INTERVIEW:

十影

「アルバムが“神様”だとすると、ミックスCDは“悪魔”。アルバムでは真面目なことを歌ってる曲も多いけど、ミックスCDではフザケて悪態をついたりもする。俺のフザけた部分が好きな人は、ミックスCDの方が楽しめるかもしれないですね」

tokage_main

 昨年、THE FOREFRONT RECORDSから「ネ申物語」をリリースし、その強烈なキャラと、キャラに反して「意外と良いことも言う」(失礼)ラップが大きな反響を呼んだ十影。全国ツアーも終わらせ、先日バラエティ番組にも出演し大きなバズを起こすなど、ノリノリな彼が次に仕掛けてきたのは、2年振りとなるオフィシャル・ミックスCD「THE LIZARDMAN SHOW 2 mixed by DJ KEN WATANABE」だ。
 
 彼のアルバムだけでなく、YouTubeにアップされているMVなどもチェックしている方なら承知の通り、ナンセンスな楽曲や下ネタ度強めなビートジャック曲なども、十影の魅力を考える上では絶対に外せない要素であることは明らかだが、今回のミックスも、彼らしい悪ふざけ全開のくだらない楽曲が大部分であり、そういう意味ではなかなか体力を要求される(腹筋が辛くなる)一枚である(笑)。
 

 
■昨年「ネ申物語」をリリースし、十影君のキャリアの中でも最も大きな注目を集めた作品になったと思うんだけど。
「アルバムを出したことで、いろんなところでライヴが出来ましたね。40箇所行ったんですよ。3月まで9ヶ月間もツアーやってて、俺も『まだやってたんかい!』って思ったぐらいで。昔は、地方回っても盛り上がらないライヴとかあったりしましたけど、最近は良い感じで空気を吹き込むことが出来るようになって、自分もライヴが上手くなったのかもしれないし、地方でも自分を受け入れてくれる環境が整ってきたのかな、って。アルバムに関しては、“アシダマナダヨ”が話題になったのはよかったですね。『有名なヤツを客演/プロデュースで入れないでヒット曲を作りたい』というのが、去年の目標のひとつだったんです。これぐらいのキャリアになってくると、頼めばどんな人でもフィーチャリングお願いできるけど、そういうのはナシで、ひとりでヒット・ソングを作りたいな、って。そこに関してはあの曲でクリアできたかな、って思います」
 
■ちなみに、モテ的には?
「イヤイヤイヤ、いつもモテてるから大丈夫っす、フハハハ」
 
■彼女さんのinstagramも拝見したけど、ディズニーシー行ってたね。
「そういうことはオープンな姿勢なんで(笑)」
 
■意外とスイートな一面を垣間見せたりしてるし。
「彼女がいないときはポコチンなんですけど、彼女がいると一筋なんで(笑)」
 
■今作も程々に下ネタが織り込まれているけど、その辺は大丈夫なの?
「アレは、(レーベルに)やらされてるんです(笑)」
 
■あと、最近の活動で話題なモノだと、TV番組『ヨッ!あんたが大賞!』(TBS)に出演したことだよね。
「『コワモテラッパーのイメージを改善しよう』みたいな企画で、TBSの人がYouTube観てて最初に目に付いたのが俺だったっぽいんです。『コイツ、顔メッチャ怖いけど、テレビ的なことやってくれるんじゃないか……?』って、最初はソロで俺にオファーが来て、そこから『キャラが面白い人』『フリースタイル出来る人』『トッポイけどリリカルで感動的な曲も出来るヤツ』『コワモテだけど、見えるトコに刺青が入ってない人』があと数人欲しいってことで、YOUNG HASTLE/輪入道/T2Kをチョイスして、それでチームを組んで行ったんです。ロケだったっていうのもあって、結構自由に出来たっすね。ある程度のことはコチラに任せてくれたし。商店街のシーンとかは、楽曲も聴かせられたじゃないですか。今って、HIP HOPがブームっていうより『ラップがブーム』って感じだと思ってて。フリースタイルとか、ラップを面白おかしく、みたいな。そういう要素もありつつ、ラッパーの楽曲制作能力もMVを通して観せた上で、『ラッパーは意外と面白い』ってことをトータルで見せることが出来たかな、って。15分ぐらいの尺でしたけど、全部詰めることが出来てよかったと思います。反響も凄いですね。やっぱテレビ、スゲェな、って」
  
