INTERVIEW:

ANARCHY

「生きてるだけでも闘ってることだと思うし、いろんな葛藤を抱えながら生きている。そういった感情をラッパーがちゃんと表現して、闘っている人たちの力になったり、自分自身もこういうことを歌うことによって『もっとやれる』って、自分に可能性を見出すことが出来ると思う。どこかで諦めたり、自分の可能性を決めつけてしまうより、もう一回旗をおっ立てたいな、って。『今、やるべきことは何だろう?』と考えた際に自分の活動を振り返ったら、改めて闘う姿勢を打ち出すべきだと思ったんです」

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あいつは変っちゃった
昔は良かったとか簡単に言う奴
自分で人生変えるしかない
何がなんでも成り上がるしかないから

(“SO WHAT?”)

 
 ANARCHYの作品を初期から聴いているリスナーにとって、メジャー・デビュー以降の彼の楽曲は、表面的にはドラスティックに変化したと感じたリスナーも多いかもしれない。だが、表面的な音楽性やラップの変化は、現行のアーティストとして活動していく以上、避けることは出来ないモノだし、HIP HOPとして最も重要なのは“芯”がどのような状態であるか、な筈だ。
 
 そういう意味では、彼の最新作「BLKFLG」は、舞台が時を経て変わってきたとしても彼の“芯”がブレていないことを確かめることが出来る、重要な一枚となっている。その“芯”とは、成功への渇望でありラップ・スターとして前人未到且つ唯一無二の存在に成り上がることだ。そういった“芯”から溢れ出て来る彼のモティヴェーションや直球なエモーションの発露は、彼の1stアルバム「ROB THE WORLD」を彷彿とさせる(もちろん、音楽性は「DGKA」「NEW YANKEE」以降のモノであるため、大きく異るが)。ライヴDVDやショート・ムーヴィーなどが付属した、彼のディスコグラフィ史上最も豪華な体裁ではあるが、核にある彼の変わらぬ熱量の高さにも是非注目して頂きたい作品だ。
 
 
■前作からちょうど2年経ってのニュー・アルバム・リリースだね。
「これだけリリースが空いたというのは、最近はあまりなかったんですけど、結果的にこれだけ空いてよかったな、って。前作『NEW YANKEE』一枚で2年間もたせることが出来たというのもありますね。ライヴもたくさん回れたし、映画『TOKYO TRIBE』やドラマ『HIGH & LOW』にも出させてもらったので、充実した2年間でした。アルバム制作に関しても、この一年間フルでみっちり作ってて、そういうことも過去にしたことがなかったんですけど、音楽にちゃんと向き合えた一年やったと思います」
 
■2年間、リリースがなかったことに対する焦りみたいなモノはなかった?制作欲は常にある筈だから、新しいアイディアを早く発表したいという焦り。
「制作はやってたから、焦りはなかったですね。早く作品を出してアクションを見せたいな、っていうウズウズ感はありましたけどね。音楽制作に関する欲求は、思いついたことはすぐ実行していたんですよね」
 
■ここ2年間を振り返ると、Zeebra主催フェス『SUMMER BOMB』でトリを務めたり、PKCZのイヴェントに出演したり、大規模でのライヴも多かったよね。これまではクラブでライヴをすることが多かったと思うので、そういう意味では違う現場を体感したとも言えると思うけど。
「どっちが良いっていうワケではないんですよね。クラブでのライヴにはクラブの楽しさがあるし、ホール・クラスの大規模な会場にはそこならではな楽しさがある。大会場の良いところは、1〜2万人ぐらいの観客に俺のラップを伝えられるという快感。それは、音楽をやってる人ならみんな同感だと思うんですけど、奥が見えないぐらい広い会場で歌うのはやっぱり気持ち良いモンやし、そういった経験は楽しかった。自分でもこれぐらいの規模のライヴをもっとやりたいな、って気にもなれました。『SUMMER BOMB』でトリをやらせてもらったのは感慨深かったですね。いつも若手のつもりでやってきたから、いつの間にかそういうポジションを任せられるようになったというか。『HIP HOPのこんな大きなフェスで、自分がトリをやるのか……』という感慨深さがありました。それまでそんな自覚はなかったので」
 
■そういった立場になったことを認識したことで、これまでは感じていなかったような責任感のようなモノは生まれた?
「それは生まれてるかもしれないです。例えばメジャーで活動するようになって、関わってくれるスタッフが増えたときも感じたんですけど、『頑張らなアカンな』という気持ちは、以前より増してると思います。『俺だけの問題じゃねぇな』みたいな。あと、『SUMMER BOMB』でトリをやらせてもらったりして、『これからのHIP HOPは、俺にも懸かってるんやな』って思えるようになったし、俺の活動次第で若いヤツらがもっと良い状況で活躍できるようになるかもしれない。そういう状況を作るためにも、俺がやらなアカンことはたくさんあるな、っていう気持ちになってます」
 
■以前、今作の制作について「これだけ長い期間に渡って制作をしたことがなかった。どこかで『次、何をしようか』と考えていた」と語っていたね。
「俺の中には、まだまだ引き出せる“色”があると思うし、今まで俺が出してきた“色”を、どのようにしたらより鮮明に見せられるかという意味で、模索してましたね。活動初期の頃は、表現したいことがあり余っているけど、活動していく内にそれが枯れてしまうという人もいるかもしれない。だけど、俺はそうじゃなくて、むしろやりたいことが増えていってるんです。キャリアを重ねていくと、今まで表現出来ひんかったことが出来るようになったり、今まで歌えなかったことが歌えるようになったりする。階段を上がり続ければその景色がずっと変わっていくように、歌えることも増えていくと思う。だから、ゴールに辿り着かない限りは、やりたいことが減ることはないと思うんですよね。だけど、それが何かを探すための作業は常に必要だし、考えてましたけどね」
 

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