COLUMN:

THE STORY BEHIND 「7INC TREE」 feat. ISSUGI

「全部自分のビート上でラップしてアルバムを作ることは、自分の音楽の基本だし動きとして見ても別に悪くないんですけど、実際に自分が今繋がってる人間や、共有してたりするひとつのシーンとして、街を越えてコミットしてる様子とかを魅せるのも、ラッパーの仕事のひとつだと思う」 -- ISSUGI

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 コンスタントに充実した作品をリリースし続け、信頼に足るアーティストとしてファンからの熱い支持を得続けているISSUGI。そのISSUGIがここ数年、精力的に取り組んできたプロジェクトが「7INC TREE」だ。
 
 シーズン1はニコニコ動画内のチャンネル『サイゾー動画(c)』、シーズン2は『FRESH!』(現・FRESH LIVE)といったプラットフォームを使って番組を配信。番組では、ISSUGIが彼と親交の深いアーティスト/クリエイターたちと楽曲を制作し、そのメイキング動画を撮影、後に7インチとしてシングル・リリースという流れを軸にしつつ、メイキング動画以外にもISSUGIの密着映像などの様々なコンテンツを配信してきた。
 
 そして、シーズン1に続き、シーズン2を通して制作されてきた楽曲+αを収めたアルバム「THE STORY OF 7INC TREE -Tree & Chambr-」がリリース。10月20日には渋谷clubasiaでリリース・パーティが予定されている。今回は、アルバムのリリースとリリース・パーティ開催を記念し、ISSUGIとISSUGIの現マネージャーであり「7INC TREE」シーズン2の撮影/編集をコーディネートしたDJ 49に「7INC TREE」を振り返って頂いた。
 

 
■まずは、シーズン1含め『7INC TREE』プロジェクトを始めようと思ったキッカケ/経緯について教えて頂けますか?
ISSUGI「CPF(CREATIVE PLATFORM)ってあるじゃないですか。DOWN NORTH CAMPのアルバム・プロジェクトとかMEGA-G君のプロジェクトをやってた。そこが話を振ってくれたんですよね。『1年間、毎月7インチを出すプロジェクトはどうですか?』って。で、『その楽曲のメイキング映像も同時進行で放送していく感じにしたい』という話までCPFの方で決まっていたので、シーズン1は『サイゾー動画(c)』内のコンテンツとして配信したのが始まりです」
 
 
■そのような提案があった際、ISSUGI君は最初から前向きだったんですか?
ISSUGI「そうですね、『全然やりたい』って感じでした。面白そうだと思ったし、『毎月7インチ出せるんだ。1年間で12枚も出せるならやりたいな』と思って」
 
 
■確かに、曲は毎月作れたとしても、7インチを毎月、計12枚も出すというのは、リリースに至る工程を考えたらなかなか大変なことですよね。
ISSUGI「そうですね、自分だけだとまず出来なさそう、というのもあったので、良い機会だと思いました」
 
 
■DOGEAR RECORDSは、実質ISSUGI君たちだけで運営しているレーベルだから、このような企画は、当時のキャパだと不可能だったでしょうね。
ISSUGI「そんな感じですね。自分たちのみだったら『毎月7インチをリリースしよう』とも思わなかったと思うし、番組を作るという点においても、労力的にも無理だったと思います。そう、だけど話をもらったときにある程度のサポートをしてくれて、番組を定期的に配信できる機会があるというのも面白そうだと思って、やってみました。日本のHIP HOPのコンテンツでも、そういう楽曲制作のビハインド(ザ・シーン)的な番組があってもいいんじゃないかな?という思いもあったので」
 
 
■長年、ISSUGI君やDNC勢の活動を見ていた立場からすると、「動画コンテンツを定期的に配信する」というのは少し驚きだったんです。DNCの人たちは“覆面ユニット”というわけではないですし、取材などで露出することも多かったですけど、自分たちから能動的に自らの“素”のライフスタイルを明らかにしてきたわけではないと思うんです。もちろん、『7INC TREE』で映していたモノがISSUGI君たちの全てではないとは思うんですけど、そういった、一種のヴェールに包まれていた部分を明らかにすることに対して、抵抗感はなかったんですか?
ISSUGI「特になかったですね。むしろ、今までの自分のイメージになかった角度だったとしたら、それも自分だし、作ってる音楽に付随することなら見せたいな、と思いました。というのも、自分も聴いてきた海外のラッパーたちのそういう映像(ツアーのオフショットやスタジオ・ワークなど)を面白がって観てたんで、特に抵抗感はなかったんですよね。『7INC TREE』までそういうことをやってなかったのは、番組としてある程度コンスタントに映像を作ろうという、そういう機会がなかっただけかな、って感じですね」
 
 
■ISSUGI君が海外のラッパーの動画を観てインスパイアされるようなことを、ISSUGI君のファンは『7INC TREE』を通して体感することが出来たわけですよね。自分自身が、そういった動画を観ることで得るモノがあったからこそ、自分のファンにも同様の体験を与えられれば、というような想いはあった?
ISSUGI「もちろん、ありました。まったく同じように感じさせたいという想いがあったわけじゃないんですが、そういう映像を観たりすると、アーティストに勝手に親近感が湧いてきたりしてたし、自分の場合は、それで単純にもっとHIP HOPが好きになったと思うんです。曲以外の要素から感じるノリっていうか。ツアー・バスで料理してるのとかあるんですよ(笑)。俺はそこまでやってないけど。ビート・メイクとかレコーディングとかに関しては、行為自体をもっと身近に感じてほしくて『俺もサクッとやってみたい』っていうヤツが沢山現われたらいいな、と思っていました」
 
 
■ビート・メイク動画などは、ある種“ネタバラし”に近い行為じゃないですか。ISSUGI君の楽曲制作は、奇を衒ってたり外部に制作過程が漏れると困る類のスタイルではないとは思いますが、そういった部分が露わになるのがイヤな人もいると思います。
ISSUGI「なるほど。それより、『なんでこういう映像がないんだろう』という気持ちの方が大きかったですね。シーズン1が始まった時点では、日本人がビート・メイクしてる映像って全然なかったんですよ。でも、俺は『7INC TREE』以前にも16FLIPのビート・メイク動画をYouTubeで上げてたりしてて。まあ、『やってる人いないし、俺がやろうかな?』ぐらいの気持ちでいつもやってました。それに、最初から“ネタバラし”がイヤな気持ちはなかったですね。むしろ、ネタバラしをしてあげた上で、『そんでこうやって作ってるんだよ、ヤバイっしょ?』っていうのを見せたかったんで。でも、正反対の、敢えてそういう部分(完成した楽曲以外)を見せない良さも、もちろん分かっているので、人それぞれで全然いいと思います」
 
 

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