■ちなみに、あの番組には、本作「THE LIZARDMAN SHOW 2」でミックスを担当しているDJ KEN WATANABE君も出演していたけど……僕が拝見した限り……彼が番組内で何をやっていたのかがイマイチ最後まで掴めなくて……。
「(笑)彼の立ち位置は、『HIP HOPの人ってラジカセ持ってたり、ジャラジャラ首からぶら下げてたり〜』っていうところで。彼は、本当は“金歯要員”だったんですよ。老人ホームに行って、銀歯のお婆ちゃんと並んで金歯を見せてほしいという要望があったから、『じゃあ、ナベケン呼ぶかー』って呼んだはいいものの、銀歯のお婆ちゃんがいなかったという(笑)」
 
■最近の高齢者は歯のケアに対する意識が高い、と……。
「それで、金歯を見せることなく終わる、っていう。アイツも色々喋ってたんですけど、使われてたのは全体の一割ぐらいだったんで」
 
■「THE LIZARDMAN SHOW」は、今作が第二弾となるわけだけど、このミックスCDシリーズのコンセプトは?
「他人のマワシで横綱相撲を取ること(笑)。他人の曲のビートジャックでクリアランス取ったりとか、人様が呼んでくれた客演曲を使わせてもらったりっていうのが半分ぐらいなんで。ほとんどがフィーチャリング曲ですね。ひとりで演ってる曲はほとんどない。アルバムが“神様”だとすると、ミックスCDは“悪魔”。アルバムでは真面目なことを歌ってる曲も多いけど、ミックスCDではフザケて悪態をついたりもする。そんな感じで、一年おきにアルバム→ミックスCD→アルバムって感じで、交互に出していきたいんですよね。アルバムは、HIP HOPにおける自分の集大成を見せるモノだけど、ミックスはやりたい放題できるし、俺のフザけた部分が好きな人は、ミックスCDの方が楽しめるかもしれないですね」
 
■十影君のアーティスト性を考えると、こういう企画は重要なモノ?
「重要な部分ですね。俺、ハッキリ言ってリミックス/ビートジャック作るの、上手いんですよ。日本語ラップ界で、リミックスを作らせたら五本の指に入るんじゃねぇか、ってぐらい。そういうことって、オフィシャルなアルバムだと出来ないじゃないですか。そういう部分を披露する場でもある。前作は、KOHHとかYOUNG HASTLEの曲をビートジャックしましたけど、今回は主にY’SとKOWICHIの楽曲をレイプした感じですね。ミックスを作ってるときに、ちょうど彼らの曲が話題になってたんで」
 
■前作もDJ KEN WATANABE君がミックスを担当していたけど、彼をパートナーに起用している理由は?
「ちょっと“数字”が欲しいというか(笑)。売り上げにせよ何にせよ、取り敢えず話題は欲しいけど、日本のDJで自分名義の楽曲を出してたり、ラッパーと密接にリンクしてる人って、最近はあまりいないじゃないですか?DJ TY-KOH君やDJ SPACEKID君とかはいるけど。普通に活動しているDJじゃなくて、自分名義の楽曲も出してるDJと一緒にやりたかったんですよね。昔って凄かったじゃないですか?DJ MASTERKEYとかDJ TONKとか」
 
■DJ TONK!そこが出て来るか(笑)。
「TONKさんがラッパ我リヤとやってた曲とか超好きでしたよ(笑)。昔って、DJが作ってたCDって超売れてましたよね。MASTERKEYさんの『DADDY’S HOUSE』シリーズとか。そういう部分も昔に戻したいというか」
 
■KEN WATANABE君がどんな人なのかを、十影君から説明してもらいたいんだけど。
「ああ、つまらないヤツですよ。“スベリ台”ですね。UstreamとかTVでも、大して気の利いたことが言えない(笑)。地方に行くときの新幹線で俺がじゃがりこ食ってると、『ちょうだい』って言って半分ぐらい食うんですけど、アイツが持ってたとんがりコーンを俺が一粒食べただけでメッチャ怒ってました。『それ、俺の昼メシなんだから!』って。だから、彼と新幹線乗るときは、じゃがりこを二個買うことにしてます。まあ、でもすごい真面目なヤツですね。仕事はちゃんとやるし、期日も守る。自分でもアイディアを超出してくるから、そういうところはいいですね」
 
■やっぱりミックスCDの方が、アルバムに比べたらサクサク出来ていくモノ?
「スゲェ出来ていくっすよ。超遊びながら作っていきましたし。レコーディングも、自分の録りに関しては1日で10曲ぐらい終わりましたしね。レコーディング初日に自分のヴァースを録って、二日目にフィーチャリングを録って、三日目にミックスして終わるっていう」
 

To Page topTo Page top