、と」
ポチョムキン「そもそも、お互いに亀を飼ってて。亀の最新情報を交換してて、そこから親睦が深まっていったっていうのもあって。『お互い良い奴だな』って」
LIBRO「『なかなかやるな』って(笑)」
ポチョムキン「お互いペットを飼ってて、掛川花鳥園とか」
LIBRO「町田リス園とか」
ポチョムキン「そういう話をして、『これは心優しい人だな』と思って、そこから心を許し合っていって(笑)。そういうことも頭の片隅にもありつつ、鶴亀は長寿と繁栄の象徴でもあるので、『インスタントじゃない、孫の代まで聴ける作品ですよ』とも言いたかった」
LIBRO「若い子やユース・カルチャーとしてのHIP HOPに恥じない、ヴェテランのサウンドを作りたいっていうのはありますね」
ポチョムキン「それがまかり通るようにはしていきたい。ヴェテランであることに負い目を感じないというか。そっちの方が夢があると思うし」

■ただ、リリックは“THE BEST”や“AWEAKING”のように熱気があって、若さも感じましたし、ヴェテランでもそれを言う強さがあるなって。
LIBRO「“THE BEST”は、『ヴェテランは若手よりもベストを尽くさないといけない』って意味でもあるし、頑張ってる人がそれ以上にベストを尽くしてくる“恐怖”を叩き込んでやろうかと(笑)」
ポチョムキン「その意味でも、ふざけ過ぎない、シリアス過ぎないっていう塩梅は、最初から決まってましたね」
LIBRO「その湯加減を最初に決めておいたら、お互いにそういうモードになっていったというか。B・ボーイだったり、知識がない人しか分からない内容ではないし、どんなリスナーであっても、想像力を活用するような内容になったと思いますね」

■一方で、“踊る人”では「俺天才」とも言ってますね。
ポチョムキン「でも、〈『ひょっとしたら』俺天才『かも』〉なんで。割りと控えめな(笑)」
LIBRO「これが“湯加減”ですね、このアルバムの。そして、キャリアの賜物(笑)」

■ただ、「表現する」ということは一瞬でも「俺天才」と自分を思わないと出来ないことだと思うし、アルバム全体の熱気も、同世代のラッパーがいなくなってる自分たちの年代だからこそ言うべきことのようにも感じました。その意味では、「表現することの強さ」が作品の基本にあるのかなって。
LIBRO「『大人がやりきってる』ことが大事なんだと思いますね。言葉とか単語単語は簡単だったり、ハタチぐらいの子でも書けると思うけど、そこに強さがあるとしたら、年齢とかキャリアによるものなのかなって」

■その意味では、現在のフリースタイル・ブームやラップ・ブームはどう感じてますか?
ポチョムキン「良いことだと思うけど、弊害として『餓鬼レンジャーはこのフリースタイル・ブームに乗り遅れてますけどね』っていう謎すぎるディスをYOSHI君が受けたらしくて(笑)」

■弊害にも程がありますね。
LIBRO「ラップに関してイチから説明しなくてもよくなったのは良いですね。『フリースタイルダンジョン』は楽しみで観ています」

■最後に、鶴亀サウンドはこれからも動きはありますか?
ポチョムキン「やろうと思ってますよ」
LIBRO「だから、『ポチョムキン&LIBRO』じゃなくてユニット名を付けたんですよね」
ポチョムキン「今回はこのふたりだけの世界を見せたと思うんで、次はいろんな人に参加してもらった作品というのもアリなのかなって。そこでいろんな広がりを出すのも面白そうですね」
LIBRO「ずっとひとりでやってきたんで、こういうユニットが作れたのは嬉しいですね。ソロも今回のリリースに関わる動きをやりきった後に考えていければと」
ポチョムキン「餓鬼レンジャーも何を隠そう、アルバムが仕上がりかけてて。年明けには何かアナウンスが出来ると思います。鶴亀では許されないおフザケが噴出してると思いますね(笑)」

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