COLUMN:

『ラップスタア誕生!』座談会 feat. RYUZO/Kダブシャイン/伊藤雄介(Amebreak)

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スタジオ収録の様子

 
■アーティストをピックアップして紹介する形式ではなくて、公募からのオーディションと勝ち抜き、という方式を採ったのは?
RYUZO「第一には、その方が番組として面白くなるから。でも、公募の形にしなかったら、こんなにいろんなラッパーが出て来てなかったと思う。ピックアップ制だと、どうしても俺や俺ら周りで知ってるヤツ、という偏りが出てしまったと思うし」
 
 
■だから、『高校生RAP選手権』で優勝し、サイプレス上野のレーベル:ドリーム開発から作品をリリースしているLEONのような、既にキャリアのあるアーティストは登場しますが、ほとんどのMCは知名度が高いわけではないですね。
伊藤「エントリーしてきたMCの中には、既にキャリアがあったりシーン内である程度知名度のある人もいたけど、YouTubeとかに楽曲/MVを上げてても再生数は数百回〜1,000台ぐらいのラッパーの方が全然多いですね」
 
 
■応募方法は、スマホでラップしている映像を録って応募するという形式ですね。「この日にオーディション会場に集まってください」といったような方式ではないからエントリーする上での敷居も低いし、非常に広範なラッパーが登場しやすいですね。
伊藤「こういう考え方/方向性に至ったのは、RYUZO君が地方(京都)出身っていうのも大きいんじゃないですか?」

RYUZO「あるね。俺が京都に住んでたときに、『俺ら、東京のヤツらよりヤバイのに、なんで注目されへんねん』って思ってたし、今でもそう考えてるヤツは少なくないやろうな、って。そういう気持ちをケアできる方式にしたかった」
 
 
■オーディションの一次審査が自己紹介的なラップで、そこで勝ち抜くと二次審査ではRYUZOさんが、それぞれのラッパーの地元や活動現場に直接赴き、彼らの話を聞いてその場でラップさせる。その構成がこの番組のひとつの肝になってますね。
伊藤「RYUZO君が地元にロケに行くっていうのは、構想時点から決まってたんですか?」

RYUZO「うん。『そいつが放つ言葉がどこから出てきたのか?』というのを知りたかったし、それもHIP HOPの大事な部分やと思ってるから。作詞家が書くんじゃなくて、自分でリリックを書くワケでしょ?そこに至る背景や想い、それぞれの人生があって、そこから生まれた“リアル”をリリックにする。そういった背景から『コレが俺にとってのHIP HOPや』っていうことが自ずと露わになると思ったし、単純に、そこに至るまでを俺も直接知りたかったし、それを視聴者にも伝えたかった」

伊藤「それが『ラップスタア誕生!』と、他のオーディション番組との大きな違いですよね。ラッパーの身の上話を訊いてるときに、RYUZO君はよく泣きそうになってますよね。シーズン1で3位だったJIROW WONDAの話を訊いてるときとか、実際涙ぐんでましたし」

RYUZO「もう、ヤバイで。不良系のラッパーの話を訊くと『いまだにそういうこともあるんだな』と思うし、不良じゃない子たちの話のエモさにもかなり食らってる」

Kダブシャイン「本人は言いにくいだろうから俺が言うけど、発起人であるRYUZOの動きが本当に素晴らしいよ。ラッパーの住んでる各地方に足を運んで繋がりを作るなんて、なかなか出来ないよ」

伊藤「実際、超過密スケジュールでロケ行ってますもんね」

RYUZO「『日本中の美味いモノを食う』っていうのが裏テーマで、それぐらいの役得は許してほしい(笑)」
 
 
■そういった構成によって、「ラッパーの人となり」が非常に明確に見えますね。
RYUZO「でも、俺もラッパーに会いに行くのはドキドキするよ。ほとんどのラッパーは知らないヤツらやし、『どんなヤツなんかな?』って」

伊藤「相手にとっても『ヤベェ、RYUZOが来るのか……』ってドキドキしてると思いますよ(笑)」

RYUZO「一応、行く前に各土地の番長的な人にリサーチもするけど、そういう人たちも全然知らないっていう子も少なくない。だから、“出会い系”よりもハードルが高い。テレクラとかダイヤルQ2で会うみたいなモンで(笑)」

Kダブシャイン「チェンジできないしね(笑)」

RYUZO「(シーズン2で準優勝した)MC小法師なんか、『親父がヤクザだった』ってリリックで言ってるし、髪の毛の色は緑やし『大丈夫なんかな……?』って(笑)。でも、直接話を訊いて、あのイカれた家庭環境が彼のメンタリティやビジュアル系みたいな服装、そしてラップ自体に影響してるって考えたら、そこに物語やオリジナリティを感じるんだよね。『そうきたか!』って」

Kダブシャイン「ロケから戻ってくると、RYUZOの各ラッパーへの愛情が生まれてるもんね。RYUZOのその変化も見てると面白いんだよ」

RYUZO「やっぱり、どんなヤツでも『HIP HOPについて喋れる』っていうのが大きいのかな。そういう話が出来るヤツが選ばれてるという部分もあると思うし」

伊藤「勝ち進んでいくラッパーには、それぞれのHIP HOP哲学や想いが確実にありますもんね。その違いは、HIP HOPリスナーにとっては当たり前のことかもしれないけど、一般層の視聴者にとっては新鮮に感じると思う」
 

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