COLUMN:

BEAT SCIENTISTS 〜HIP HOPのおとづくり〜 feat. STUTS(後編)

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■そして、2016年にはソロ・アルバム「Pushin’」をリリースされます。
「2011〜12年ぐらいに、トラックをラッパーに提供するという作業があまり楽しくなくなってきたんですよね。コラボじゃなくてトラックを提供するだけだと、100%自分の思い通りには出来ないという部分があるから、そこフラストレーションを感じるようになって。それで、12〜3年ぐらいからトラック提供の数をかなり減らして、ソロに向けたトラックを作り貯めて、14年にはソロ・アルバムに向けてアーティストにオファーをかけ始めたんです」
 
■使うトラックを決めてから、アーティストにオファーをかけたんですね。
「そうですね。まず自分が満足できるトラックを作って、『コレには客演を迎えた方がいいな』と思ったトラックには、そのトラックに合う声が浮かんだアーティストに声をかけて。オファーの段階では、第1〜2候補ぐらいまでトラックを渡すんですが、皆さん、大体第1候補を選んでくれたんで、それは嬉しかったです。それで、15年の頭には完全にオファーは済ませて、具体的なリリースに向けて動き出しました」
 
■ソロという形で作品をリリースしたことで、変化はありましたか?
「かなり変わりましたね。周りからの評価を気にしてたわけではないけれども、それまで『STUTS=MPCプレイヤー』みたいに捉えられてた評価が、アルバムを出したことでトラック・メイカー/プロデューサーだという評価に変わったのかな?と思いました。アルバムを出す前は、トラック・メイカーというよりはパフォーマーとして見られがちな部分があったので、評価が変わったのは嬉しかったです」
 
■“Called Game feat. K.Lee & 呂布カルマ”でのB・ボーイ・ブレイクス的な感触から、“Rock The Bells feat. KMC”の王道HIP HOP感、そして“夜を使いはたして feat. PUNPEE”のポップでメロウなサウンド、そして構造的に組み上げられたインスト曲と、その手の広さにまず驚いたんですよね。それまでの作品でも手が広いと思ってたけど、一方でそれは、様々なアーティストの作品に断片的に収録されていたために、その広がりがSTUTS君によるものなのか、それとも提供したアーティストによるものなのかがなかなか判断しづらかった。でも、このアルバムによって、STUTSというアーティストのスタイルとその幅の広さを感じました。
「ありがとうございます。ただ、敢えて手を広げようとは考えていなくて、自然に生まれたものだと思います。自然に出てきたモノの中からアルバムに向けて取捨選択していく中で、ヴァラエティが生まれていったんだと思います」
 
■つまり、元々STUTS君が制作するサウンド自体の幅が広い、ということですね。
「それは、『ひとつの場所に留まりたくない』っていう、自分の性格的な部分とも繋がってるのかもしれないですね」
 

 
■“夜を使いはたして feat. PUNPEE”はフロア・アンセムとしてシーンに受容されましたが、PUNPEEとの繋がりは?
「2006年のUMBで存在を知って、そこからずっとチェックしてたんです。板橋録音クラブ名義で配信してた音源も聴いてたし、ずっとファンみたいな感じで。それで、上京した後に同じイヴェントに出ることがあって、そこで勇気を出して話しかけて」
 
■それが“夜を使いはたして”に繋がっていく、と。
「その前に、2012年に僕の渡してたストックの中から『使いたいトラックがある』って言ってくれて、そのトラックを更にPUNPEEさんが再構築した曲があったんです。色々事情があって発表できなくなってしまったんですけど」
 
■それはすごく興味があるな〜。
「それは残念だったんですけど、2013年の年末に“夜を使いはたして”の原型になるトラックが出来て、『コレは絶対PUNPEEさんに歌ってもらいたい』って。それで、そのトラックをPUNPEEさんに渡して参加を快諾してもらったのが、この曲が出来上がるまでの流れでしたね」
 

 
■そして、「Pushin’」の翌年にはAlfred Beach Sandalとのコラボ・アルバムである「ABS+STUTS」(Alfred Beach Sandal + STUTS)をリリースします。
「このアルバムは2タイプの作り方をしてて。前半の3曲は僕がトラックを作って、ビーサンさんがメロディを載せるパターン、後半の3曲はビーサンさんとリアルタイムでセッションしたり、ビーサンさんの作ったメロディに沿ってトラックを構築していく、セッション的なパターンでした」
 

 
■同年11月にはSTUTS×SIKK-O×鈴木真海子で「ALLSEASON EP.」をリリースされます。
「原点的には、SIKK-Oさんから『この3人でのコラボで作品制作がしたい』というオファーをもらったのがキッカケでした。SIKK-Oさんのラップが好きだったので、すぐに引き受けて」
 
■HIP HOPリスナーがすごく増えて、HIP HOPの枠組みやHIP HOPに対する認識が幅広くなっていく中で、ある種、マージナルとも認識されるこの3人が組み合うというのはすごく意味があることだと感じました。

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