COLUMN:

『ラップスタア誕生!』座談会 feat. RYUZO/Kダブシャイン/伊藤雄介(Amebreak)

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NATURAL P

 
■そういった部分に加えて、2ndシーズンでは『ラップスタアキャンプ』(合宿しながら曲制作をするステージ)のパートも含め、ドキュメント/リアリティ・ショー的な感触も強くなっていますね。
伊藤「それを“リアリティ”と簡単に言うには語弊があるけど、キャンプの最中にNATURAL P(シーズン2で3位)のお母さんが亡くなったのは、本当に胸が苦しくなりましたよね」
 
■アレに胸を打たれない人はいないですよ。
Kダブシャイン「あれはホントに……ドキュメントだよ……」

RYUZO「涙ぐんでますやん、今も。その気持ちはメッチャ分かるけど」

Kダブシャイン「時間が経ってからアレを思い出すと、余計にしみじみしちゃうんだよね」

伊藤「SEEDAも収録中に泣いてたし、『あんなことが起きるなんて』って、関わってる全員が言葉を失いましたよね。最初から審査員はみんなシリアスに取り組んでいたと思うけど、あのときにみんな改めて姿勢を正したと思う。『本当に人の人生に関わることをしている』という責任を感じたし、生半可な気持ちでは向かい合えない、こっちも気を抜かないで真剣に審査しなければ、って」

RYUZO「全体を通して、とにかくドラマばっかりですよね。2ndシーズンのMC小法師とLEONなんて、今年の甲子園の決勝と同じですよ。ほとんど無名だった小法師は金足農業、LEONは……」

Kダブシャイン「大阪桐蔭だよね(笑)」

RYUZO「そのふたりがぶつかる勝負なんて、絶対オモロいでしょ!」

伊藤「オーディション番組だから優勝するのはひとりだけなんだけど、チャンプだけが得するようなコンテンツではないんですよね。優勝はできなかったけど、小法師なんて実質“無”の状態から、ここまで足跡を残すことが出来たし」
 
 
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MC小法師

 
■最初は「嫌いだ」って言ってたSEEDAが評価を改めていく過程は、正にドキュメントですよね。
Kダブシャイン「『人は見た目によらなかった』ってね(笑)」

伊藤「だから、優勝できなかったラッパーが噛ませ犬みたいになることがないし、それぞれの持ち味が見えるようになってるんですよ。それをあの規模でアピールすることが出来る機会なんて、特に無名のラッパーはないに等しいし、チャンスにしかならないと思うんですよね」

Kダブシャイン「実際、優勝できなかったヤツでもゲスト・ライヴに呼ばれるようになったり、MVの再生数が上がったりしてるんでしょ?」

RYUZO「ANARCHYが今度福井でライヴするんですけど、小法師をゲストに呼んだんですよね」

伊藤「あと、無名な人たちの曲がKダブシャインのような大物且つ多くのラッパーにとって憧れなラッパーの耳にまで届くなんて、ネット社会の現在でもそう簡単なことじゃないですよね。 でも、少なくともこの番組にエントリーすれば、審査員のラッパーは必ず聴いてくれるわけで。あと、典型的なストリート/現場叩き上げなラッパーとはまた違うラッパーも勝ち上がってきたというのは、そういった表面的なプロフィール以外の部分にも番組でフォーカスできている、というのが大きいと思う」

RYUZO「今はラッパーの数自体がとにかく多いから — 昔からだけど、注目されるとなったら住んでる場所やクルーを組んでたりとか、オシャレ方面で注目されるとか、有名ラッパーにフックされるとか、誰々の後輩だとか、そういう付加価値が必要じゃないですか。でも、そうじゃなくて、どんなラッパーであっても『作品とライヴ・スキル』で勝ち上がるシステムを作りたかった。それがこの番組をやる意味なのかな?って。それに、ストリート/現場にいなくても、虐げられてきたり痛みを持ってる人たちが沢山いて、そういう人たちがラップを通して声を上げている。それはすごくHIP HOP的だし、そういう人たちを助けたいと思うのは当然でしょ」

Kダブシャイン「見てると『何とかしてやりたい』って思っちゃうんだよね。それってすごくHIP HOPな部分だと思うんだ。それは、キャリアとしてのフックアップっていうだけの意味じゃなくて、境遇だったり環境も含めて、ホント単純に『なんとかしてあげたい』っていう。俺たちはHIP HOPを信じて、そこに賭けてきたおかげでキャリアを築けたから逆境も跳ね返せたワケじゃん?それをエントリーしてるラッパーたちも信じられるようにしたいし、信じさせてあげたい。『夢を持たせてあげたい』って思っちゃうんだよね。カッコ付けて言ってるんじゃなくて」

伊藤「確かに、勝ち上がっていく人たちの多くのバックグラウンドはみんなユニークなんだけど、それはあくまで結果論で、最初の審査の段階ではエントリーしてきたリリック以上のバックグラウンドは当然分からないから、バックグラウンド重視でラッパーを選んでるということはない。ステージが進む毎に『なんでここまでユニークな境遇/バックグラウンドのラッパーが残っていくんだろう』って、審査員なのに思う(笑)」
 
 
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LEON a.k.a. 獅子

 
■だから、リアリティ・ショー的な傾向を感じた2ndシーズンで、ドラマ性という部分では他のラッパーたちより弱かったLEONが、ライヴ力と作品力で優勝をしたのはすごく意味があるな、って。
伊藤「確かに、LEONはスキルに関しては申し分ないけど、そういったぶっ飛んだエピソードや人間性が強烈、というラッパーではないから、キャラという面では逆にハンデになる可能性もあったんだけど」

RYUZO「でも、アイツが『俺にはラップしかない』って言った瞬間に『あ、コイツ優勝しよるわ』って思った。実際、HIP HOPに賭ける情熱とスキルでファイナル・ステージの会場を掴んだし」

伊藤「それに、審査員は僕以外は本職のラッパーたちですからね。最終的には物語性に引っ張られすぎないで、スキルや才能面を重視してると思います」
 

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