INTERVIEW:

KEN THE 390「ALL TIME BEST 〜The 10th Anniversary〜」全曲解説

「やっぱり、作品を作ってる瞬間、ライヴしてる瞬間、ラップしてる瞬間は最高に楽しい。面倒なことや大変なことがあっても、その先があるから“苦痛”にならないんだと思う。だから、止めなければいつも笑えるんだと思いますね」

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 ソロ・デビューから10年を迎えた今年、デビュー・アルバム「プロローグ」のリマスター盤(+バンド・セッション曲)のリリースや、4都市での10周年記念ワンマン・ライヴの開催など、アニヴァーサリー・イヤーを駆け抜けているKEN THE 390。その中でも目玉となる「ALL TIME BEST」は、KEN THE 390のこれまでのキャリアを総括するベスト盤であると同時に、その都度都度の流行やフレッシュな人選を取り込み、それを作品として提示することを得意としてきた彼の作風を通して、日本語ラップの10年のいち側面をも感じさせるベスト盤として完成した。今回はそこに収録された全34曲(!)について、彼の口から解説してもらった。
 

DISC 1

01. Turn Up feat. T-Pablow, SKY-HI(新曲)

「今回はベストなんで、新録はやっぱり派手に客演モノでいこうかなと思い、今だったら誰と作るのが面白いか考えたら、やっぱりT-PablowとSKY-HIだな、と」
 
■「そのときの旬の人」を呼ぶことが多いと思うし、それは悪く言えば「チャラく」見えてしまう部分もあると思うんだけど。
「でも、HIP HOPってそういうもんでしょ?HIP HOPはその時々で一番イケてる人が新しい波を起こす音楽だと思うし、そういった人たちが組み合うことが出来るのもHIP HOPの魅力だと思う。それに、自分に力や実績がなかったらこうやってコラボに呼んでも参加してもらえないと思うし。参加してもいいって認めてもらえてるんなら、自分でも新しい土俵を作って、そこで一緒に新しい波を起こしたいんですよね。それでクラシックが生まれたら最高ですよね」
 
 

02. 真っ向勝負 feat. MC☆ニガリ a.k.a 赤い稲妻, KOPERU, CHICO CARLITO, 晋平太

「ニガリもすごくフレッシュなラッパーだと思うし、CHICOも『フリースタイルダンジョン』で知って衝撃を受けて参加してもらって。その世代の先鞭でバトルで名を馳せたKOPERUもそこに混ぜたんだけど、そうすると俺だけ歳上になっちゃうなと思って、同じ世代でバトルをやってるといえば晋平太なのかなって。その意味では、DISC 1はコンセプト的にマイク・リレーだったり、ハードなHIP HOPがテーマで、DISC 2はディスコやポップなHIP HOPで基本、構成しましたね。気分でDISC 1と2を聴き分けられるようにって」
 
 

03. Shock feat. SKY-HI, KREVA, Mummy-D

「この曲のトラックはKREVAさんのスタジオで聴かせてもらって、このリフを聴いたときに『これは絶対マイク・リレー曲だな』って思って。アルバム『#7』は『そのときに出来る集大成』がテーマだったんで、この曲も振り切った人選でやってみようと思って、この三人に声をかけさせてもらいました」
 
■そして、早慶出身者で固められた、学歴が高くないと入れない曲だね。
「嫌な見方だな〜(笑)」
 
 

04. Stay feat. 清水翔太 (DJ KOMORI Remix)

「いまだにライヴでやる機会があるんだけど、そのときはKOMORI君のリミックス・ヴァージョンでやってるんで、今回も原曲じゃなくてこのリミックスを収録しました。リミックス自体、当時の流行の踊れる歌モノっていうテイストがあって、それは今でも通用するなって。ずっと気持ちよく踊れる曲だし、ロング・セットのライヴではほぼ必ずやってますね」
 
 

05. H.I.P feat. Mummy-D, Tiara

■なぜかこの曲のレコーディングに立ち会わせてもらったんだけど、Dさんが作業をする待ち時間に「これやって待ってて」って、Dさんが持ってきた当時入手困難だったWiiをみんなでやってた記憶が。
「やったな〜、Wii(笑)。プロデュースとしてはタロケンの“Grand Closing”をDさんには手がけてもらったんだけど、客演は初めてだったから、スゲェ緊張しましたね。『マ、Mummy-Dだ!』って(笑)。“FANTASTIC WORLD”のプロデュースもそうだし、マボロシのツアーに帯同させてもらったり、Dさんには本当にお世話になってますね。DさんとKREVAさんは、いろんな世界を見させてもらった二大恩人です」
 
 

06. ガッデム!!TOKYO ver. feat. CHERRY BROWN, 晋平太, AKLO

「東京と大阪で『超・ライブへの道』を開催することになって、それと連動して両都市バージョンを同じビートで作ろうっていうのがキッカケで。当時、AKLOもCHERRY BROWNもネットに曲を発表しまくってて、ふたりともスゲェグイグイ来てたから、一緒にやりたいなって。で、この曲で晋平太が『mixi』て言ってるんですけど、AKLOが『晋平太君、mixiって言ってる?』ってウケてて。もうmixiが下火の時期だったし、AKLOはフリー・ダウンロードとかガンガンやってたから、そこにネット・メディアに対する触れ方の違いを感じましたね(笑)」
 
 

07. Chase feat. TAKUMA THE GREAT, FORK, ISH-ONE, サイプレス上野

「DJ WATARAIさんの速いビートでマイク・リレー曲を作りたいなと思ったときに、フック番長みたいな人は誰かいないかなと思って、TAKUMAに声をかけたんですよね。結果、ちょっとそれまでとは違うカラーが生まれて面白かったです。FORK君は、“ガッデム”のときにも声をかけてたんだけど、そのときは『俺はICE BAHNでの客演しかやらない』ってことで断られてたんだけど、このときにオファーしたら『待ってた』って(笑)。上野も含めて、神奈川勢が多い曲になりましたね」
 
 

08. 2階建ての家を買おう

「『よくこんなタイトルの曲を出したな』って自分でも思いますね(笑)。『2階建ての家を買おう』ってフレーズは、実はistの仮歌に入ってたんですよ。彼としては牧歌的な、CMソングみたいな気持ちだったと思うんだけど」
 
■「なんとかハウジング」みたいな。
「そうそう。でも、当然『なんだこれ!』って思うじゃないですか。それで、『このテーマでお金やSWAGなことを書いたら超フレッシュだな』と思って、このリリックを書いたんですよね。それでistに戻したら、カッコ良い感じの歌詞が載ったフックに直されてたんで、『そうじゃなくて!』って(笑)。だから、“事故”が上手い方向に進んだ曲ですね。イオンモールとかで披露すると、一般の、普通に2階建ての家を買ったような人には普通に聴かれて、HIP HOPとしては狂ってるってことが伝わらないのも、ちょっと面白いなって」