COLUMN:

対談:DABO & MACKA-CHIN

■表現することを続けるモチヴェーションは何ですか?
DABO「『自分自身を出す』ってことなのかな。若いときほど『俺は死ぬまでラッパー、死ぬまでHIP HOP』って言ってみたいと思うし、俺もそういう部分があった。でも最近は、『死ぬまでラッパーで、HIP HOPと心中したい』とはあんまり思ってないし、“HIP HOP”って言って自分の幅を狭めたくないんだよね。最近は歌も作るし、そこで解放される部分もある。だから、HIP HOPというよりも、音楽をやってるのが好きなんだよね。正直、HIP HOPとかニトロ、DABOっていう名前が、ちょっと鬱陶しい」
 
MACKA-CHIN「俺も、前になんかのインタビューで同じようなことを言ったけど、それは感じるね」
 
DABO「その足枷がまぁ重い。やっぱり、リスナーから望まれる姿があるわけじゃん」
 
MACKA-CHIN「その姿に自分を添わせるのは面倒だし、それがやりたいことじゃないから」
 
DABO「だから、あんまりにもしんどくなったら、ある日突然『DABO止めます』って突然言い出すかもしれない」
 
MACKA-CHIN「俺もツイッターで『<LIVE19>で二代目MACKA-CHIN発表あるかも』って書いたんだけど。誰もRTしてくれなくてダダ滑ったたけど(笑)」
 
DABO「俺も『何言ってんだ?』ってRTする指が止まったもん(笑)」
 
 
■アーティストのエゴとリスナーのエゴの齟齬は、キャリアが長くなればなるほど大きくなるでしょうね。
MACKA-CHIN「でも、寄せることほどストレスなことはないし、『俺はこれをやりたい』っていうのをどうしても優先するよね。それじゃないと音楽に付き合っていけないから。渋谷VISIONでのDJで五木ひろしをかけて、ギャルに中指立てられたときは流石に反省したけど(笑)。でも、そういうことだよね」
 
DABO「それは早すぎたね(笑)」
 
MACKA-CHIN「『フリースタイルダンジョン』でも、ライヴで“ASPHALT GENJIN”やって、高校生とか大学生にボロクソ言われたのよ。でも、自分のライヴで披露する前に『高校生にディスられた曲やりま~す』って言ったら超盛り上がるし(笑)、士郎君(RHYMESTER宇多丸)も『“ダンジョン”であの曲やったのは狂ってる』って。そうやって喜んでくれる人もいるから、より一層、人の目が気にならなくなったし、自分に正直でいいんだな、って。その方が良いものが作れると思うんだよね。だから、さっきのDABOの靴の話じゃないけど、自分自身が変わっていってるのに、そこに嘘ついて『白鳥の湖』のバレリーナみたいに、つま先立ちしてるわけにはいかないんだよね。確かにHIP HOPを聴いてオラついてしまう自分も、いるにはいるんだよね、いまだに。でも、そのテンションはずっと保てない。『年相応のことがやりたい』なんて言ったらジジくせぇかもしんねぇけど、自分に素直に正直にやっていかないと、音楽が、HIP HOPが嫌いになってしまうよね」
 
DABO「一番を決めるゲームに飽き飽きしてるし、それをやってると魂の安らぎは死ぬまでやってこないと思うんだ。確かに、バトルとかビーフがHIP HOPの醍醐味っていう人の気持ちも分からんではないし、俺も20代の頃にはビーフを仕掛けられて対応したこともあるわけだけど、20代のHIP HOPと40代のHIP HOPではまったく感触が違うし、もう20代や10代のテンションには戻れないんだよ。キャリアの初期の頃に『上はもうみんな終わってる、これからは俺らの時代だ』って出て来たのは若さのテンションだし、『俺たちを認めてほしい』『上を見返したい』っていう気持ちだったからだよね。今の子もそのテンションでやってるんだろうし、それは間違ってない、当然。でも、そのテンションでいつまでもいるっていうのは、どう考えてもおかしいんだよね。思春期のマインドに刺さる音楽を作るヤツが一番ヤバイっていう言説も分かるし『そうかもね』とも思うけど、17歳の高校生にビンビンくるようなタイプのトゲは、俺にはもうないよ。トゲなら世の中や社会だったりの方に向いてるし、それは今の年齢になれば当然考えることだよね。だから、今の自分の居心地の良い生き方があるし、表現がある。そして、そういう変化していく自分を常に肯定したい」
 
■一番ゲームに勝ちたかったときに一番を目指したのも正直な気持ちだし、変な人扱いされても自分のHIP HOP観に従ったのも正直な気持ちですよね。そして今は、より自分に正直な表現におふたりとも向かってるということですね。その意味では、その人生、その人性がそのまま出るのがHIP HOPだとしたら、その軸はまったくブレてないですよね。
MACKA-CHIN「そう思ってくれたら嬉しいよね」
 
