INTERVIEW:

IO (KANDYTOWN)


 
■“Soul Long”では「繋ぐドラマlike Chain Reaction」というフレーズが出てきて、この曲はMUROプロデュースだから氏の楽曲タイトルを引用したんだと思うけど、90年代〜00年代の日本語ラップへの思い入れはどの程度ある?
「BUDDHA BRAND/雷/RHYMESTERはもちろん、俺らの世代的にはSCARS/練マザファッカーとか聴いてましたし、CDも買ってました。俺が一番好きだった人はYOU THE ROCK★でしたね。あの人のCDはほとんど持ってるかもしれないぐらい。存在がエンターテインメントというか、そういう面白さや『何をやるんだろう?』って思わせてくれた感じとか。……あと、『BBOY PARK』とかで会ったときにケバブを買ってもらったんですよね。15歳ぐらいだったかな、『最高だな』って思いました(笑)」
 
■KANDYTOWNの諸作や今作を聴くと、都会的と形容できるクールネスがあって、IO君自身も「俺は自分がクールだと知ってる」(“Check My Ledge”)とラップしているからその自覚はあると思うんだけど、そういったスタイルはどんな過程を経て確立されていったと思う?
「昔から変わらないのは、“夜”についてだったり“東京”が出てくる曲やパーティ — “街”に関する曲をずっと作ってたし、それは自分が曲を作る上での中心として最初からあったと思いますね。自分が歌うならそれしかないというか。自分が見てたモノが自然と曲になっていったんだと思いますね」
 
■IO君の地元は、地方に住んでいる人からするとだいぶ都会だとは思うけど、東京の中でも郊外寄りなエリアだよね。そういうバックグラウンドもあるからか、IO君が描く“街”は少し距離のある場所から俯瞰した視点な気がしてて。
「六本木が地元だと、多分こういう感じにはなってないのかなと思いますね。俺たちの育ったところは、世田谷の中でも一番外側なので、シティーが見えるちょうど良い距離なのかもしれないです。自分のスタイルは、自分がいた場所や周りの状況があったから作られたんだと思います」
 
■BCDMGのGOK氏とは10代から面識があったとのことだけど、BCDMGに加入したのもその繋がりから?
「15歳ぐらいの頃、JASHWONさんが住んでいた隣に、自分たちが仲良いヤツが住んでて、そこに泊まりに行こうとしたらその家に入れてくれなくて、真冬の公園で野宿してたんですよ。そうしたら、『今日、JASHWONさんの家で何かやってるらしい』って聞いて、すぐ行きました。そこでデモを渡したのがJASHWONさんとの最初の接点です。そのときは、JASHWONさん/GOKさん/LOSTFACEさんがいて、俺とYUSHIで行きましたね。で、19歳頃にBOOT STREETで働かせてもらうようになったんですけど、そのときにJASHWONさんとGOKさんに『ちょっとスピットしてみろ』って言われて、そこでラップしたときぐらいからラッパーとして見てもらえるようになったのかな、って。そこから、JASHWONさんからトラックを送ってもらったり、俺はラップを送り返したりして、音源のやり取りをするようになったって感じです」
DJ NOBU a.k.a. BOMBRUSH!「俺も最初、IOのことはJASHWONから聞いたんだよね。BCDMGも『そろそろプロデューサーだけだと動ける幅も決まっちゃうから、ラッパーを探そう』って思うようになって、何年間もずっと探してたんだ。その過程でJASHWONから出て来たのがIOとDONY JOINT(KANDYTOWN)の名前だった。それが3年ぐらい前だったかな?BOOT STREETで働いてたっていう話は後から聞いたんだけど、話を聞いてみると結構前から近くにいたんだな、って」
 
■NOBU君は、IO君たちのどんなところに魅力を感じた?
DJ NOBU「ワード・センスかな。最初はヴィジュアルを見る前だったから、曲だけでしか知らなかったし。俺が初めてJASHWONにデモを聴せてもらった頃から、今のIOのスタイルだったと思う。東京っぽさを感じさせつつ、オーセンティックだけど新しい、今までいないタイプだなと思った。JASHWONは才能を見抜く力が本当凄いね」
 
■KANDYTOWNとしてはこれまでに多くの作品をドロップしてきたけど、IO君名義の初ソロ・アルバムとなる今作は、どんなイメージで作りこんでいった?KANDYTOWNの諸作とは違う意識だった?
「基本的には、特別な意識というのはなかったです。ビートがカッコ良くて、そのビートに合ったラップを、聴いて浮かんだ言葉でやっただけなんで」
 
■“ニューカマー”とか“フレッシュマン”みたいに、HIP HOPでは次世代の人たちで、そういうフレッシュさを売りにシーンで成り上がろうという意識の人が多いと思うんだけど、KANDYTOWNの人たちはそういう感じでもないよね。最初から落ち着いてるというか(笑)。そういう野心みたいなモノはある?
「もちろん、音楽で成功したいと思っています。だけど、KANDYTOWNのヤツらとそういう話をすることはあまりない。音楽について話すことも、普通の会話に比べたらそんなに多い方ではないと思います。だけど、一年前にYUSHIが死んで、そこでみんなの意思が固まったというのはあるし、『BLACK MOTEL』みたいな作品を出した後にいろんな反応が返ってくるのが(実感として)分かって、それで自分たちが動けばその分の変化が起きるというのが分かってきたんです。それでみんなのモティヴェーションが上がったというのは、以前よりあると思いますね」
 
■僕は車を運転しないんだけど、それでも夜の246をドライヴして、窓から景色を眺めているような感覚を、「Soul Long」を聴いて味わって。実際、リリックも自分の主張を伝えるより、情景描写が多いよね。
「意識的にそういう描き方をしているわけではないですけど、ビートを聴いて浮かんだことや、イメージしたことをビート上に落としていく。そこに最近の調子を重ねていくって感じだと思います。あまり自分のラップのスタイルについて、考えたことはないかもしれないです」
 
■でも、KANDYTOWNは音楽性は統一されているけど、個々のラップのスタイルはそれぞれ結構違うよね。
「それはよく言われるんですけど、俺ら的には嬉しいですね」
DJ NOBU「端から見ててクルー内のライヴァル意識も凄いと思う」
「ライヴァル意識はすごいありますね(笑)」
 
■今作には“119measures”がKANDYTOWNのポッセ・カットとして収録されてるね。
「その曲に関しては、完全に殺し合い(笑)。みんな仲間だし、このアルバムをみんなサポートしてくれてるし、足の引っ張り合いみたいなことはないですけど、一曲にみんなが入るってなると、完全に『俺が一番を獲る』っていう気持ちでみんな書いてると思います。外側に対しての競争心はない方かと思うんですけど、その分仲間に対してハンパじゃない(笑)。今作について彼らがどう思ってるかは、話してないから分からないですけど、『次は俺がやってやる』って思ってると思うし、そのときは俺に出来るサポートをしたいと思います」
 
 

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