COLUMN:

CO-SIGN feat. Bullsxxt

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LtoR:Ecus Nuis a.k.a. Pam/Naruki Numazawa/UCD/tommy/Shotaro Sugasawa

 
 国会前デモや渋谷ハチ公前での街宣など、学生/若者による政治アプローチのひとつの形を提示してきた、学生による政治団体:SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)。
 
 彼らはシュプレヒコールの中で、田我流“Straight Outta 138 feat. ECD”の中でECDが発した「言う事聞かせる番だ俺達が」という言葉を引用したり(そしてECD自身もSEALDsとリンクしたデモ活動を行なっている)、シュプレヒコールの発し方自体も、それまで多くを占めていた旧来的な“オン”のリズム(それは音頭的なリズムと言ってもいいだろう)から、『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』でも取り上げられたように、裏拍子やシンコペーション、コール&レスポンスを取り入れた「今のリズム感」に変化させるなど、「現在のデモ」の形を提示してきた。
 
 そして、その組織の中心にいたラッパーのUCDが中心となって結成しているHIP HOPバンド:Bullsxxt(ブルシット)が、初のアルバムとなる「BULLSXXT」をリリースした。
 
 
 
 BullsxxtはラッパーのUCDとギターのTommyらを原点に結成。その後、メンバー・チェンジを経て、Shotaro Sugasawa(ドラム/パーカッション)、Naruki Numazawa (キーボード/シンセ/ヴォーカル)、Pam a.k.a. Ecus Nuis(ベース/シンセ)が加入し、現在の体勢になったのが今年の3月。
 
「現在のメンバーで動き出したのと近いタイミングで、P-VINEから2016年1月にリリースしたEP『FIRST SHIT』を再発しないか?っていう話をもらって。でも、メンバーが変わっちゃってるんで、単に再発するよりは、今の体勢で再構築した作品にしたいと思ったんですよね」(Shotaro Sugasawa)

「今のメンバーならもっと良い作品に出来るっていう感触もあったんで、それなら『FIRST SHIT』に収録した曲全部に大幅にリアレンジを加え、新曲も加えて、EPじゃなくてアルバムにしようと思って。それが今回の『BULLSXXT』です」(UCD)
 
 
 
 まず、この作品についてサウンドの感触から触れていくと、派手なバンド・サウンドではなく、ジャズやメロウ・ファンクを中心とした、低い温度でじっくりと音を絡ませ合う、重心の低いディープな音像構成にまず興味を惹かれる。
 
「サウンドの作り方としては、トラックはバンドがセッションで組み立てていって、その中でUCDが気に入ったモノで更にふるいにかけていく感じですね。UCDが好きなビート・メイカーがBUDAMUNKや16FLIPとか、『ヨレた』ビートを作るタイプなんで、ドラムとしてもそういったビートの感覚をコピーしてますね。ROBERT GLASPER EXPERIMENTやCHRIS DAVEみたいに、HIP HOP以降のビート・アプローチを生ドラムとして再現しつつ、その上で『生のドラムだから何が出来るか?』っていう方向性を、ドラマーとしては今回は意識してます」(Shotaro Sugasawa)
 
「サウンドの参考元としては、D’ANGELO『VOODOO』とかTHE ROOTS『THINGS FALL APART』、COMMON『LIKE WATER FOR CHOCOLATE』……だから、THE SOULQUARIANSの影響がすごく大きいと思いますね。アレがバンドとしてのHIP HOPの最高到達点なんじゃないかな?って」(Pam a.k.a. Ecus Nuis)
 
「それを僕らが超えるんだよ(笑)。僕が派手でファンキーなビートでラップをするのが好きなじゃない、っていうのもありますね。盛り上がるよりも冷まして冷まして……っていう感じで、冷めた方が好きなんです。詩を書くときにテンションが高くないっていうのもあると思うし、その温度に合わせてダウンしてもらった部分もありますね」(UCD)
 
 
 その方向性付けには、今年3月に加入したPam a.k.a. Ecus Nuisも大きく関与しているという。彼はCHICO CARLITOを擁するBang Da Rhythmらが所属するクルー:Kuragalyにも参画しているトラック・メイカーである。
 
「Pam君が加入するまで『ラップの載るトラック』っていう視点が弱かったんですよね。だから、セッションだけで完結しちゃって、ラップが載る余地がなくてボツになるトラックも多かった。そういう流れにみんなフラストレーションが溜まってた部分もあったんですよね。でも、ラップ・トラックが作れるPam君の加入によって、『ラップが載るトラック』という正解が判断しやすくなったんです」(Shotaro Sugasawa)
 
「ちゃんとラップが聴こえるトラックにすることで、ラップの内容も立ち上がってくると思うんですよね。それはKuragalyのCHICO君とかTENGG君、ARISTOさんを見ててすごくそう感じたことだったんで、そのエッセンスはBullsxxtにも加えたいなって」(Pam a.k.a. Ecus Nuis)
 
 
 そのサウンドの構造も、プログラミングで組み立てられた“Poetical Rights”や、オーセンティックな感触のある“Classix”、メロウでセンチメンタルな“傷と出来事”など、楽曲ごとに明確に違った色合いを持つ。
 
「例えば“Fxxin’”はPORTISHEADみたいな、冷たいトリップ・ホップ感を意識したり。最近、Bullsxxtの方向性に似てるのかな?と思ったのは、(HYUKOHのような)韓国のネオ・ソウル・シーン。そういうHIP HOPとかネオ・ソウルを通過したバンドと、無意識的にリンクしてるような気がする」(Shotaro Sugasawa)

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