INTERVIEW:

「プロローグ」10周年記念座談会 feat. KEN THE 390/DARTHREIDER/ALI-KICK

「『プロローグ』に収録されてる“プロローグ”や“Back in the Days Part.2”とかを、最近改めてライヴでやってるんですけど、そこで歌ってた気持ちは、今もあまり変わらないなって思います。作ったときは、色んな経験を経てここから第一歩って気持ちだったけど、それから10年の中で、自分でレーベルを立ち上げたり、自分の活動も軌道に乗ったり、HIP HOP自体もまた注目されたり……っていう流れの中で、今もまた、改めてもう一歩踏み出すタイミングなんだなって思ったりするんですよね」 -- KEN THE 390

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 KEN THE 390が2006年に制作したデビュー・ソロ・アルバム「プロローグ」が、発売から10年の時を経て「プロローグ 〜10th Anniversary Edition〜」としてリリースされた。今回は、オリジナル版にリマスターを施し、同時に“LOVE”“Back in the Days Part.2”“プロローグ”の3曲を、バンドとのセッション新録として収録。当時のKEN THE 390と、現在のKEN THE 390の両面を知ることが出来るアルバムとして完成した。
 
 今回は、「プロローグ」リリース当時の所属レーベルであるDa.Me.RecordsのヘッドであったDARTHREIDERと、同作のトータル・プロデュースを手がけたALI-KICK(ROMANCREW)を迎え、今作の制作経緯と共に、当時のHIP HOPシーンの空気感やダメレコ/ROMANCREWを取り巻いていた環境など、音楽的な世相を含めて鼎談して頂いた。
 
 
DARTHREIDER「昨日は嫁とIKEAに行ってきて」
 
■なんの話ですか、いきなり。
DARTHREIDER「10年も経つと休日に家族と買い物に出かけるようになるって話ですよ」
 
■確かに、DARTHREIDERもALI-KICKも結婚し、独身を守っているのはKEN THE 390という10年後ですね。
KEN THE 390「そんな(座談会の)入口すか(笑)?『プロローグ』のリリース当時、俺が24歳で、レイさんは28歳ですよね。その歳でレイさんはDa.Me.Recordsを立ち上げて、自分以外のアーティストも抱えてリリースを展開してたのは凄いですよね。自分でレーベル設立してから、改めてそれを感じるんですよ」
DARTHREIDER「当時インディで、あの勢いでやってたのはダメレコだけだと思うね。だから、もうちょい評価してくれてもいいのではないか、と。起業系のセミナーの講師の話とかくれないかな(笑)」
KEN THE 390「『1,000円でCDアルバムは出さない方がいいです』とか(笑)?」
DARTHREIDER「経営者としてはダメだったから、反面教師としてね(笑)。
KEN THE 390「当時のダメレコは、1,000円でアルバムを発売して、しかも毎月リリースとかやってましたよね。あと、『月刊RAP』とか」
DARTHREIDER「誰にも頼まれてないのに、自分たちで忙しくしてたね。2006年はDMR『とぐろ』から始まって、COMA-CHI『DAY BEFORE BLUE』、KEN THE 390『プロローグ』、EI-ONE&はなび『三日間』、TARO SOUL『SOUL SPIT』、DARTHREIDER 『CHANGE YOUR WORLD』ってリリースだったんだよね。それに続いてTARO SOUL & KEN THE 390『FLYING SOUND TRACK』や、環ROYの『少年モンスター』もあったり」
KEN THE 390「『月刊RAP』はそれに平行してのリリースでしたよね」
DARTHREIDER「ハッキリ言ってクレイジーだね。そりゃ俺もその後、体調崩しますよ(笑)」
KEN THE 390「年間スケジュールとかも立ててましたよね」
ALI-KICK「めちゃめちゃ好調っぽいね」
DARTHREIDER「でも、よく話すんだけど、2004年に『りんごのりんご』(KEN THE 390/EI-ONE/はなびによるユニット:りんごのアルバム)を出したときのイニシャル(最初のオーダー数)は、98枚だったからね」
 
■100枚行かなかったんだ!
DARTHREIDER「1,000枚単位でプレスするから、オーダーから残った902枚がウチに届いたときの絶望感(笑)。でも、それが最終的には3,000枚まで辿り着いて。その後の太郎&KEN THE 390『JAAAM!!!』ぐらいから売上が伸びていって、そのうち毎回タワレコのチャートで1位を取るようになるんだけどね」
KEN THE 390「1,000円で買いやすかったし」
DARTHREIDER「大和民族でも1位取ってたもん。『でも』ってことはないけど(笑)」
ALI-KICK「やっぱり、1,000円ってのはインパクトがあったけど、同時に『これで成り立つのかな?』とも思ってて」
KEN THE 390「新録で、ブックレット付けて1,000円は無理ですよ。普通に」
DARTHREIDER「単純に計算が出来なかったんだと思う(笑)。でも、当時は『これで行ける!』って気持ちでやってたね。BLACK SWANを立ち上げた故・佐藤将さんが当時P-VINEにいたんだけど、『俺も1,000円シリーズに対抗する!そしてもっと上手くやる!』って、1,000円企画を立てたんだけど、1週間後に連絡がかかってきて、『あれ、どうやってんの?』って」
ALI-KICK「手品だ(笑)」
DARTHREIDER「『どう計算しても会社を納得させる数字が出ない』って(笑)。そういう手法も含めて、ダメレコは当時、結構毀誉褒貶があったけど、Zeebraさんは当時ダメレコに注目してたって言ってたし、RYUZOも『レーベル運営の話がしたい』って、当時連絡をくれたり。そういうインパクトは与えられと思うんだよね」
KEN THE 390「結果として3人もメジャーに送り込んだわけだし、この進出率はOYWMぐらいですよ。色が違い過ぎて誰も比較しないけど(笑)」
DARTHREIDER「ケンのメジャー期にはA&R的な立場で関わらせてもらったけど、TARO SOULやCOMA-CHIに関しては送り出すだけで、利権的なモノは求めなかったからね。そこがダメレコをビジネスとして捉えてなかったってことの証左なのかなって」
KEN THE 390「発掘印税的なモノはもらうのが普通ですよね」
DARTHREIDER「そういうのを考えなかったし、それ故のピュアネスによって勢いが生まれたと思う」
 
 

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