INTERVIEW:

ANARCHY


 
■「BLKFLG」というアルバム・タイトルに込めた意味は?
「俺が作ってきた音楽や『ANARCHYはどんなラッパーなんかな?』ってことについて考えてみたんです。いろんな人に意見を訊いたりしたし。そこで出て来た意見が、『ANARCHYは闘い続けてほしい』っていうモノで、俺も『そうやな』と思った。いつかは闘わない音楽も作ってみたいですけど、“闘い”は今の時点の俺にとってはまだテーマになるのかな、って。もう一回、ちゃんと旗を掲げた上で闘いに出るというか。俺にとって、チャレンジしていくということが『闘う』ということなんだと思います。俺に限らず、みんなそうなんじゃないですかね?生きてるだけでも闘ってることだと思うし、いろんな葛藤を抱えながら生きている。そういった感情をラッパーがちゃんと表現して、闘っている人たちの力になったり、自分自身もこういうことを歌うことによって『もっとやれる』って、自分に可能性を見出すことが出来ると思う。どこかで諦めたり、自分の可能性を決めつけてしまうより、もう一回旗をおっ立てたいな、って。具体的に何かと闘うというより、自分自身との闘いですね。今までもそういう意識はあったと思うんですけど、自然にあった感じだったんで、そういうことを考えたことがなかった。『今、やるべきことは何だろう?』と考えた際に自分の活動を振り返ったら、改めて闘う姿勢を打ち出すべきだと思ったんです」
 

 
■今作には、アルバム全曲を使用したショート・ムーヴィーが収録されている。最近ではBEYONCEが同じようなことをやっていたけど、日本のアーティストでは異例なことだよね。
「JAY-Zの『STREETS IS WATCHING』を観て以来、コレは俺の夢だったんです。予算とかいろんな意味でなかなか出来ることじゃないし、作品が良くなければ作ることが出来ないモノですよね。全部推し曲の気持ちになれるようなアルバムが出来ていないと、こういうことは出来なかったと思う。MVが繋がってるというより、ムーヴィーなんで全曲がストーリーに沿って繋がっていて、曲と曲の間には演技もしてる。最後まで一本の映画になっているような大作なんです。もちろん、制作当初からこういうことが出来たらいいな、とは思ってたし、途中から意識はしてたけど、全曲繋げられるとは流石に思ってなかったですね。監督に相談したら、『じゃあ全曲使ってやってみたい』って言ってくれて、台本を見せてもらったら本当に全曲が繋がってて、『やっとこういうことが出来るときが来た!このアルバムだと出来る!』って思いましたね」
 
■今回は、YENTOWNのプロデューサー:CHAKI ZULU氏が制作に関わっているとのことだけど。
「彼には、サウンド面の監修とレコーディング・ディレクターをお願いしました。元々、俺は家で黙々とリリックを書くタイプなんですけど、彼から『こういうラップを載っけてみたら?』みたいなアドヴァイスはよくもらいました。今まで、そういう風に意見を訊いたことがなかった。彼のスタジオに行って、トラックを聴かせてもらって、話し合いながら『あ、こういうラップの載せ方があるな。面白いな』って思いながら作れたし、だからこそ自分だけでは生まれへんかったモノも、今作では生まれたと思う。そういう意味で、今作は自分でも『面白い!』と思える曲が多いんです。その制作プロセスは、今回は意図的にやってみたんですよね。一番最初にCHAKIが送ってくれたのが“TOMODACHI”という曲だったんですけど、その時点では彼のことをあまり知らなかった。で、聴いたら面白かったので、彼のスタジオに行ったんですけど、そのときに『この人とやったら面白いモンが出来るかも』と思ったんです。彼の話/意見は面白かったし、こういう人と作ったら、俺の中でまだ眠ってる音楽性を引き出してくれるんじゃないか?って。彼は、元々HIP HOPだけやるっていう人ではないけど、音楽家として才能がある人だと思ったし、こういう人と組めば、今までになかったモノが出来るかも、っていう直感でした」
 
■CHAKI ZULU氏はANARCHY君から見てどんな人?
「メッチャ変なヤツ(笑)。でも、天才やと思う。彼とは遊びの延長で出会ったんですけど、自分の周りにいる若い子たちにトラックを提供していて、その中で俺が好きな曲があったし、それで興味を持ってトラックをもらうところから始まった。俺と一緒に仕事をすることが決まってからは、一緒にご飯食べに行ったり遊びに行ったし、一緒にスタジオに入ってプリプロからレコーディングまで、全ての作業を一緒にやってくれた。遊びから仕事まで、良い関係で出来る人でしたね。ただスタジオに入って『はい、やりましょう』みたいな仕事だけの関係じゃなく、生活の中までちゃんと入ってきてくれるプロデューサーでした。ノリも合うし、彼が合わせてくれた部分もあると思う。CHAKI自身、『一緒に作るなら、もっとANARCHYのことを知りたいし、もっと一緒に遊びたい』って言ってくれたから、一年間ミッチリ一緒にいた。クラブで遊んでる途中に、耳に入った音楽にインスパイアされて、音楽作りにスタジオに戻ったりもしましたね。遊びから仕事まで、ずっと音楽について考えさせてくれる人でもあったし、そういう人じゃなかったら、ここまでガッツリ関わってもらうことは出来なかったと思います」
 
■彼から言われたことで、ハッとさせられたことはある?
「『ANARCHYがラップ上手いことは分かってる。だけど、自分が一番伝えたいことをちゃんと伝えられるような曲を作れば、もっと良くなると思う』って言われて。極端に言えば、例えばダラダラと色々書いて最後に『ありがとう』と書くより、紙一枚に一言『ありがとう』と書いてある方が分かりやすいじゃないですか。そういうことをこの人は言ってるのかな?って。だから、今作ではひとつのメッセージをこれまで以上に一曲の中に詰められた気がします。その曲で歌っているテーマを明確にしつつ、シンプルにしていった。よくよく考えたら、自分は別に『ラップが上手い』って言われたいワケじゃないな、って思ったんですよ。もちろん、そう言われたら嬉しいですけどね。でも、それよりもメッセージが大事やし、人にちゃんと届くモノを作りたい。だから、色々詰め込みすぎたリリックも何回か書いたけど、そういうのは全部ゴミ箱に捨てられてボツにされましたね(笑)。でも、そういうことも嬉しかった。みんな、基本的にそういうダメ出しって言いにくいモノじゃないですか」
 
 

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