DABO「良いこと言うじゃん(笑)」
 
 
■ありがとうございます(笑)。そして6月20日には「NITRO MICROPHONE UNDERGROUND LIVE 19」が渋谷O-EASTにて行われますね。
DABO「まあ、ニトロの再稼働、再起動って感じかな」
 
MACKA-CHIN「インディでデビューしたEP『NITRO WORKS』や“LIVE99”から20年っていう区切りでもあるし、ざっくりとニトロとして年イチぐらいはキャッキャしたいよね、っていう。スチャダラパーもそういうイヴェントあるでしょ?」
 
 
■年末に『暮れの元気なご挨拶』というライヴをやってますね。Boseさんは「このイヴェントは毎年の生存確認だから」って仰ってますが(笑)。
DABO「ハッハッハ!でも、ニトロもそういうこと(笑)」
 
MACKA-CHIN「間違いないね。メンバーもみんなラップだけやってるわけじゃないし、リスナーもそうでしょ。だから、たまには集まる機会を作って、近況報告して、盛り上がって、ニトロに癒やされよう、と。それはメンバーもオーディエンスも含めて(笑)。このライヴが既に完売になったのは嬉しかったね。ニトロとは違うタイプのHIP HOPカルチャーが注目されてる今、O-EASTが売り切れるっていうのは想定してなかった」
 

 
■YouTubeには“LIVE19”のMVがアップされていますが、サウンド的には超王道なのに、MVは縦動画で自撮りという、今っぽい感じも面白かったです。
MACKA-CHIN「ただ、俺の映像は足立区で撮ったら街灯が少ないせいか、監督から『映像が暗い、DABOさんみたいにちゃんとやって下さい』って怒られたり(笑)」
 
DABO「足立は街の光量が足りないって(笑)」
 
MACKA-CHIN「足立は新宿や世田谷には光量では勝てなかったね。自撮りに不向きな街(笑)」
 
 
■リリースの計画は如何でしょうか?
MACKA-CHIN「楽曲はもう何曲か作ってるんだよね。その出し方を考えてるところ。レコード屋は行くけどCDショップは行かないからCDにしてもな~、でも配信じゃリリースした感がないし……って悩んでる。会場でアンケート取ろうか(笑)」
 
DABO「面白そう。覆面して自分たちで聞いてみようか(笑)」
 
MACKA-CHIN「“LIVE19”も某社から7インチ・リリースの話があったけど『クリアランス取ってないよ』って言ったら立ち消え」
 
DABO「あんなに許可取れるわけねーじゃん(笑)」
 
MACKA-CHIN「でも、一発目に出す曲が『ニトロ節、でたー!』なのか『ニトロの新しいスタイルが来たー!』なのか、迷ったよね。“LIVE19”に関しては、ニトロ節の方に振ってるんだけど、他に制作してる曲にはテクノみたいな曲もあったり。リリースがどうなるかは分からんけど、やってて楽しいのは間違いない」
 
 
■やはり刺激になる存在だ、と。
MACKA-CHIN「根っこの部分だからね。だから、なんだかんだ言って、リスペクトありの変態軍団」
 
DABO「ニトロで動くと、ニトロで動かない限りラップしないヤツのラップが聴けるっていうのも、ちょっとしたこっちサイドの楽しみ」
 
MACKA-CHIN「GORE-TEXとかXBSがラップしてると、意味なく写真撮っちゃうもん(笑)」
 
DABO「『本物だ!動いたー!』みたいな。お客もそうなるよね(笑)。ニトロは遊び仲間のみんなでイベントを作って、レコーディングしてっていう掃いて捨てるほどよくある話から始まってるけど、そこで作った作品が注目されて、世間的なインパクトをもたらして、実際に売れたっていうのは、そうそうある話じゃない。そういうミラクルも起こしたし、メンバー全員が変にお金持って、変な遊び方して、やらかして反省ゾーンに入ったり(笑)。そういう風に普通の人が経験できないことを共有してるから、親友なんて言葉は使いたくないけど、戦友というか、やっぱ繋がりは深いよね」
 
MACKA-CHIN「すっごい好きなときもあるし、すっごい嫌いなときもあるし。グループとしては捉えてないんだよね。グループとして、音楽仲間として、って考えたら、そこで音楽性の違いだったりも生まれると思うんだけど、お互いにリスペクトしあってるから、寄せたり合わせたりもしなかったし。だから、不思議な存在だよね」
 
DABO「不思議。聴き方に正解がないし、体感型アトラクションみたいなグループだよね。俺らも分かってないもんね」
 
MACKA-CHIN「わかってない。ニトロって何なんだろう(笑)」
 
 

To Page topTo Page top