INTERVIEW:

鶴亀サウンド (LIBRO & ポチョムキン)

「『大人がやりきってる』ことが大事なんだと思いますね。言葉とか単語単語は簡単だったり、ハタチぐらいの子でも書けると思うけど、そこに強さがあるとしたら、年齢とかキャリアによるものなのかなって」 — LIBRO

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 USの流行をどう取り入れるか、どう誰も発見していないフロウをするか、どうメロディアスなラップをするか、どうクリアに聴こえるラップをするか……「上手いラップ」と一言で言っても、どの観点から評価するか、何を第一にするか、何を好むかでその尺度は大きく変わる。

 その中でもポチョムキンとLIBROの結成した“鶴亀サウンド”は、「日本語をどう聴かせるか」「日本語をどう鳴らすか」という観点においては、非常に高いクオリティの「ラップの上手さ」を提示する。

 もちろん、ふたりのラップがUSのラップの影響を受けていないということではないが、このアルバムから感じる、日本語という言語を駆使し、如何に聴こえの良い、鳴りの良い、響きの良いラップとして聴かせるかという追求は、香具師や大道芸のような大衆伝統芸能が培ったような、瞬時に人の耳を引く強さのある、「日本語のグルーヴ」とも非常に接近しているようにも感じる。

■おふたりは年齢も使いんですね。
ポチョムキン「俺が76年生まれで、LIBROが77年だよね」

■最初に出会われたのはいつだったんですか?
ポチョムキン「98年の6月に、餓鬼レンジャーが『リップ・サービス』をリリースして、同じ年の12月にLIBROが『胎動』をリリースしてるんだけど、どっちもP-VINE制作だったから、アパッチ田中さんのスタジオ:アパッチ・ラボで録ってた縁もあって、そこで会ったんだよね。わりかし、そのスタジオはサロン的な感じになってて、いろんな人がいて」
LIBRO「“サロン”って程、僕らはオシャレな感じではなかったけどね(笑)」
ポチョムキン「そこで会ったんだけど、そんなに(ポチョムキンのことを)覚えてないでしょ」
LIBRO「お互いに、印象はそんなになかったと思う」
ポチョムキン「だから、『思い返せば』って感じだよね。音源は聴いてたんだけど、当然」
LIBRO「俺は、初期は高い声でラップしてたし、このスタイルは俺しかいないだろうと思ってたんだけど、ポチョ君のラップを聴いて、声質が近い人がいるって思ったし、あんまり目立たないでほしいな、って思ってた(笑)」
ポチョムキン「だけど、お互いにコラボしたりもなかったし、ほとんど接点がなかった」

■ライヴ現場も一緒になってないんですか?
ポチョムキン「昔はなかった……よね?」
LIBRO「俺が熊本にライヴで呼ばれたとき、餓鬼レンジャーと一回だけ一緒になったんだけど、そのときはなんでかポチョ君はいなかったんだよね。YOSHI君からは『東京から来たやつにイワせてやる!』みたいな気合いを感じたけど」
ポチョムキン「昔の地方は、東京から来た人間には石を投げるか、エアガンで撃つ時代だから。『それがHIP HOPだろう!』って(笑)」

■間違ったHIP HOP観が(笑)。
LIBRO「というか、俺自体があんまりライヴをやってなかったから、接点の作りようもあんまりなくて」

■おふたりとも、例えばFGやUBGのような著名なクルーに属してたわけではないし、突然変異的な、アウトサイダー的な位置からシーンに登場を遂げたイメージが当時あったので、そういった部分で繋がりがあったのかな?と思ったんですが。
LIBRO「俺は、餓鬼レンジャーはそういうHIP HOPの中心と繋がってるのかなって思ってた。“みんな側”というか」
ポチョムキン「いや、俺たちも高木君が当時感じてたように、アウトサイダーだと思ってたよ。それは半分意図的、半分自然にというか。『そういうスタンスでいてもいいだろう』とも思ってたし、単純に、どこにも馴染めない人たちでもあった(笑)」
LIBRO「でも、餓鬼レンジャーは地方を打ち出してたけど、自分はそういう部分もなかったんで、俺の方が孤立してましたけどね」

■孤立合戦してどうするんですか(笑)。
ポチョムキン「でも、それによって自分たちのスタイルを確立してきたと思うし、結果的に一番良い動き方だったんじゃないかなって。LIBROも餓鬼レンジャーも動きが似てるところもあるなと思って。デビューの時期も近いし、00年付近のラップ・ブームの中でも動きつつ、その後に休止期間があって、2010年代になって復活するタイミングも割と重なってた。だから、『やるぞ!』っていうテンションのタイミングが、お互いに似てるのかもしれない」
LIBRO「この年代になって作品を作るヤツは、本気のヤツしかいないと思うし」
ポチョムキン「中途半端では出来ないよね」

■そのおふたりがユニットを組まれたキッカケは?
ポチョムキン「制作的には、餓鬼レンジャーの“Raindrops (ALBUM version) feat. LIBRO”に参加してもらったのをキッカケに、LIBROもアルバム『風光る』収録の“NEW feat. ポチョムキン”で俺を呼んでくれて。その制作の中でお互いに手応えがあったし、そのままアルバムまで行きますか、行かれますか、という感じで進んでいって」
LIBRO「お互いの作品に呼んだタイミングで、ふわっと『一緒にやれることがあったらやりましょう』みたいな話はしてたと思うんですよ。その流れでこのふたりで1〜2曲作ったら、良いスピード感で出来たんで、この勢いならアルバムまで一気に行けるんじゃないかなって。俺もソロを作り終わって、また別のことをやりたいタイミングだったし、自分のスピードと合う人と一緒にやりたいイメージもあって。それが一番スムーズに出来そうだったのがポチョ君だったんですよね」

■スピード感が大事だったというか。
LIBRO「俺はそうでしたね」
ポチョムキン「やり取りがすごくスムーズに行くし、制作の流れがすごく見えやすかったんですよね。だから、とっとと熱いうちにやろうって」
LIBRO「お互いに動きが速いですよね」
ポチョムキン「嫌がらせのように速かった(笑)」
LIBRO「まず、俺がトラックをいきなり何十曲も送りつけても、こっちが予想してるより速いスピードでリリックやテーマを投げ返してくれて。その意味でも、お互いに刺激し合うって感じがありましたね」
ポチョムキン「『こういう内容で』『こういうコンセプトで』っていうことを細かく説明しなくても、お互いに察することが出来るっていうか」
LIBRO「基本的な部分は、制作の初期に軽く呑んだぐらいでなんとなく掴んで」
ポチョムキン「言わなくても読み取るっていう日本文化がお互い使えるんで(笑)、それでスムーズに出来たのかなって。実際に、一緒にプリプロをやったりはしてないんですよ」
LIBRO「基本的にはメールやデータのやり取りを経て、お互いの手元で作品を固めていって、それをレコーディングの中で最終的にまとめるという」
 
 

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