INTERVIEW:

SKY-HI(後編:「カタルシス」全曲解説)

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【前編はコチラ
 
 

01.“フリージア〜Prologue〜”(Pro. by SHIMI)

■まず、このアルバムは基本的に、作品の根本のメッセージを言葉の裏側に隠していると思うけど、この曲では「愛の無い時代」という非常に明確なテーマを歌詞として表出させてるよね。
「メロの展開や音のミックスでも、その部分の声を浮かび上がらせるようにしていて。それは、このテーマと言葉をアルバム全体に通底させたかったから。このメッセージはどの曲にも通じるし、この言葉をリスナーが認識してくれたまま“アイリスライト”まで辿り着かせて、その上で“カミツレベルベット”から同じ『愛の無い時代』というフレーズの登場する“フリージア〜Epilogue〜”まで到達しないと、アルバム全体のコンセプトが分かりづらくなっちゃうと思ったんですよね。だから、その部分だけはこうやって明確にしようと思って。インタビュー前編でも語った通り、全体を俯瞰する内容だから、その部分としてもこの言葉を明確にすることは必要だったと思います。あと、全ラインがこのアルバムの伏線になってますね。色の話とか、天気とか。例えば、この曲は曇り空で始まって、“スマイルドロップ”で『通り雨』が降るんですけど、そういうアルバム全体での時間軸も意識してます。MV含めて、アルバム全体でひとつの作品であるために」
 
 
 

02.“Ms.Liberty”(Pro. by FIREHORNS, DJ WATARAI)


■曲調やラップはすごく軽やかなんだけど、内容は『自由を求める』という、渇望を感じさせる部分が強いよね。
「大体いつもこんな感じなんですよ(笑)」
 
■それも暗いな(笑)。
「自由って、求めてるときは結局自由じゃないってことですよね」
 
■求めるってことは欠乏してるってことだからね。
「追いかければ追いかけるほど遠のくかもしれないけど、でも『追いかけることにも高揚感があるよな』ってことを表現してるのが“Ms.Liberty”で。『高級車にブランドのバッグなんかじゃ君は気にも留めない』って言ってるんですけど、『物質的な欲求』と『自由』って、やはり相反するものだと思うんですよね」
 
■落語の『水屋の富』じゃないけど、「所有する」ことで欲求は満たされるかもしれないけど、その分“制約”は増えるよね。
「そういう部分も表現できればなって」
 
■SKY-HI君は自信に溢れることも言うと同時に、こういう孤独感や「満たされない思い」みたいな部分がモチーフになる場合が、これまでも多かったよね。
「『自分は音楽シーンのトップに立てる存在である』っていう自信と自負はあるんですよ。だけど、そこに立つまでの難しさだったり、そういうトップ・チームと比べたら現状は負けているっていう認識も、やっぱりあるんですよね。“自信満々”っていうスタンスはあるんだけど、そこに届いてないっていうことも痛烈に感じてるから、こういう孤独さだったりフラストレーションが出るのかなって。僕は『分かる人だけ分かればいい』っていうゲームはやってないし、ずっと『自分はどう戦うべきか』を考えてるから、その意味でも『理想を追いかける孤独』っていうのは、メンタリティとしてあると思いますね」
 
 
 

03.“スマイルドロップ”(Pro. by UTA)

 
「『笑顔の理由が零れ落ちる』っていうのと、『笑みが溢れる』っていうことのダブル・ミーニングになっていて。前編でも話したように、この曲でキッカケが出来たことで次のステップに進めたし、作品としても、このアルバムの物語を紡ぐための入り口になってくれる曲ですね」
 
■アルバムを通して“フリージア”“カミツレ”“アイリス”と、花の名前が多いよね。今回のジャケットでもドライ・フラワーを持ってるし、この曲も当初のタイトルは“カラスウリ”だったと、以前のインタビューで話してたけど。
「カラスウリの花言葉は“誠実”なんですけど、そこからのインスピレーションです。だけど、スタッフとの協議で『流石に“カラスウリ”はダサい』ってことで“スマイルドロップ”になって(笑)花は“生死”のメタファーとして分かりやすいと思ったんです。一番分かりやすいのは、咲いて枯れるってことですよね。それから、野に咲く花もあれば人間に育てられないと咲かない花もあるし、ひとつの花を育てるために他の花は刈られたりする場合もある。しかも、勝手に花言葉を付けられたり、わざわざ枯らせて愛でるドライ・フラワーなんて、人間のエゴの象徴みたいなこともされて。でも、そういう風に、永遠の命を欲しがる人もいますよね」
 
■一方で、桜のようにパッと咲いてパッと散るのが美しいという価値観もあるよね。
「そういう生と死のメタファーとして、花というのは、象徴するものが大きいし、分かりやすいなって。それで、花が今作の表現の中には多く入ってきたと思います」
 
 
 

04.“Count Down”(Pro. by BROKEN HAZE)

■非常に直接的にフラストレーションを表わしてる部分が強いし、同時に「価値は自分で考えるしかない」ということを表わした曲だよね。
「“スマイルドロップ”から“Luce”に繋げてしまうと、メッセージとしてちゃんと表現できなさそうだと思って、“Luce”のメッセージをしっかり伝えるために必要だった曲ですね。だから、“Ms.Liberty”“スマイルドロップ”“Count Down”まで入れて、やっと“Luce”に進めたと思います。生きることは失い続けることでもあると思うんですが、このアルバムの前半ではとことんその喪失感やもどかしさを歌ってますね。ただ、”Ms.Liberty”で話したように、届かないことや失うことをただネガティヴなことだとも捉えてないから、サウンドは暗いものだけじゃなくて振れ幅広くアトラクティヴに持ちたかったというか。そして、それを通過して、どうやっても前向きには受け止められない『喪失の究極系』として、直接的に死を歌った“Luce”に向かいます」
 
 
 

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