COLUMN:

BEAT SCIENTISTS 〜HIP HOPのおとづくり〜 feat. STUTS(前編)

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 ZORNやJJJなど、HIP HOP勢へのトラック提供やプロデュースはもちろん、星野源やCHEMISTRY作品への制作参加など、幅広い活動を展開するSTUTS。また、2016年にリリースしたソロ・アルバム「Pushin’」では、そのプロデューサーとしての手腕を遺憾なく発揮し、PUNPEEを迎えた“夜を使いはたして”はフロア・アンセム、そしてポップ・ソングとしても多くのリスナーに受容された。
 
 そして、ソロとしての新作となる「Eutopia」は、鎮座DOPENESSや仙人掌、G Yamazawaなどのラッパー勢に加えて、一十三十一やPhum Viphuritなどのシンガー、またPETROLZの長岡亮介やMC.sirafuなどのプレイヤーを迎え、そういった様々な要素やパーツをプロデューサーとして統括。作品として組み上げるプロデューサーであり、コンダクター的な手腕さえ感じる充実の作品となった。
 
 2時間という今回の取材時間では、彼がプロデューサーとして手がけた多岐に渡る楽曲の細かな分析や新作「Eutopia」の話も、ざっくりとした形で伺うことになってしまった。だが、それでも、STUTSがどのように“楽曲制作”、そして“プロデュース”に対して向き合っているかの理解の一助に本稿がなれば嬉しい。
 
 
■まず、STUTS君の音楽の原点的な部分から、お話を伺えればと思います。
「小さい頃、よく家や車で親がTHE BEATLESやユーミン、山下達郎を聴いていて、それで『音楽ってこういうモノなんだ』って思った記憶がありますね。自分自身で最初にHIP HOPに触れ合ったのは、小学校5〜6年生の頃に聴いたCHEMISTRYさん のアルバム『The Way We Are』(01年)に入ってた“BROTHERHOOD” (KAWABATA and DABO名義)でした」
 
■“BROTHERHOOD”は、DJ WATARAIが手がけた、SWIZZ BEATS系のトラックですね。
「そこで初めてHIP HOPという音楽を聴いて、『コレは何なんだろう!?』っていう驚きが強くて、ずっとリピートして聴いてました」
 
■とにかく衝撃だった、と。
「聴いたことがないサウンドだったし、カッコ良いしクセになる音楽だ、っていうのが強烈に印象に残ってます。そこから流行っていたRIP SLYMEさんやEMINEMも聴き始めて。そうなっていったのが、中1の前半ぐらいだったと思います」
 
■当時は、ちょうどHIP HOPがブーム的に取り上げられる時期に差しかかっていたと思いますが、同級生でHIP HOPを聴く人はいましたか?
「寮生活の学校に通っていたので情報が少なく、流行りのモノとして聴いてる人はいたんですけど、HIP HOPが好きな人はいなかったです。みんなに良さを分かってほしいと思って、MDに70曲ぐらいオススメの曲を入れて布教活動したりしてました(笑)。 あまり反応はなかったのですが、BUDDHA BRANDさんの“人間発電所”だけはかなり浸透してました」
 
■クラシックの強さを感じます(笑)。
「それで、『BLAST』誌を読んだりして、いろんな情報を仕入れて。自分でもラップを始めようと思ったのは中3のときでした」
 
■最初はラッパー志望だったんですね。どんなラップを書いてたんですか?
「キングギドラさんの影響なのか、初めて書いた曲は社会批判みたいな曲でしたね。中学生なんで、全然社会のことなんて知らなかったんですけど(笑)」
 
■サイプレス上野も「ラップは社会批判しなきゃいけない」と思って社会的でメッセージ性の強いリリック書いたと話してて。そこはやっぱり通る道なんですね。
「しかも、四文字熟語のタイトルでした(笑)」
 
■ハッハッハ。ペイジャー以降のアンダーグラウンド日本語ラップの王道ですね(笑)。
「完全にそうですね(笑)。ちょうどそれくらいの時期に、CDショップで80〜90年代にかけてのHIP HOPがコンパイルされた『RAP SESSIONS』っていうコンピCDを買ったんですよね。その1曲目がA TRIBE CALLED QUEST“BUGGIN’ OUT”だったんです。そこで『トラックのカッコ良さ』に衝撃を受けて、『自分が好きなHIP HOPトラックはコレなんだ!』ってことが自覚的に分かった感じだったんですよね。他にもGANG STARRやTHE PHARCYDEとかが入ってて、このコンピからいろんなアーティストを辿っていけるようにもなって。ここで一気に開眼してWU-TANG CLAN『ENTER THE WU-TANG』を聴いて、更に衝撃を受けて……っていう風に、中学生の頃はとにかくほぼHIP HOPしか聴いてなかったです」
 

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