INTERVIEW:

TOKYO HEALTH CLUB

「僕らみたいなスタンスでも、それを“B・ボーイ”って言ってくれるなら、それも新しい“B・ボーイ像”でいいんじゃないですか?って。そう思いますね」 — JYAJIE

thc_main
 
 これは自戒も込めて書くが、一昨年、昨年のAmebreak年末座談会においてTOKYO HEALTH CLUB(以下THC)について言及しているが、例えば昨年は「Y.I.MやTOKYO HEALTH CLUB、ENJOY MUSIC CLUBのような、いわゆる『HIP HOPとはこうであるべき』論の埒外にある存在が面白かった」と書いている。どのグループもそれぞれ素晴らしい才能を持っているので、この並べ方に他意はないし、ここで言いたいのは「べき論」から自由であることの興味深さだったのだが、どうしてもこういったパッケージをすると、いわゆる“サブカル”“ユルい”といったイメージで捉えられがちだ。
 
 “サブカル”“ユルい”が悪いことではまったくないし、そういった表現の面白さも確実にあるのだが、ことTHCに関しては“ユルい”と表現されることにはやや違和感があった。確かに、彼らからは「我々はHIP HOPである」というイズムや「べき論」は作品からは感じにくいし、それを打ち出してもいない。しかし、ラップの巧みさやビート構成の丁寧さからは、しっかりとHIP HOPならではの構造性を感じさせるし、実は非常にHIP HOPとして王道なアプローチを展開している。
 
 彼らに最初に会ったときのことを思い出すと、酔眼朦朧としながらも「聴いてると非常に落ち着く」と話した記憶がある。よくよく考えれば、そういった王道性や安定性のような部分を彼らの作品から感じていたのかなとも思うし、その感覚は新作となる「VIBRATION」からも感じることが出来る。しかし、彼らの方法論は、決して過去をオマージュするようなモノではない。その意味では、王道の方法論を基にしながら、THCのオリジナリティを提示する「VIBRATION」。これがHIP HOPでなかったらなんとする!
 
 
■どのインタビューでも山程訊かれてることとは思いますが、まずは結成の経緯からお伺い出来ればと。
SIKK-O「メンバー全員、多摩美術大学の同級生なんですけど、2008〜09年ぐらいに、YouTubeで日本語ラップやフリースタイルに出会ってからラップに興味を持って。今、『フリースタイルダンジョン』を観てる中高生と同じような感覚で、フリースタイルのゲーム性だったり、ラップの言葉遊びみたいな部分が面白かったんですよね。だから、カルチャーとかストリート性、イズムではなくて、“ラップ”自体が面白かったから、自分でもやってみたいなって。それで、TSUBAMEに「実は……HIP HOPに興味があるんだけど」って伝えて(笑)。TSUBAMEはリリース経験を持ってる人間だったんで」
TSUBAME「僕はMYSSっていうグループで、DEXPISTOLSのレーベル:ROC TRAXからリリースをしてて」
 
■HIP HOP界隈だと、環ROYの“フリーケンシー (MYSS Remix)”を手がけてますよね。
TSUBAME「そうですね。基本的にはテクノ界隈にいたんで、ほとんどHIP HOP界隈とは関わりがなかったんですけど、SIKK-Oが『ラップやりたいからトラック作って』って。当然、最初は断りましたよ。『なんで素人にいきなりトラック作らなアカンねん』って(笑)」
SIKK-O「だけど、友達の家で宅呑みしてるときに、TSUBAMEにGarageBandでトラックを作ってもらって、その場で一曲作ってみたんですよ。そしたら、それが意外に良かったんで、『もうちょっとやってみる?』っていう(笑)。それが2010年ぐらいですね。もうみんな大学は卒業してたんですけど」
 
■その意味では、SIKK-O君とTSUBAME君から始まったTHCに、JYAJIE君とDULLBOY君が加入した経緯は?
JYAJIE「僕は、元々リスナーとしてHIP HOPを聴いてたし、DJもやったりしてたんですよね。プラス、バンドでもベースを弾いてて」
TSUBAME「JYAJIEがHIP HOPを聴いてたことも知ってたし、僕とSIKK-Oがふたりきりだと、そんなに話すこともなくて」
SIKK-O「若干気まずかったんで(笑)」
TSUBAME「バランサーが欲しいなと思って(笑)、JYAJIEを誘ったんですよ」
JYAJIE「潤滑油代わりですよ。それで1MC+1DJ+ベースって形でやってたんですけど、謎の編成すぎてお客さんにも受け入れられず(笑)。その構成で『サマースティルヤングボーイ E.P.』とかを作って、OMAKE CLUBのウェブサイトにフリー・ダウンロードでアップしてて。そうやって制作していく中で、『フィーチャリングが欲しいな』ってことでDULLBOYを誘ったんですよね」
SIKK-O「やっぱりEPの4曲目に来るのは、客演曲じゃないですか」
 
■で、5曲目はリミックス、みたいな(笑)。
SIKK-O「そうそう(笑)。そういう『いわゆるフォーマット』をやってみたかったんですよね」
TSUBAME「だから、言ったら“あるある”がスタートなんですよ、THCは。SIKK-Oの『もしもラップ・グループを作ったら』っていう“あるある”に付き合って、今に至る感じで(笑)」
SIKK-O「でも、その“あるある”がDULLBOYからMACKA-CHINさんまで届いたからね。ステップ・アップ感半端ない(笑)」
 
■DULLBOY君の加入経緯は?
DULLBOY「僕と、THCの“ASA”のMVを撮ってるタカハシケンゴってヤツはスチャダラパーとかを聴いてたんですよね。その話を聞きつけて、SIKK-Oからふたりに『来週までにラップ考えといて』っていう指令があって。ラップ経験どころか音楽経験ゼロなのに(笑)。しかも、レコーディングの当日にケンゴは逃げてて」
TSUBAME「『俺はちょっとやれんわ』という電話だけを残して(笑)」
DULLBOY「それで、俺だけ宅録で客演を録ったのがキッカケですね」
SIKK-O「初めてにしては上手かったんですよね。それで『イケるじゃん』って。そうやって上から言ってる僕は、まだ3曲しか作ったことがなかったんだけど(笑)」
JYAJIE「先輩素人が更に初心者素人を褒めるっていう(笑)」
 
■一ヶ月先に入ったバイトの先輩みたいな。
TSUBAME「ホントそんな感じで。『ちょっとそこの韻甘い』とか言ってたもんね(笑)」
SIKK-O「それでDULLBOYが加入して、JYAJIEもラップすることになり、3MC体制になったんですよね」
JYAJIE「見た目的にも3MCだとBEASTIE BOYSっぽいし、って(笑)」
 
 

To Page topTo Page top