COLUMN:

対談:DABO & MACKA-CHIN

「ひとりでも『変なことやってますね!面白いっすね!』って言ってくれれば、もう頑張れちゃうから。それがモチヴェーションかな。率先して遊んで、吸収して、アウトプットするのがHIP HOPだと思ってるし、そうやって戦ってるんだと思うんだ」 — MACKA-CHIN

 

 
■MACKA-CHINさんは常に新しい変化とチャレンジを作品に落とし込んでいると思いますが、ZEN RYDAZはより異様な段階に踏み込んだ作品だと感じました。
DABO「異様……確かに(笑)」
 
MACKA-CHIN「俺は基本的にひねくれ者で、物事を斜めに見るタイプだからね。それに、HIP HOPはニトロで満足したっていう部分があるんだよね。だから、ソロ1stの『CHIN-ATTACK』(01年)の段階で、変な人扱いされてるような作品を出してるわけで(笑)」
 
 
■作品の感覚としては、THE BLACK DOGやSABRES OF PARADISEに近いモノを感じていましたし、ニトロで提示したHIP HOP観とは、その時点でかなり違いましたね。
MACKA-CHIN「でも、俺のそういった作品に影響を受けたヤツが『“好き勝手に面白いことをやっていいんだ”って気付きました』って言ってくれたり、俺に声かけてくれたりしててさ」
 
 
■TOKYO HEALTH CLUBのTSUBAMEがその好例ですね。
MACKA-CHIN「だから、20年経ってやっと時代が俺に追いついてきたな……ってちょっとカッコ付けたけど(笑)」
 
 
■MACKA-CHIN“ズラカル feat. TOKYO HEALTH CLUB”の制作や、TSUBAME“窓をあけたら-69 Merry Go Round- feat.MACKA-CHIN”など、制作的にも関係性が深いし、他にもYIMだったり、ある意味“サブカル”と捉えられるアーティストとMACKA-CHINさんが繋がることも非常に興味深いです。
MACKA-CHIN「若いラッパーってめっちゃくちゃ面白いんだよ。釈迦坊主とかキュンキュンするもん。この前に遊びで作った日本語ラップのミックスも、般若の後にharuru犬love dog天使を繋いでるからね(笑)。硬派なヤツらからすると『ちょっと違う』って思うかもしれないけど、俺にはそれが楽しい。今はMULBEっていう若いラッパーと一緒に制作をしてて、内容だけじゃなくて、自分のHIP HOP観だったりも含めてエデュケーションしてるんだけど、その作業はすごく面白いんだよね」
 
 
■その意味でも、MACKA-CHINさんの作品群は本当に幅が広いですね。
MACKA-CHIN「俺はとにかく飽きっぽいから、同じことをやっていくには限度があるんだよね。だからGRUNTERZと『incompleteness theorem』(13年)を作ったり、『静かな月と夜』(14年)みたいなアンビエント・アルバムを作ったり、常に新しい方向を探しちゃうし、ZEN RYDAZもそのひとつ」
 
 
■そういった様々な方向性を模索する理由は?
MACKA-CHIN「もともと、人一倍『俺はHIP HOPだ』っていう自負があったと思うし、世の中的なHIP HOPのアプローチに関しては、ニトロの作品を通して、自分が満足できるぐらいの表現が出来てたと思う。その上で、DABOはより王道のHIP HOPに向かったけど、俺はテクノとかハウスも好きだったから、そういったモノも内包した、より『自分の考えるHIP HOP』に進んだ。だから、世の中的なHIP HOPを作るのは、俺にとってはニトロの1st『NITRO MICROPHONE UNDERGROUND』(00年)で完結してたのかもしれない。1stである程度やりきった感があるから、そことは違う方向性だったり、いろんな人とコラボしたりっていう、今の方向に繋がる進み方をソロですぐに始めたと思うんだよね。確かに、商業ベースとしては、俺のソロはニトロの1stや2nd『STRAIGHT FROM THE UNDERGROUND』(04年)みたいに売れてはいない。でも、自分らしい作品のリリースはコンスタントに出来てると思う。そして、たった10人でも、ひとりでも『変なことやってますね!面白いっすね!』って言ってくれれば、もう頑張れちゃうから。それがモチヴェーションかな。率先して遊んで、吸収して、アウトプットするのがHIP HOPだと思ってるし、そうやって戦ってるんだと思うんだ」
 
 
■ZEN RYDAZはやっぱり戦っているし、この異形感こそ、HIP HOPが根本にあるから出来るアプローチだと思いました。ただ、それによってかなりジャンル分けの難しい作品になったとも思います。
MACKA-CHIN「レコード屋でも、ハウスとかテクノとかワールド・ミュージックとか、いろんなとこに置かれてる(笑)。みんな困ってるんだろうなと思うし、確かに『これはなんてジャンルですか?』って訊かれて、俺もどう答えていいか困っちゃって。それで“和モノ”って言ったんだけど」
 
DABO「まあ、間違いではないね(笑)」
 
MACKA-CHIN「そしたらやっぱり『え?』って(笑)。尺八とディジリドゥとHIP HOPとレゲエと……みたいにいろんなサウンドが混交してるけど、『メイド・イン・ジャパンのクラブ・ミュージック』であるって部分では“和モノ”だと思ってるんだけど。もちろん、どんなアプローチをしても根っこにはHIP HOPがあるし、ニトロがあるし、それはDABOの作品と変わらない。だから、DABOのような仲間がいるから/ニトロがあるから、俺は好きなことが出来るっていう部分があると思うんだよね」
 
DABO「結局は自分を鍛えたいんだよね、俺もMACKA-CHINも」
 
MACKA-CHIN「そう。自分に満足してないし、恥をかいてでも新しいことをやる方が気持ち良い。音楽は自己表現だから、変だってなんだって、自分の思い通りにやるのがやっぱり楽しいんだよね。いろんな分析やアイディアが入って、丁寧に構築された良品も確かにあるけど、俺は直感勝負の方が楽しい。それが作品を出すエネルギーになってるんだよね」
 

 
 
 

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